INVISIBLE D. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

”素粒子三銃士”の業績をPoetさんが語る(昨日のコメント欄より)

知る人ぞ知るPoetさんの科学解説。ただで読めるとは豪気だネ。

話に出てくる話題は
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20081008#p4
を読まないと分からないものも多いので、まずこっちに目を通してください。

Poet 2008/10/08 12:50

数年前に、グリフォンさんにメールで「青色LEDの中村さんはノーベル賞を取れますかね?」と聞かれて、「中村さんは取れない。小林・益川とカーボン・ナノチューブの飯島さんは数年内に取れる」と返事したと思いますが、南部さんとはねぇ。
南部さんって、エリオ・グレイシーとかカール・ゴッチみたいな「伝説の人」のイメージなんですよ。まさに「素粒子は弦の振動状態」という弦理論は、南部さんのアイデアで、当時は実験事実と合わないために、素粒子論の本流からはずれてしまった。しかし、1980年代に超弦理論として復活。最近話題の多次元理論も弦理論を基にしています。
「南部さん!!最後の勝者は、あなただった!」みたいな。個人的には、ものすごい業績の人だけど、弦理論も自発的対称性の破れも実験的に正しいと証明されているわけじゃないから、ノーベル賞は無理だと思ってた。


小林さん益川さんについては、CP非対称性自体は、1960年代に実験的に見つかったけど、当時は理論的な裏付けがなかった。小林・益川理論が実験的に検証されたのは2002年頃になりますが、それ以前から、「小林・益川理論で鉄板だろう。問題なのは実験的検証だけ。検証できたらノーベル賞」という雰囲気でした。


実は、テレビ等で報道されている「小林・益川理論によって、ビッグ・バンで生成された反物質が無くなり、物質だけが残ったことが説明できる」というのは厳密には間違いですね。小林・益川理論のCP非対称では小さすぎて、反物質がないことを説明できない。実はレプトンの非対称性がクォークに影響しているのではないか?というのが最近の物理屋さんの飯のタネです。



Poet 2008/10/08 12:57
物理屋さんは、ちきゅうはかいばくだん(註:昨日付のエントリ参照)どころか、ブラックホールを造って地球を消滅させることができます。
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=5410713
http://www.gizmodo.jp/2008/09/lhc_1.html
一応書いておくけど、ブラックホールが生成されても300%絶対に安全です。
ちなみに、物理屋さんには2種類ではなく3種類いて、南部さんのように正しいかどうか実験で検証できるかどうか関係なく突き進む「純粋理論屋」と、どの理論をどうやれば実験で解明できるかを考える「現象論屋」と頭より体力が勝負の「実験屋」に分けられます。