上のエントリをまとめていたら、見落としていたコメント欄が目にとまった・・・
小林司氏(こばやし・つかさ=精神科医、日本シャーロック・ホームズ・クラブ主宰)27日午前2時37分、骨髄異形成症候群のため東京都杉並区の病院で死去、81歳。青森県出身。葬儀・告別式は親族で済ませた。喪主は作家の妻東山あかね(ひがしやま・あかね、本名小林洋子=こばやし・ようこ)さん。
77年にホームズ愛好家の交流団体「日本シャーロック・ホームズ・クラブ」を設立。夫妻共著で「シャーロック・ホームズの醜聞」など関連書を多数出した。メンタル・ヘルス国際情報センター所長、日本エスペラント学会顧問。
投稿: ひどく悲しい話 | 2010年10月 2日 (土) 00時40分
かけちがってお目にかかったことはありませんが、惜しい人を亡くしました。クラブはどうなりますか。ご冥福をお祈りします。
投稿: 三十郎 | 2010年10月 2日 (土) 05時49分
小林司とその妻、東山あかねについて自分は過去にこう書いていた。
小林司・東山あかね氏は日本におけるシャーロック・ホームズ学の大家で、それも子供向け・・・正確に言うと子供向けの中で、あまりに大幅な子供向けの改変に飽き足らず「もう少し本格的なホームズの本は無いかいな」と思う本好きの小学校高学年ぐらいに向けた本を編集し、うしろに解説文をつけて、日々「ホームズ学」のプロパガンダにいそしんでいる人たちなのだ(※サンプル1名。俺。)。
子ども心に「ホームズって、これお話でしょ?本当のことじゃないでしょ?」と突っ込みつつも、「それをマジメに考察するのが大人の遊びなのだ」ということも何となく伝わり、19世紀イギリスの歴史や文化、ミステリの文化史などに興味関心を広げてくれた彼と彼女には大変な学恩がある。
もっともそのエントリが「お2人が書いた解説書は間違いだよ!」という内容だったように先駆者ゆえの錯誤もあっただろうし、また「ルパンがホームズと互角のライバル?あんな二流のドロボウがライバルだなんておこがましい!!」といった原理主義的価値観もプロパガンダしていたなど(笑)、いろいろと楽しき功罪もあるのだが、それにしても「学校図書館で子供たちは毎回ホームズや少年探偵団から読書に目覚める」という構図は毎年果てしなく繰り返されているのだから、故人が妻と共にしるしたホームズの訳書、解説書はなおも不滅の価値を持つだろう。
80年代、フィクションをあつく論じる初期のオタクは「いや、世界中にあえてフィクションの『ホームズ』を真面目に論じるシャーロキアンという趣味人がいましてね。名士インテリもたくさん参加しています。そのようなものでして・・・」という理論武装、権威付けにもこれをよく使ったと聞く(笑)。
小林・東山のホームズ研究が与えた影響はもっと論じられていいのでは。
遅ればせながらご冥福をお祈りします。