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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

小林よしのりが「2ちゃんねる」で情報を得て、最新の著書に利用

パール真論」が発売された。
中島岳志とパール判事の評価や解釈を巡って論争したものを一冊にまとめる・・・というのでは、その分野に興味を持つ人の母数自体が今までのものと比べてそう大きくないはずでセールスもかなり苦戦するのではないか?と思うのだが、まあそんな部数の予想は枝葉だ。
まだ全部は読んでいないし、前にも紹介したように中島・西部邁の共著も今月出版されるから読み比べてみたいんだけど、ちょっと「おーびっくり」というくだりがあった。

「日本無罪論」という、パールの判決書に対しての邦題には昔からたくさんの異論が出ていたが、その中で「本人の意図と離れた、本人も異議を唱えたくなるようなタイトルのつけ方ではないか?※(ミスリーディングな表現)(言葉自体がミスリーディング)など」という声もあり、小林はそれに異を唱えた。

230〜231P

そもそも「日本無罪論」というタイトルをパール自身も認めていたことは(略)状況証拠から間違いないと、わしは確信してきた。
そしてさらに、決定的な一次史料が存在していたことが分かった。
この史料は、わしも知らなかった。ある高校生が見つけて、携帯電話で「2ちゃんねる」に書き込んだのである/


ここで高校生が存在を指摘した史料は、田中正明がパールから受け取った英文の手紙で、「日本無罪論―真理の裁き」の重版に追加され、写真製版で掲載されている。この本を受け取ったパールからの礼状だそうだ。で、そこに


「.......Your valuable book entitled"Japan Not Guilty」


という一節を発見。少なくともパール本人は最初の段階から、自分の判決文が日本で出版された時「日本無罪論」という名前であったことは承知していた。その後も異議を唱えなかった・・・ことは確定したというわけです。もちろんパール本人がそれを許容したこと自体が間違いだ、と本人を含めて批判することは可能だ。



ただまあ、本題はそこじゃなくて、小林よしのりは確かに若い世代ともつながりがあり、交流があるからネットに関しても無知だったり無関心であるわけでもないとは思うが、「プロフェッショナル」を重んじること、「リスクを負う」ことを求めることなどを常日頃から主張し、たしか「嫌韓流」も「作者が公の場に出てリスクを負うつもりがないのが気に入らん!」みたいな主張をしてた記憶がある。

イラク人質事件のときも匿名、ネットを批判していたはず。
インターネットでは情報は伝わっても知恵は伝わらない、なんてのもあったな。



もちろんそういう活動や罵倒と「ここにこういう史料があるよ」という状況提供は一緒ではないんだが、それにしてもたとえば「ネットで・・・」とかぼかすことができる中で「高校生が携帯電話で『2ちゃんねる』に書き込んだ」
と書く小林のスタンスは面白い。

そういえば何度か、若いネット世代に「この件にかぎっては共闘しよう!」と呼びかけたこともあったな。
だが、それは逆に「ふだんは共闘したくないわい!」でもあり、やっぱり彼のスタンスは少し複雑だ。
(あと、若い秘書なんかもいるから、彼女やアシスタントがネット巡回・情報収集を担当しているのかもしれない)。

ゴーマニズム宣言SPECIAL パール真論

ゴーマニズム宣言SPECIAL パール真論

ちなみに「パール 高校生 携帯電話 日本無罪論 2ちゃんねる」などで検索してみたが、該当するとおぼしきテキストは分からなかった。

【補足】
鳴兎鳴兎 2008/07/08 08:43

“Your valuable…”の一文でGoogle検索すると、2ちゃねるのゴーマニズム宣言関連板のスレッドがヒット。
そのキャッシュに「ゴーマニズム板に書き込まれたパール史料情報を残すサイト」というwikiへのリンクがありました。
http://wikis.jp/PAL/index.php
この中の「14.『日本無罪論─真理の裁き』重版で載せられた、パール判事から田中正明氏への二通の手紙」という項目に
手紙の全文テキストと画像が掲載されてました。
しかしこんな板があると、小林氏とその周辺の方々はここさえチェックしてればいいのだから、楽といえば楽か。


[メモ]【メモ】
芦原的「古きよき時代」
法律をかえてビラに対処せよ
パール真論