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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

本日、大河ドラマ「風林火山」が最終回。最後は川中島合戦

最終回で、この戦闘を丸々描くとは当初、思わなかった。これを1、2週前に放送して、エピローグを書くのかなと。
まあ、自分は継続視聴者じゃないので、ドラマ自体を云々はしません。



ただひとつふたつ、一部の人にのみ伝わるネタを披露しますと(笑)、この川中島合戦(4回目)の戦闘というのは、要は対峙した両軍が、片方が隊を分散しての挟撃・包囲戦をもくろんだとき、相手が機動力を発揮し、主力を以って各個撃破を図るという展開ですよね。

これ、実は分かる人にはわかる、分からない人には分からないというかわかる必要も無いのだが(笑)「銀英伝」の中でラインハルト・フォン・ローエングラム皇帝(当時は旧帝国の上級大将)が自由惑星に大勝利し、一躍銀河に名をとどろかせた「アスターテ会戦」時の戦法がこれだったですよね。
このとき、追撃を上手く防いで被害を抑えたヤン・ウェンリーも同じく存在感を増すようになったのだが。


まあ、
【包囲殲滅を狙うA軍vsその戦力分散時を狙い、主力が動き各個撃破を狙うB軍】


というのは戦史上、何度もあるそうで、それを田中芳樹が生かしたんでしょうけれどもね。ナポレオンが上手かったとも聞く。こういうふうに、戦国時代の合戦を、鎧武者やほら貝の音をは切り離し、一般的な軍事用語に抽象化して考えると思わぬことに気付いたりするもので、これがふんだんにあることが個人的には、司馬遼太郎の戦国歴史小説を好きだったひとつの理由でもあるんだよね。

ところで、今夜放送のこの場面を歌った漢詩はあまりにも有名だ。

http://bun.dokidoki.ne.jp/users/tokiwa/2kansi1.html

 川中島   頼山陽
不識庵機山を撃つの図に題す」
鞭声粛々 夜河を過(わた)る
暁に見る 千兵の大牙を擁するを
遺恨十年 一剣を磨く
流星光底 長蛇を逸す

むかしはこれ「頑固おじいちゃんが、下手な詩吟を唸る」というようなシチュエーションや、「番長的な、硬派気取りの乱暴者」を表現する時に漫画や通俗小説でよく登場していた(自分もそれで覚えたようなものだ)。ま、それほど人口に膾炙していたわけです。
夜間行軍による隠密行動と、それによる戦場に突然現れたかのように見える主力軍、そこから始まる激闘・・・・そこに、この戦いにいたる因縁と、クライマックスの一騎打ちシーンまでを盛り込んでいるのだから、確かに盛り上がりますね。


音も聞けるサイト
http://www.tansou.com/waka_tanka/kobetu_no_uta/husikiankizan.html

いま検索したら、ついでに他の謙信詩もひっかかった。
http://shomon.net/kansi/kansi1.htm
謙信詩というか、「謙信が作った詩」ですね

九月十三夜陣中作 上杉謙信

霜滿軍營秋氣清 霜は軍営に満ちて 秋気清し
數行過雁月三更 数行の過雁 月三更
越山併得能州景 越山併せ得たり 能州の景
遮莫家郷憶遠征 遮莫家郷 遠征を憶う


あと、これは唱歌にもなっているんですよね。

http://www.d-score.com/ar/A04120901.html

川中島
旗野十一郎
一、
  西条山は 霧ふかし。
  筑摩の河は 浪あらし。
  遙に聞ゆる 物音は、
  逆まく水か、つわものか。
  昇る朝日に、旗の手の
  きらめくひまに、くるくるくる。


二、
  車がかりの 陣ぞなえ。
  めぐる合図の 鬨の声、
  あわせる甲斐も、あらし吹く
  敵を木の葉と かきみだす
  川中島の 戦は、
  語るも、聞くも、勇ましや。