その記事を探しているときに見つけた記事
この本は単行本のときは読んだが、どう増補されているのかな
http://book.asahi.com/bunko/TKY200611210140.html
世界」とはいやなものである 東アジア現代史の旅 [著]関川夏央
[掲載]週刊朝日2006年11月24日号
[評者]温水ゆかり題名から想像される渋面は、もはや著者の「藝」の一部。3年前の親本と副題を変えての文庫化で、17年にわたる稿を34編収める。
この本が扱うのは冷戦構造が崩れた80年代末(事実上の20世紀の終わり)から、9・11(21世紀という覚醒)後の03年まで。この間、東アジア各国は大きな変化ないし構造転換を遂げた。北朝鮮は金日成の死亡で、“家長”の交代があり、中国は香港返還を経ていまや市場経済まっしぐら、韓国はIMF管理下で経済危機を乗り越え、歴史的首脳会談も実現させている。
しかし、さほど昔ではないこれらの出来事を遠く感じるのはなぜだろう。長年韓国と北朝鮮を「研究的に眺めてきた」著者によれば、「アジア回帰」の情緒が拉致問題などによって題名のような現実認識に敗北したからだと言う。東アジア共同体など、各国のご都合主義ナショナリズムの前には寝物語ということか。
その認識はともかく、通史として重宝なこのポケット東アジア現代史、これを読んで高校卒業に不足した単位に充てるというのはいかがでしょうかねえ。四半世紀前から自分の卒業資格に深い疑惑を抱いていた私は、強力にお薦めする次第です。