丹波哲郎はもうみんな、今の若い世代はバラエティと霊界話の奇妙なおっさん、というのが第一に来るのだろうね。私の世代にしてからがそうだ。
かの「人間革命」に関しても、創価学会で開いた映画完成後の記念大会の壇上で一言
「南無阿弥陀仏」
と唱えたという話のほうだけが有名になっている。まあ「人間革命」自分から観ようという人は少ないだろうな。
ただ「二〇三高地」では、児玉源太郎役で、仲代達矢演じる乃木希典と堂々たる演技合戦をしていた。
つうか彼の場合、うまいへたというよりこの「堂々」という部分に役者としての意味がある、ような気がする。
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さて、週刊朝日の記事見出し(新聞広告)を見ただけなんだけど江川達也「日露戦争物語」が連載終了だそうだ。
話としては日清戦争も終わってないんだから、そりゃ不自然な打ち切りだけど、それ以外ではあまりにも自然というか、遅すぎる決断だった(笑)
もともとビッグコミックスピリッツは、創刊当時から一作品「人気は出ないかもしれないけど、漫画文化全体にとって重要だから、作者の好きに書かせてあげる枠」というのが存在するんだそうな。嘘かまことか。
で、梅図かずおの「私は真吾」とか「14歳」とか、確かに豊かな文化を生み出していたのだ。
あれ、連載中はずっと巻末だったでしょ?
しかし、その枠だと考えたとしても、漫画として、作品としてひどすぎる、日露戦争物語は。
軍隊の動きを凸の配置と、何の工夫も無いバストアップの司令官の似顔絵+説明口調の常軌を逸した長セリフ、って、漫画じゃないよ。絵物語だよ。それも最低のだよ。その人物のアップ絵には背景をひとつも書かないんだから何をかいわんやだ。
まだ小林よしのりの作品のほうが、ドラマとしての工夫は千倍も凝らされている。
日清戦争における清軍の健闘ぶりを丁寧に描くなど、いい視点も持ち合わせていた(陳舜臣の作品「江は流れず」などを読むと補強できよう)のだが、ナンにしてもカンにしても漫画の面白さを何も持ち合わせてないのが致命的な失敗の原因であった。
自業自得としかいいようがない。
週刊朝日ではどんな負け惜しみを言っているのだろうか。
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