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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「ニュース映像の図書館作れ」毎日新聞記者が提言

この前あらためて紹介した、毎日新聞の日替わりオピニオンコラム「記者の目」
http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/kishanome/

にて「TV映像を用いた「小泉劇場」検証=荻野祥三(学芸部)
http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/kishanome/news/20050928ddm004070040000c.html
という回が掲載された。タイトルではちょっと分かりづらいが、主張の骨子はコイズミ論云々ではなく、もっと有益なる提案だ。

・・・例えば10年後、20年後に各分野で、テレビ映像を使用したどのような検証や回顧が可能かという問題である


・・・太平洋戦争や戦後史については、「ある程度まで出来る」だろう。しかし、今話題沸騰の「小泉劇場」の解明については後日、「なぜあの時人々は、“小泉マジック”に、催眠術にかけられたようになったのか」を、具体的な映像を通じて解明しようとしても、極めて困難である。放送されたニュースやドキュメンタリー、さらにはドラマなどを保存して公開する「放送ライブラリー」が、日本ではまだ十分に機能していないためだ


 ・・・「ワンフレーズ・ポリティクス」と言われ、テレビを巧みに使ってきた小泉首相の手法の解明にはテレビ映像の検証が欠かせない。・・・活字の資料だけでは分析出来ない


・・・横浜市にある「放送ライブラリー」を訪ねた。・・・入場無料。・・・テレビとラジオを合わせて1万3000本以上の番組があるライブラリーで、ニュース・報道番組はわずかに約100件。・・・・・・2000年以降の映像は数えるほどだ


・・・フランスにはINA(国立視聴覚研究所)という機関があり、02年からはテレビの全チャンネルを、放送と同時にデジタル録画している。03年のテレビの保存番組は52万時間。

という、実にいちいち正論な意見が展開されている。
付け加えるなら、デジタル録画技術の一般化で、ほんの一昔前と比べても格段に映像・番組の記録と蓄積に関するコストは減少。はっきり言えばもう奇特な個人、NPOの類だって行うことは可能な段階まで来ている。あとは著作権とかそういうものが妨げるってだけだろうな。

俺ももう、一番古いもので15年ほど前の「朝まで生テレビ」の映像をを持っていて、映像としては劣化は激しいが、西尾幹二辻元清美福島瑞穂姜尚中らのTVデビュー当時の発言をいろいろ抑えているよ。
例えば小熊英二が一連の著作を、本当に膨大に当時の雑誌新聞を読み込んで書くのと同じ次元で研究者はこれらを検討しなきゃならないのは自明の理だ。


あと、ひとつ指摘したいのはこういう映像図書館が充実すれば、「アームチェア・ドキュメンタリー」が成立するだろうということ。

華氏911」が論壇をにぎわせたとき、俺だけが(笑)散々書いていたが、あれは独自映像ももちろん沢山あるとはいえ、それ以上に既存のTV映像をうまく編集し、ひとつの批判的ストーリーを作り上げてたわけだ。

もしこの「映像図書館」から自由に引用・編集可能になったら、例えばネットに今でもあふれるキャスター・コメンテーター批判にさらに巨大な武器が出来ることは間違いない。


あ、じゃあこの問題は進展しないか。
これも繰り返しだが皆さんどうだろう、この「記者の目」もはてなアンテナに登録して損は無いと思うが。

【参考】すでに先行して書いてたエントリ
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20050116#p3
■[時事][TV]「放送番組再検証法」or「映像図書館」を。


http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20040811#p1
■[時事]えっ、映像も「引用」できたの?