http://www.mainichi-msn.co.jp/column/kishanome/archive/news/2005/05/20050503ddm004070110000c.html
「夢伝説」の旅で考えたこと=栗原俊雄(学芸部)
◇俗説が伝える時代の息吹−−正史以外も楽しもう
プロ野球の名投手、江夏豊さんには伝説がある。71年のオールスターで9連続奪三振の偉業を遂げた時のことだ。最後の打者がファウルフライを打ち上げた。捕手が追う。江夏さんが叫んだ。「捕るな!」江夏さん本人に確かめたのだが、この伝説、厳密にいうと違う。実際には「追うな!」と叫んだのだ。どうせスタンドに入る。無駄な時間をはさんで、いいリズムを壊されたくない。そんな気持ちからだった。だが「捕るな!」と言ったと、30年以上たっても語り継がれ、本にもそう書かれている。ファンの私は以前、「また違うこと書いてる」と、あきれていた。江夏さんは折に触れ、事実を話しているからだ。
だが今は思う。大げさに言えば、この伝説は、重要な、残すべき史料なのだ。(略)
この1年あまり、国際日本文化研究センターの井上章一教授と、全国を旅している。毎日新聞の夕刊(一部地区朝刊)で月1回掲載している「歴史夢伝説」の取材のためだ。日本史に造詣が深い井上さんが伝説の地を訪れ・・・・
出色のコラム。井上章一氏もときどき「イロモノじゃん!」と思うような本を出しつつも、かなりいい仕事もされていて、この毎日新聞の連載も好きだ。
そういえばその前に、この新聞は荒俣宏を同じように全国巡りさせてなかったか?
そーいうのが好きなのか(笑)。あっちは妖怪ハンターってことで。
江夏伝説に関していえば、いわゆる当ブログで言うところの「心の梶原一騎」ってやつですね(このキーワードで日記内を検索してみてくれ)。
そういう観点から見れば、やはり「捕るな!!」が正解だ。