保存。
同時に、これらの社説の「掲載日」にも注目。
で語ったように、そもそも各社とも、これが争点に浮上するとも思ってなく、期間中の反応を見て慌ててこしらえたもの・・・・・・・なのかもしれない。それとも周到に準備していたのかもしれない。
それは内容から読みとれい。
朝日新聞 (社説)参院選 「優先」と分断の先に 排外主義の台頭を許すな
2025年7月13日 5時00分(2025年7月19日 12時37分更新)
list
31
写真・図版
参院選候補者らの街頭演説に集まった人たち=2025年7月6日、JR高崎駅、織田一撮影[PR]
「お前は、どの種類のアメリカ人だ?」。米大統領選を前に昨年公開された映画「シビル・ウォー アメリカ最後の日」で、市民に銃口を突きつける兵士のセリフだ。舞台は、分断の末に内戦に至った近未来の米国。そこでは「米国人かどうか」だけでなく、「どの種類の米国人か」で命が選別される。
荒唐無稽なフィクションと言い切れない現実が日本に生まれかねない。「自分たち」を優先し、国籍や出自で峻別(しゅんべつ)する。分断や差別を重ねた先に、「どの種類」の日本人が残るのか。
■「ただ乗り」論の横行
参院選では、外国人への規制の強化や権利の制限を強く打ち出す政党に、勢いが見られる。昨秋の衆院選は外国人材の確保が主要な争点の一つだったことを思うと、潮目の変化に驚く。参政党や日本保守党のほか、自由民主党や国民民主党、日本維新の会などが公約に掲げる。
「黒人やイスラム系の人たちが夜に集団でお酒を飲んで騒いでいると怖い」「日本人を暴行する。日本人の物を盗む」。街頭演説で公党のトップが言葉を放つ。「ルールを守れと言っているだけ」「差別ではない」と言うが、一部の事象から誤解や偏見を助長する排外主義的な主張だ。
目立つのは、外国人が税や社会保障に「ただ乗り」し、日本人の富を奪うとの説明だ。「『日本人ファースト』っていうのは、日本人の賃金を上げましょう、なんですよ」。参政党は貧困や低賃金の要因が外国人の流入にあると強調し、生活保護の支給停止などを訴える。
国民民主党は「日本人の払った税金は日本人のための政策に使う」と繰り返す。外国人が消費税など税金を全く払っていないかのような誤解を与えかねない。200団体以上が賛同した人権NGOなどの共同声明は「外国人優遇は根拠のないデマ」と訴えた。
自民党の公約「違法外国人ゼロ」には、流れた票を取り戻す意図が透ける。政府は一部の外国人による犯罪や迷惑行為で「国民が不安や不公平感を持っている」として、外国人対策の司令塔組織を立ち上げる。在留外国人の犯罪率はここ十数年間横ばいだ。国籍と犯罪を安易に結びつける発信が、差別容認の空気をつくらないか、危惧する。
■「3%」に求める原因
コンビニで、駅で、学校や職場で。朝起きてから夜寝るまでに、私たちは何人の外国人に会うだろう。
在留外国人は昨年末で376万人。第2次安倍政権が労働者の受け入れにかじを切って以来増えているが、人口に占める割合は3%。人手不足が深刻な農業や製造業や建設業、介護の現場は外国人なしに立ちゆかず、海外の優秀な研究者の誘致は日本の大学にとって最重要課題の一つだ。
しかし、平成のバブル期に日系人が建設現場や工場を支えてきたころから、日本語や社会習慣の習得は基本、民間や自治体任せだ。
言葉の壁から地域社会になじめず、子どもが勉強についていけないことも多い。外国人の差別を禁じ、権利を明記した人権基本法すら整備されていない。
日本人の利用を前提としてきた制度がほころぶのは、当然だ。外国運転免許の切り替え制度見直しなどでは、公正な仕組みや法令の整備が急がれる。地域社会では、習慣の違いや意思疎通の難しさから摩擦が生じても、議論を避けることなく、互いに納得できるルールづくりが大切だ。
問題の根底には、長年の政府の姿勢がある。外国人を人手不足を補う都合のよい「労働力」とみなし、「人間」として向き合うことを避け続けてきた。ともに働き、暮らす人たちを、同じ社会の一員として受け入れていく態勢づくりこそが、政治家の仕事ではないか。
■矛先は次の少数者に
実質的に上がらない賃金や物価高への怒り。少子高齢化の進む将来への不安。やり場のない不満のはけ口は、自分より弱い集団へと向かう。そこに目を付けて用意された不満の「受け皿」が、支持を広げる。1929年の大恐慌への不満がナチスを生み、日本の軍事行動に拍車をかけた。
米トランプ政権や欧州の右派政権の誕生の経緯を見ても、明らかだ。選挙で支持を得やすい言説は冷静な議論を奪い、民主主義の基盤である「法の下の平等」をたやすく揺るがす。
私たちは何を得て、何を失うのか。
「自分は日本人だから」と外国人への差別を容認すれば、矛先は次のマイノリティーに向かいかねない。たとえば「日本人優先」を掲げる政党は「男女共同参画が間違っていた」と少子化の原因を働く女性たちに求め、医療費を減らすためには終末期の延命措置の医療費を自己負担すべきだとも主張する。
差別を容認する社会では、いつ自分が差別される側になるかもしれない。その認識を持ち、どのような社会をつくるのか、考えたい。この夏、私たちは岐路に立っている。
毎日新聞 参院選2025 外国人政策 排外主義の助長懸念する
注目の連載
オピニオン
朝刊政治面
毎日新聞
2025/7/12 東京朝刊
English version
1614文字
記者会見で参院選での排外主義の広がりに反対するNGOの関係者ら=東京都内で2025年7月8日午後4時11分、矢野大輝撮影
外国人に対する警戒感を政治家があおり続ければ、排外的な風潮を社会に広げかねない。参院選で、外国人政策の厳格化を公約に掲げる政党が相次いでいる。従来の選挙では見られなかった光景である。
自民党は「違法外国人ゼロ」をうたい、不法就労の摘発強化などを盛り込んだ。社会保険料の未納や医療費の不払いを把握し、在留審査で考慮するともしている。
Advertisement
安全保障を理由に、外国人による土地取得の規制を打ち出したのが国民民主党だ。投機目的での購入が不動産価格をつり上げているとして新税の導入も提唱した。
主張が際立つのが、「日本人ファースト」をキャッチフレーズにした参政党である。
外国人労働者の増加で、日本人の賃上げが妨げられているとして、受け入れを制限する考えを示した。外国人への生活保護費の支給停止や、日本国籍取得要件の厳格化も挙げた。
根拠に乏しい各党公約
外国人を巡る主な参院選公約
背景には、在留外国人が急増している現状がある。昨年末時点で約377万人と過去最多を更新し、総人口の3%を占めるまでになった。それに伴って犯罪や日本人とのあつれきが目立つようになり、国民の安全・安心が脅かされているというのが各党の認識だ。
交流サイト(SNS)などでは「外国人が治安を悪化させている」「短期間の滞在なのに、医療費負担が少なくなる制度を利用している」「不当に生活保護を受けている」といった批判が目につく。「外国人が優遇されている」との書き込みも拡散している。
深刻なのは、埼玉県川口市などで暮らすクルド人へのヘイトスピーチだ。個々の事情を理解しないまま、「偽装難民」と決めつけたり、トラブルメーカーだと指摘したりする投稿も見られる。
こうした一部の言説をすくい上げる形で、政党が公約に盛り込み、お墨付きを与える格好になっている。しかし、いずれも明確な根拠があるわけではない。
外国人による刑法犯の検挙件数はここ15年ほど、横ばい傾向にある。今年1月時点の「不法残留者」は約7万5000人で、ピーク時の4分の1にとどまる。
国民健康保険については、一部自治体を対象にした調査で外国人の保険料納付率が低いというデータはある。ただ、医療費全体からすれば、外国人の占める割合は極めて小さい。
生活保護費は、国の通知に基づいて支給されている。
外国人の権利は法律で十分に保障されておらず、不安定な立場にあるのが実情だ。納税している人も参政権はない。
ともに暮らす施策こそ
参院選公示前日に開催された党首討論会。外国人政策もテーマになった=東京都千代田区の日本記者クラブで2025年7月2日午後3時40分、吉田航太撮影
日本で暮らす外国人たちには不安が広がっている。支援に当たる市民団体は共同で「排外主義の扇動は、異なる国籍・民族間の対立をあおり、共生社会を破壊する」との緊急声明を出した。呼びかけ団体の関係者は「物価高なのに賃金が上がらず、人々が生活に困っている。そうした中で、外国人がスケープゴートにされている」と語った。
人々の不満が排外的な動きを招いている構造は、欧州諸国やトランプ政権下の米国と共通するものである。
少子高齢化や人口減少が進み、働き手不足を補うため、日本は外国人の受け入れを拡大してきた。今や日本社会にとって不可欠な存在となっている。
価値観が異なる人々が、同じ社会の一員として暮らしていくための施策が、まず求められる。
外国人が日本で生活するには日本語の習得が欠かせないが、行政の取り組みは不十分である。誰もが働きやすい労働環境を整えることも必要だ。
生活規範を理解してもらうためにも、日本人と交流する場を設けることが重要になる。
製造業などで日系人労働者の受け入れが進められた1990年代にも、各地でトラブルが表面化したことがある。
浜松市や群馬県大泉町などでは、住民や行政が知恵を絞り、努力を重ねて壁を乗り越え、現在は隣人として地域を支える役割を果たしている。
人権は国籍を問わずに尊重されなければならない。誤った情報や偽情報を正し、社会の偏見や差別をなくしていくことこそ、政治の責任だ。
東京新聞 <社説>外国人対策強化 差別の助長は許さない
2025年7月18日 08時06分
0
政府が在留外国人増加に伴う問題に対応するため省庁横断の司令塔を新設した。治安悪化などを懸念した動きだが、外国人の犯罪増加を示す統計はなく、自公政権の参院選対策が透けて見える。根拠なき外国人対策の強化は排外主義と差別を助長する。事実に基づかない扇動も放置すべきでない。
内閣官房に新設された「外国人との秩序ある共生社会推進室」は出入国在留管理の適正化や社会保険料の未納防止、外国人が絡む土地取引の管理強化などを担う。
日本の入管政策は2021年、名古屋出入国在留管理局に収容中のスリランカ人女性の死亡事件を機に、国際的な人権基準とはかけ離れた実態が批判されたが、政府は改善せず規制をさらに強化。
その後の入管難民法の改正では難民認定申請中の外国人の送還を可能にし、税金などを滞納した場合に永住資格の取り消しを可能にする規定を盛り込んだ。
さらに、出入国在留管理庁は事情があって帰国を拒む約3千人の強制送還対象者を減らすため、難民申請審査の迅速化や護送官付きの国費送還促進を打ち出した。
20日投開票の参院選では、外国人規制の強化を訴える参政党などが支持を広げている。自民党は公約で「違法外国人ゼロ」を掲げ、司令塔づくりを盛り込んだが、選挙期間中に前倒しで設置したのは支持層流出を食い止める意図があるからにほかなるまい。
しかし、外国人による治安悪化や福祉悪用などは根拠を欠く。
不法滞在者は7万人余で1993年比で3分の1以下。外国人犯罪もピーク時の2005年と比べて23年は約3分の1に減少。生活保護利用者のうち外国籍は2・87%にすぎず、国民健康保険加入者の4%が外国人だが、支払われた医療費は1・39%にとどまる。
外国人による不動産投資の増加も、安倍晋三政権当時の規制緩和や円安誘導の結果にすぎない。
人口減の中、外国人との共生は必然だ。19年導入の特定技能制度は熟練外国人労働者には家族の帯同に加え、滞在期間更新も上限なく認めた。事実上の移民だ。
現在起きている外国人問題の芽生えは移民政策を否定し、語学教育など共生のための施策を地方自治体に押しつけた当時の安倍政権にある。政府が今、取り組むべきは外国人規制ではなく、責任ある受け皿づくりにほかならない
読売新聞 外国人政策 社会のルール周知し共生図れ
2025/07/10 05:00
保存して後で読む
在留外国人や訪日客が増えるにつれ、地域住民との摩擦やトラブルが目立つようになった。政府は日本社会のルールや文化の周知に努め、共生の道を探らねばならない。
[PR]
昨年末の在留外国人は、過去最多の376万人に上り、総人口の約3%を占めた。人口が減少する中、外国人労働者は社会を支える重要な担い手と言えるだろう。一方、外国人の多い地域では問題も生じている。
埼玉県川口市では、トルコ国籍のクルド人などによる騒音問題や乱闘騒ぎがたびたび起きている。市は国に対し、違法行為をはたらいた外国人の強制送還など、厳格な対応を求めている。
今年5月には埼玉県三郷市で、小学生の列に車で突っ込んだ中国籍の男が逮捕された。
こうした事案が相次ぎ、国民の不安が高まったためだろう。参院選では、与野党の多くが外国人政策の見直しを掲げた。
自民党は、外国の運転免許を日本の免許に切り替える手続きの厳格化を主張している。日本維新の会と参政党は外国人受け入れの人数制限を、国民民主党は土地取得の規制をそれぞれ訴えている。
各党の訴えには、外国人が公的医療保険や生活保護を悪用している、といった内容もある。不正や違法行為に 毅然 きぜん と対処するのは当然だが、そのような主張には根拠に乏しいものも散見される。
例えば、2023年度に生活保護を受給した165万世帯のうち、外国籍の人が世帯主となっているのは4万7000世帯で、全体の2・9%にすぎない。
国民民主党は、「日本人が払った税金は日本人のために使う」と訴えている。だが、その理屈が通るなら、訪日客を含む外国人が納めた消費税は、社会保障に使ってはいけないことになる。排外主義のような主張は慎むべきだ。
地域によっては児童の4割が外国籍という小学校もある。言葉や文化の壁のため、学校に溶け込めない外国人児童も多いという。
日本語の教員だけでなく、日本と外国籍の児童が互いの文化や習慣を理解しあえるよう、外国人の教員の増員も考えたい。子供の頃から、共生の土台を作ることが重要な時代を迎えている。
身近な問題では、外国人がごみ出しのルールに従わない、といった声も出ている。在留を認める際、地域のルールやマナーを守ると誓約してもらうのも一案だろう。
産経新聞 <主張>外国人政策 議論を着実に進める時だ
社説
2025/7/15 05:00
オピニオン
主張
移民問題
Xでポストする
反応
Facebookでシェアするリンクをコピーする
記事を保存
夜中に喧嘩で集まったクルド人らしい中東系外国人たち(川口市民提供)
夜中に喧嘩で集まったクルド人らしい中東系外国人たち(川口市民提供)参院選で外国人問題が争点になっている。国政選挙では初めてのことではないか。
令和6年末の在留外国人数は約376万人と過去最多となった。それとは別に、昨年は3600万人以上の外国人が日本を観光に訪れた。昔と異なり、外国人は隣人となっている。
大多数の外国人は、日本の法律と慣習を守り、節度をもって暮らしている。
そうであっても、外国人による犯罪や、ルールや慣習に反する迷惑行為が目立つようになった。日本の宝である治安の良さは守り抜かねばならない。
また、法律に沿った外国人の行動であっても、日本人の生活に負の影響を及ぼす事例も出てきた。たとえば、首都圏を中心にマンション価格がバブル期以上の高値になっているが、その背景の一つに、中国人・資本による不動産取得の影響が指摘されている。
医療費が高くなる患者の自己負担を抑える高額療養費制度を利用するために、来日する中国人がいるとされる。
林芳正官房長官は会見で、外国人をめぐり「国民が不安や不公平感を有する状況が生じている」と語った。
日本は日本人の国だ。それを前提に、日本人と外国人が安心して暮らしていけるようにしなければならない。法律や慣習の順守はもちろんだが、法律が問題をはらむなら改めることもためらってはなるまい。
厳しい国際環境の中で、安全保障上の対応も求められる。外国資本による、自衛隊などの重要施設周辺の不透明な土地取得・保有はあってはならない。
外国人問題を論じる上で留意すべき点が2つある。まず、外国人への憎悪(ヘイト)を煽(あお)ったり、幕末の攘夷運動のような排外主義に陥ったりすることは絶対に避けるべきだ。
もう一つは、外国人をめぐる問題を提起したり、対策を論ずる人たちに「排外主義」「ヘイト」のレッテルを貼って議論を封じてはならない、ということだ。言論の自由に反し、民主主義の否定になるからである。
埼玉県川口市では日本人市民とクルド人の間で軋轢(あつれき)が生じている。日本は、大量の難民・移民によって社会が混乱する欧米諸国の轍(てつ)を踏んではならない。外国人政策の議論を冷静に、着実に進めたい。
