「天皇制の超克」「原始共産制」「国家以前」という縄文左派から「超古代史」「偽史」にのめり込むオカルト、「原始コミューン」を夢想するヒッピー、そして「日本の深層論」から縄文ナショナリズムへ。縄文をロマン化してきた戦後思想史を書きました。https://t.co/YQiLetIFbc
— 中島岳志 (@nakajima1975) June 26, 2025
小学5・6年生の時、繰り返し読んだのがシュリーマン『古代への情熱』と相沢忠洋『「岩宿」の発見』だった。森浩一がアイドルだった。小学2年生の時に登呂遺跡で買ってもらった火起こし器のレプリカが、一番のお気に入りだった。
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『縄文』という本を書きました。https://t.co/YQiLetIFbc
中学生の時、思いっきりはまったのが梅原猛だった。『隠された十字架』を興奮して読んだ日のことは、忘れられない。
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そんな梅原猛の縄文論を読み直し、論じました。現在の「縄文ナショナリズム」の源流は、梅原先生の議論だと思います。https://t.co/YQiLetIFbc
私が小学生の頃、サイン帳というのが流行っていました。小学校卒業時に同級生の女子に書かされたものを、大人になってから見せられたのですが、小6の私は「将来の夢」の欄に「邪馬台国を見つける」と書いていました。
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「あの頃の未来に僕は立っているのかな」https://t.co/YQiLetIFbc
戦後日本は何につまずき、いかなる願望を「縄文」に投影したのか。
岡本太郎が縄文を発見し、思想家、芸術家たちのなかで縄文への関心が高まった。柳宗悦ら民芸運動の巨匠たちが縄文に本当の美を見いだし、島尾敏雄が天皇以前の原日本人の姿を託し、吉本隆明を南島論へと向かわせた。縄文は日本赤軍のイデオロギーにも取り込まれ、オカルトを経由しニューエイジ、スピリチュアリズムに至る。梅原猛が霊的世界を称揚する縄文論を展開し、「縄文ナショナリズム」を生み出すことになった。それは、一九九〇年代の右傾化現象のなかでさらに裾野を広げている。
戦後日本人の新たな精神史。アナーキストも保守思想家も、縄文には夢をたくしてきた。
その系譜を細大もらさずおいかける、超古代幻想の現代史。
――井上章一あらゆる「日本」が投影される縄文の現代史を網羅し、
その思想の体系を詳述した重要な一冊。
――いとうせいこう序章 戦後日本が「縄文」に見ようとしたもの
第一章 岡本太郎と「日本の伝統」
縄文発見
対極主義と「日本の伝統」
第二章 民芸運動とイノセント・ワールド
民芸運動と「原始工芸」
濱田庄司の縄文土器づくり
最後の柳宗悦
第三章 南島とヤポネシア
島尾敏雄の「ヤポネシア」論
吉本隆明『共同幻想論』と「異族の論理」
ヤポネシアと縄文
第四章 オカルトとヒッピー
空飛ぶ円盤と地球の危機
原始に帰れ!——ヒッピーとコミューン
第五章 偽史のポリティクス——太田竜の軌跡
偽史と革命
「辺境」への退却
スピリチュアリティ・陰謀論・ナショナリズム
第六章 新京都学派の深層文化論——上山春平と梅原猛
上山春平の照葉樹林文化論
梅原猛——縄文とアイヌ
終章 縄文スピリチュアルと右派ナショナリズム2025年6月26日(木)発売
のちに毎日新聞書評欄で
mainichi.jp
池澤夏樹・評 『縄文 革命とナショナリズム』=中島岳志・著
カルチャー
本・書評
朝刊読書面
毎日新聞
2025/9/13 東京朝刊
有料記事
1336文字
(太田出版・3080円)荒々しい、不協和な反「神々」の象徴
今、日本史において縄文は必須のキーワードである。しかしそうなったのは戦後の話で、それ以前の「国史」はアマテラスから始まっていた。神話に縄文人が登場する余地はなく、考古学者は出土する土器を整理して分類、系統化を試みるだけだった。
それでも歴史には始まりが要る。神々が文学の世界に戻った後の空白を何かが埋めなければならない。それが縄文だった。
精神史の始点としての縄文を発見したのは岡本太郎である。彼は一九五一年に東京国立博物館で開かれた「日本古代文化展」で深鉢型土器を見て「荒々しい、不協和な形態、紋様に」撃たれた。それは狩猟社会のダイナミズムに満ちており、風雅を旨とする従来の日本文化観と激しく対立するものだった。若い時にフランスで文化人類学者マルセル・モースの授業を受けた岡本には造形物と歴史を結ぶ眼力があった。
