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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「筆で書いた字の巧さ」と「政治家の資質」、何の関係もないのに繋げる…それが”教養の呪縛”なんだろうな

2024年の自民党総裁選、および立憲民主党代表選の画像を使いたかったんだけど、いまざっと探しただけでは見つからないので2021年の画像を使おう

総裁選2021色紙

2022年総選挙、党首揮毫

揮毫 2022年総選挙


歴代首相は「國酒」という書を揮毫しなければいけないらしい


こっちは2024年だがマジックで書いたものなので参考資料

2024年の字

あ、見つかった!!自民党総裁選2024年揮毫。

2024年総裁選揮毫

河野太郎禅の「円相」、あるいはそれのパロディである仙厓和尚の「一円相画賛」を気取ってるのかと思われるが、まあただの逃げだろうな(笑)逃げ上手は北条相模次郎だけでなく河野太郎もと。
※この話をすると、話があまりにあさってに飛んでしまうので別建てで。
m-dojo.hatenadiary.com




※立民の討論会でも同じ趣向があったはずだが、画像どこかにありませんかね…?


なんか昭和の政治家の書の画像があったので採取



しかしだ、話はそれではない。
そもそも政治家に求められる資質に、獣の毛を束ねた旧来の筆記用具で四角く固い紙に、整った漢字やひらがなを書く……というのは入っているの?
という根本的な問いだ。
〈筆の先での約束ァおよし 筆は狸の毛でござる…〉

とめはねっ 獣の毛


レーセーに考えると、ひとつも関係が無いんじゃないか、ということである。


ただ、話はやっぱりそこで終わらない。
それでも、こうやって偉い人たちの書を見せられると「うーん、Aはうまいね。Bは下手だね」とは思うし、そして「やはり代表には、字がうまいAのほうがふさわしいんじゃないか…」という意識は、やっぱり生まれるんじゃないかな。
字が下手なBを押す人は「『だけど』代表には、字がうまくないBのほうがふさわしいんじゃないか」と逆接の接続詞がつく。


不思議なものっちゃものである。
教養というのは、一種の幻想や神学、あるいは美人コンテストであり、みんなが教養と思っていればそれが教養と認定される。それだけなんだよな。

このブログでは何度も繰り返してるが、「香炉峰の雪はいかならむ」と言われてさっと御簾を巻き上げるのと、いきなり理不尽にひっぱたかれて「親父にもぶたれたことないのに」とつぶやくのはほぼ同種なんだが、前者は教養、後者はオタクネタだ(笑)


オタネタといえば、逆方向で政治家が「大衆性」をアピールするために大衆文化、サブカルチャーとの親和性を語る場面もある。
ところがその大衆文化、サブカルチャーがどこまで一般受けするか、も政治家は測らなきゃならない。

麻生太郎は、ゼロ年代に「政治家、それも自民党の重鎮・大物なのに漫画をたくさん読んでる!」がキャッチ―な個性となったけど、そこから十数年経て政治家の世代が一世代若くなり、そして「クールジャパン(浪費)」で国の事業に漫画、アニメが関わることも多くなった。ひょっとしたら、マンガは「教養」の範疇に入りつつあるかもしれない(大衆文化的には危機かもしれない)
いま、自民、立民総裁選の全候補者に「自分が一番お気に入りの漫画作品を一本挙げてください!」という質問をしたら、たぶんみんなにこやかに答えるだろう。でも上川陽子氏は「すいません、マンガは読んだことが無いんです」というかもしれない(完全ド偏見、何のデータも無い)。
ただ「自分のこれ一本のお勧めは、赤松健の『ラブひな』ですね!」とかいう政治家がいたら、そりゃ政治家の資質を問われるだろう(これも偏見)。

音楽でも、林芳正ビートルズ高市早苗がヘビメタ、枝野幸男がAKBなどのアイドル音楽を愛好してることをアピールしてたっけな。石破茂キャンディーズを忘れちゃいかんか。林芳正は楽器が弾けるし、枝野は高校時代コーラス部の創業部長だった。
このへんも、十数年前だったら「政治家がアイドル音楽、ヘビメタを聴く」は隠すべき趣味だったかもしれない。
www.sankei.com
www.sanspo.com
www.news-postseven.com
www.nikkei.com



逆にアメリカだったら、討論会の参加者に「ここで、実際に銃を撃っていただきましょう。弾込めできますよね?撃ち方わかりますよね?」とか司会がいきなり言って、的への命中率が高い候補者がやっぱり支持率があがるとか(笑)

中東では「詩」だとか

中東では詩が教養として重んじられる トリリオンゲーム

トラップとしての「揮毫をお願いします」は結構有効

上に書いたように「書」は実際上の教養として微妙ではあるが、教養の「格」は維持されているので、有名人や権力者を招いた場で突然「ではここで一筆を…」と要請する、というトラップもけっこう効果的でお勧めしたい。
というのはその「格」の中に「揮毫を求められて断るのはダセーやつ」というのも少し入ってるから。


本当に見事な揮毫をしてくれたら、敵でも味方でもあっぱれ、と称賛し、実際に資産(お宝グッズ)になるのでヨシ(笑)
下手な字を書いたら、バカにする材料になるのでこれもヨシ(笑)
断り方も、その断りの理由の述べ方がスマートか、いかにも慌てて苦しそうなのかで人格を見極められるからヨシ。


偉い人や有名人に、突然に筆と墨と色紙をつきつけて何か書かせる、ってのは面白いと思うよ。アイドルとか、そういうのどうしてるんだろうね。ジャーマネが慌てて飛んできてNGいうのかしらん?

中国の要人とか、うっかり下手な字を書いたら失脚するかもしれないな(笑)。色紙を人質にとって外交するとかさ

官公庁が設立されると、初代大臣が看板の字を書くというすごい「ガチャ」がある

blog.livedoor.jp

で、省庁の王様たる財務省は、建物を建て替えた時に麻生太郎が揮毫したが、初代大臣は宮澤喜一…だがだが

財務省、新しい看板に 麻生氏が揮毫

2016/6/6 18:29


 財務省の正門の看板が15年ぶりに新しくなった。筆まめで知られる麻生太郎財務相が揮毫(きごう)した。

 これまでの看板が、築73年になる庁舎の耐震工事に伴い工事用の板で覆われ、目視できなくなるため。別の位置に付け替えることも検討したが、取り外すには柱を削る必要があるため、新たな看板を設置することになった。

 元の看板は、平成13年の中央省庁再編で大蔵省から財務省に改称した際に掛けられた。当時の宮沢喜一財務相は揮毫を固辞し、コンピューターが作成した中から文字を選んだ。
www.sankei.com



宮澤喜一は書が下手…といいたいところだが、実は麻生太郎の見事な書…

に負けず劣らず、書は上手かった。

ある時、達筆で知られる宮澤が「政界で一番書く字が上手なのは岸(信介)さんでしょう」と述べると、政治部の記者が「田中(角栄)氏や福田(赳夫)氏や大平(正芳)氏の書く字はどう思われますか」と質問した。すると宮澤は小首をかしげて「あなたは、あれが字だと仰るんですか?」と切り返したというエピソードがある[40]。
宮澤喜一 - Wikipedia


だが、宮沢は拒否してコンピューター作成になった上に、実は
「後世にずっと残る看板を書きたくなる人の気持ちがわからない。はずかしくないんですかね」という冷笑を残した、と言われている。


もちろん、上のそれはオフレコ的な発言らしく、は公式には王羲之で書は完結した」と、唖然とするぐらい気障な説明をしてる、ようだ(笑)

おれも河野太郎流の円相はやめて、宮澤喜一流の断り方にしようかな(笑)


ただし、裏にはさらにウラがあり,宮沢の辞退はこれが真の理由だとも……

https://x.com/kumakumaiii/status/1834964955566882990