この話、前にもしたような気がするな…20年このブログ続いてるからな……だが検索してもはっきりとは出ないので、まぁいいや。
この話を再論したい気になったのは、SNSでのやり取りだ。
元の話は、ドラえもん漫画のあるエピソードに、セリフ写植の張り違いで、意味が変わってしまった箇所があり、そこが最近修正された、という話だった。
(この話はこの話で、他にもいろんな実例が出てきてすごく興味深い)
その話が、「かがみでコマーシャル」という回。「きんつば」とか、そんなお菓子も出てくる印象深い回でありました。
ちなみにドラえもんの「かがみでコマーシャル」には40年以上間違いのまま入れ替わってた台詞があるんですよ。スタッフ諸氏が写植を剥がして下に残ってた鉛筆書きのネームを証拠に最近ついに修正に成功したという執念の復元。みんな感謝して最新版を買おう。大全集でも初期の版は間違ったままなんですよ pic.twitter.com/isSsTZSbrq
— タケダ1967 (@takeda1967) June 2, 2024
「スタッフ諸氏が写植を剥がして」という表現がピンと来ない方のために解説しますと、我が国では1993年くらいまで、和文タイプライターや手動写植機で印字した文字の紙片を小さく切って、まんがの生原稿にノリで貼ってセリフを完成させていた時代があったのです... pic.twitter.com/Yxa59EsxVS
— うどん伯爵 (@curryking2214) 2024年6月2日
誰もが気になる謎の和菓子「きんつば」。ほとんどの子供は知らないよねえ。僕も大人になってから観光地の和菓子屋で初めて食べましたよ。きんつば。これが!あの伝説の!と。ほう,こういう色だったのねと。っていうか串に刺して食べるもんじゃなかったのかと(笑。味噌田楽みたいなもんかと想像してたよ。 pic.twitter.com/Gx6xjoejRZ
— タケダ1967 (@takeda1967) June 2, 2024
きんつばって「だよねー,ドラえもんで初めて知りました」派と「そんなの誰でも食べてるだろう」派と見事に分かれるね。僕の子供の頃の地元ではあまりメジャーじゃなくて,上京した後で周囲に訊いても実際食べた人が少なかったんですよ。子供時代に和菓子が身近かどうかって本当に家庭によるんだろうね。
— タケダ1967 (@takeda1967) June 2, 2024
自分はきんつば知らなかった派。その後、大人になって実際に食べてみても、正直微妙でした。
ま、それはそれとして、我田引水なリプを(例によって)つける俺。
ドラえもん「かがみでコマーシャル」は、ドラミちゃんの「テレビ局をつくったよ」と合わせてyoutube、ニコ動、インフルエンサーの予言漫画として読んでも面白い。https://t.co/WBAoBsbMLg
— Gryphon(INVISIBLE暫定的再起動 m-dojo) (@gryphonjapan) 2024年6月2日
コミックスだと何巻だったかなぁ?ドラミちゃんの出てくる「テレビ局をつくったよ」は、youtubeやニコ動がCMやテレビ番組の再UPじゃなく、素人のトークや歌が主流になった時にいつも「まんまじゃん」と思っていた。(オバQにも、手作りの「素人ラジオ放送」の回あり)https://t.co/xIZMoTucYg pic.twitter.com/RrDRxV71vL
— Gryphon(INVISIBLE暫定的再起動 m-dojo) (@gryphonjapan) 2024年6月2日
これは、時々お遊びで勃発する「ドラえもんの発明品で、実現したのは何?」というお題の、こたえのひとつだ。
(ほかにもいろいろある。リンク参照)
www.change-makers.jp
ここから発展して描いた過去記事もある。
m-dojo.hatenadiary.com
藤子・F・不二雄先生本人は、コンビ時代はほとんどの表舞台にA先生を立たせて「広報担当」にするほどのシャイぶりもあったが、それでもドラえもんの作者として人前、テレビカメラの前に立つことも通常人以上にあったし、若いころは8ミリ映画も撮って出演もしている。(その前は肉筆雑誌「少太陽」も作ってるし…)そもそも漫画やアニメ自体も「メディア」のひとつ。メディアを自分がコントロールし、誰かを出演したりさせたり、コンテンツを提供して見てもらうことが、ひとつの「楽しいこと」であり、「こんなこといいな、できたらいいな」の夢であることは骨身にしみてわかっていた。
だから素朴に「皆、テレビに出たいよね」というコンセプトで話が進む…
だけど、個人のメディアが発するコンテンツはなんというかお手盛りで、自己陶酔的なひとりよがりに……
ん、これって落語の「寝床」がベースにあるんじゃないのか?いや、というより、大家さんが自分の権力を使って店子を集めて義太夫を聞かせるのも、広く言えば「メディア」であり、落語「寝床」がニコ動・youtube的な個人メディアの予言物語だ、ともいえるかも…。
www.youtube.com
ん、まぁその戦線の拡大は抑えて、もうちょっと続けますと、ドラえもんの「ひみつ道具」というかたちで展開された、この個人メディアの話が、さらにさかのぼって1960年代だというのに「オバQ」で展開されたのです。
これ、くわしく紹介しようと思ったけど、こちらに非常に素晴らしい紹介があるので、これで足る。
note.com
正ちゃんのお兄さん伸一が、こっそりとイヤホーンをラジオのPU(ピックアップ)端子に繋ぎ、ラジオをスピーカーにしてQちゃんの名前を呼んで驚かせる。
*PU端子は今は滅多に見られない真空管ラジオに付いている端子これを聞いたQ太郎は、僕らで放送局を作ってみんなに聞かせようと思いつき、正ちゃんに相談する。さらにみんなから聴取料を貰い、番組にスポンサーをつけて広告料を貰おうというアイディアを出す。本日初めてラジオを知ったとは思えないビジネス脳の持ち主である。
(略)疑心暗鬼だった正ちゃんもだんだん乗ってきて、ラジオに詳しい人を仲間にしようと思いつき、Q太郎がカドの電気屋さんを巻き込もうと考える。本作のQちゃんは何か一味違う
(略)
ラジオ局を始めたQちゃんたちに対抗すべく、ゴジラとキザ夫が手を組んで自分たちもラジオ局を作ろうと画策する。K・I・Z・A局と命名して、正ちゃんたちから電気屋のオヤジを引き抜く。そして「賞金100円の当たるワンダークイズ」を放送し、いきなり大人気。やはり番組作りには元手が必要なのだ。
この記事から、「ドラえもん」の個人メディア回記事にもリンクが飛んでいる。さらには「ドビンソン漂流記」にもこのアイデアがあるんだって。
個人メディアが実現したいま、藤子・F・不二雄先生が夢想した「すこし・ふしぎ」のそれと、現実はどの程度繋がり、どの程度離れているのでしょう。そんな「答え合わせ」も、しながら再び読んでみたいものです。
その後、2024年6月8日にこの話がアニメとして放送された。
土曜日ごご5時からは
— 【ドラえもん公式】ドラえもんチャンネル (@doraemonChannel) June 8, 2024
『ドラえもん』!
本日6/8のおはなしは
つぶれそうな和菓子屋さんを救う方法は…?
【かがみでコマーシャル】
のび太の傘が動き出す!
【かわいい雨傘の物語】
を放送するよ!
お楽しみに♪https://t.co/irsww5Qxx3 pic.twitter.com/q2do0d9cBC
最後におまけとして、ラジオ番組漫画「波よ聞いてくれ」101話に描かれた、かつてのイギリスの海賊版ラジオ局のくだりを紹介しましょう。というか、無許可のそれを「海賊版」というのってここが由来?