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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

『歴史の法廷に立つ』は、追及や糾弾より多分「超然と高みに立つ自負、自賛」に近い。だって中曽根大勲位が好んで、広めた言葉だもの(笑)

と、言う話。

その上で、申し上げたい。
長く国家の舵取りに力を尽くしたあなたは、歴史の法廷に、永遠に立ち続けなければならない運命(さだめ)です。
安倍晋三とはいったい、何者であったのか。あなたがこの国に遺したものは何だったのか。そうした「問い」だけが、いまだ宙ぶらりんの状態のまま、日本中をこだましています。
その「答え」は、長い時間をかけて、遠い未来の歴史の審判に委ねるしかないのかもしれません。そうであったとしても、私はあなたのことを、問い続けたい。国の宰相としてあなたが遺した事績をたどり、あなたが放った強烈な光も、その先に伸びた影も、この議場に集う同僚議員たちとともに、言葉の限りを尽くして、問い続けたい。
問い続けなければならないのです。

なぜなら、あなたの命を理不尽に奪った暴力の狂気に打ち勝つ力は、言葉にのみ宿るからです。
news.ntv.co.jp


この部分が名調子であることは異論が無いし、追悼演説ではあるが、その事績に、強く賛否が分かれる人物を手放しに賞賛するのは自分の考え的にも、所属する政党(というか支持者)たちの反響を考えてもよろしくない、とした演説者が、遠回しに述べた留保表現であることも間違いなかろう。


ただ、「歴史の法廷に立つ」は、「法廷」という言葉から、悪の追及、といった意味が強い、と考えると、それもまたチガウンジャネーカナー。


この言葉の造語者…ということはない(過去の歴史ものにも幾つか出てきたのを見た)けど、このフレーズを何度も繰り返し「自称」として語って、定着させたと言ってもいいひとは、このひとだもの。

野田佳彦氏が追悼演説で語った「歴史の法廷」は中曽根が好んだフレーズ

首相たるもの、権力の魔性を自戒せよ。
漂流する日本へ――。
戦後政治史を体現する元総理からの「遺言」。

首相在職日数1806日。「戦後政治の総決算」を掲げて、国鉄の分割民営化など行政改革を成し遂げ、外交では日本の存在感を発揮し、長期政権を築いた中曽根康弘。海軍での体験、若き国会議員の頃、見聞を広めた雌伏時代、そして総理大臣へ。自らの来し方を振り返り、深い思索と人生経験に培われた政治哲学を語る。首相たるもの、権力の魔性を自戒せよ。戦後政治史を体現する元総理の「遺言」。


中曽根は、『首相は』歴史法廷の被告、という言い方も好んでしている。野田元首相が、それを知らないとも思えない。だから自分にも、安倍にも共通するものとして、「歴史の法廷に立つ」というフレーズを引用した、と個人的には推測している。



そして、「歴史の法廷に立つ」とか「歴史法廷の被告」というのは、ぶっちゃけ悪を追及される、とか糾弾していく、というより、「俺たちはそういう立場の人間なんだよな…」という、かなーり自らや仲間を超然的な立場に置いたナルシスティックな自負、自賛的な匂いが漂う、と思っている。



ただ、字面をそのまま見て、しかも中曽根”大勲位”康弘氏が好んだフレーズであると知らないままだと、批判、追及、糾弾・・・・・・という風に解釈するひとも、確かにいるとは思うので、いちおう大勲位自画自賛本を紹介させてもらいましたのことよ。



おまけ

余談だけど、たしか「歴史の法廷」というフレーズは、水木しげる「劇画ヒットラー」のミュンヘン一揆裁判のシーンでも登場したという記憶がある。
まあ、そんなに「誰もが思いつかないようなフレーズ」でもない。