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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

ナンシー関没20年。彼女に「最高の版画用消しゴムを作らせろ」と”挑戦”した文具メーカーがあった……(12日「消しゴム忌」)

きのう6月12日は「消しゴム忌」でした。6月12日、コラムニストのナンシー関急逝から、ちょうど20年となる。当日は忙しくて記事をかけませんでしたが。
この前も書いたけど、サッカーのワールドカップ日韓共催大会の喧騒を、始まる前から冷たく眺めていたのが”ナンシー最後の警告”に近いもので、今年はそれから5大会めのワールドカップ年でもある。

2021 年記事
m-dojo.hatenadiary.com


1か月前の予告記事
m-dojo.hatenadiary.com


そっちでも紹介したが、彼女の評伝が、最近文庫化されたのです。


ここから、ちょっとした”秘話”を……


そもそもナンシー関は、商売柄、当然巨大な消しゴムを、すごくたくさん買う。どう考えても、カタギが買う量ではないわけだ。

三光堂の赤塚店の渡辺哲盛(S)はこう語る。 「当時、ステッドラーの消しゴムは一箱に二〇個入っていたんだけれど、一箱あれば全部買っていかれました。一個一〇〇円の消しゴムを二〇個買ってくれるときには、一割引かせてもらいました。
無駄口はきかれない方でしたけれど、消しゴムにこだわっているのはよくわかりま した。彼女と交わした言葉は、「おじさん、この消しゴムまた入りますか」ぐらいですかね。 消しゴムを彫る有名な方だって知ったのは、後になってのことです」

ナンシー関本人が「売ってる側も、わたしが何者か興味津々だろうな」的なことをおかしそうに語っていた。

いや、それ「日常の謎」だよ!!「50円玉20枚」だよ!!
ja.wikipedia.org

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あるいは「消しゴムの間にバターを挟まれないでよかったな」(O・ヘンリー「魔女のパン」)である。
yuji.cosmoshouse.com


いや、本題からそれた。
そして徐々に、奇妙にしてワンアンドオンリーの職業、「消しゴム版画家」がいることを知り、その第一人者(だから第二人者がいないって!)がナンシー関であることを知った、文具メーカー「ヒノデワシ」が途方もないムチャをやってのける!!

……それまでステッドラー一本槍だったのが、この時期から、文具メーカーのヒノデワシ(東京都墨田区)が消しゴム版画専用に作った〈はんけしくん〉も使いはじめる。
同社の相談役である小林進はこう話す。「八九年に新聞に載った人物紹介の欄を読んで、ナンシーさんが消しゴムで版画を彫っていることを知りました。当時、営業部長だった私は、すぐにナンシーさんのお宅までお邪魔して、ナンシーさんが使いやすいものを開発させていただきたい、とお願いしたんです。一口に消しゴムといっても、柔らかいタッチのものから、硬いタッチのものまでさまざまな種類があるんです。何度か材料の配合を変えて、見本を持って行って、版画専用の消しゴム〈はんけしくん〉が完成しました。できるだけ老化しないようにも工夫がしてあります。(はんけしくん)は一時、当社の売り上げの10%前後を占める主力商品にまでなりました。ナンシーさんには、お礼の意味も込めて〈はんけしくん》を無償で提供させていただきました」
ナンシーはその後、用途によって、〈はんけしくん》とステッドラーを使い分けていく。

消しゴム文具メーカーと、ナンシー関が「理想の版画用消しゴム」をめぐって直接対決!!
どんなデッカイ会場も満員になる!!
しかし万が一血で血を洗う殺し合いじみた内容になったとき…お茶の間のファンには見せたくない!
テレビ中継は禁止だ!!

…と、プロレススーパースター列伝調でしか再現できない挿話だ。

しかし、なんでまたメーカーは、そんな危険な所に飛び込んでいったのか。それはやはり、最高のものを作らないと気が済まないという職人の業、ものづくりの修羅道・・・・・・・・・!
花の慶次の奇染屋みたいなものだ。

花の慶次 奇染屋 押し売りの向上あっぱれ 切腹の際の敷物
花の慶次 奇染屋


ナンシー関は既にこの世の人ではないが、その彼女に真っ向勝負でいどんだ「ヒノデワシのはんけしくん」は今も店頭に並び、彼女の後を追い消しゴム版画を楽しむ人に力を貸している・・・・・・・そんな、いい話。


ちょっと資料編

dot.asahi.com
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※4月