きのう6月12日は「消しゴム忌」でした。6月12日、コラムニストのナンシー関急逝から、ちょうど20年となる。当日は忙しくて記事をかけませんでしたが。
この前も書いたけど、サッカーのワールドカップ日韓共催大会の喧騒を、始まる前から冷たく眺めていたのが”ナンシー最後の警告”に近いもので、今年はそれから5大会めのワールドカップ年でもある。
2021 年記事
m-dojo.hatenadiary.com
1か月前の予告記事
m-dojo.hatenadiary.com
そっちでも紹介したが、彼女の評伝が、最近文庫化されたのです。
ここから、ちょっとした”秘話”を……
そもそもナンシー関は、商売柄、当然巨大な消しゴムを、すごくたくさん買う。どう考えても、カタギが買う量ではないわけだ。
三光堂の赤塚店の渡辺哲盛(S)はこう語る。 「当時、ステッドラーの消しゴムは一箱に二〇個入っていたんだけれど、一箱あれば全部買っていかれました。一個一〇〇円の消しゴムを二〇個買ってくれるときには、一割引かせてもらいました。
無駄口はきかれない方でしたけれど、消しゴムにこだわっているのはよくわかりま した。彼女と交わした言葉は、「おじさん、この消しゴムまた入りますか」ぐらいですかね。 消しゴムを彫る有名な方だって知ったのは、後になってのことです」
ナンシー関本人が「売ってる側も、わたしが何者か興味津々だろうな」的なことをおかしそうに語っていた。
いや、それ「日常の謎」だよ!!「50円玉20枚」だよ!!
ja.wikipedia.org
あるいは「消しゴムの間にバターを挟まれないでよかったな」(O・ヘンリー「魔女のパン」)である。
yuji.cosmoshouse.com
いや、本題からそれた。
そして徐々に、奇妙にしてワンアンドオンリーの職業、「消しゴム版画家」がいることを知り、その第一人者(だから第二人者がいないって!)がナンシー関であることを知った、文具メーカー「ヒノデワシ」が途方もないムチャをやってのける!!
……それまでステッドラー一本槍だったのが、この時期から、文具メーカーのヒノデワシ(東京都墨田区)が消しゴム版画専用に作った〈はんけしくん〉も使いはじめる。
同社の相談役である小林進はこう話す。「八九年に新聞に載った人物紹介の欄を読んで、ナンシーさんが消しゴムで版画を彫っていることを知りました。当時、営業部長だった私は、すぐにナンシーさんのお宅までお邪魔して、ナンシーさんが使いやすいものを開発させていただきたい、とお願いしたんです。一口に消しゴムといっても、柔らかいタッチのものから、硬いタッチのものまでさまざまな種類があるんです。何度か材料の配合を変えて、見本を持って行って、版画専用の消しゴム〈はんけしくん〉が完成しました。できるだけ老化しないようにも工夫がしてあります。(はんけしくん)は一時、当社の売り上げの10%前後を占める主力商品にまでなりました。ナンシーさんには、お礼の意味も込めて〈はんけしくん》を無償で提供させていただきました」
ナンシーはその後、用途によって、〈はんけしくん》とステッドラーを使い分けていく。
消しゴム文具メーカーと、ナンシー関が「理想の版画用消しゴム」をめぐって直接対決!!
どんなデッカイ会場も満員になる!!
しかし万が一血で血を洗う殺し合いじみた内容になったとき…お茶の間のファンには見せたくない!
テレビ中継は禁止だ!!
…と、プロレススーパースター列伝調でしか再現できない挿話だ。
しかし、なんでまたメーカーは、そんな危険な所に飛び込んでいったのか。それはやはり、最高のものを作らないと気が済まないという職人の業、ものづくりの修羅道・・・・・・・・・!
花の慶次の奇染屋みたいなものだ。
ナンシー関は既にこの世の人ではないが、その彼女に真っ向勝負でいどんだ「ヒノデワシのはんけしくん」は今も店頭に並び、彼女の後を追い消しゴム版画を楽しむ人に力を貸している・・・・・・・そんな、いい話。
ちょっと資料編
今週の『週刊文春』は「稀代のコラムニスト没後20年 いつも心にナンシー関」17ページ大特集だけで完全に買いですぞ!#ナンシー関 pic.twitter.com/gqLLlrA69M
— 松澤チョロ (@m6gjOT5mUtSZ8Ye) April 27, 2022
※4月
20年前の本日、天才毒舌コラムニスト・ナンシー関急逝。まだ39歳の若さであった。10周忌の際には「評伝ナンシー関 心に一人のナンシーを」 が発刊された。その副題に大いにうなずきながら、2022年の現代において、その「我が心の内なるナンシー」を露わにすることの危険性に慄然としてしまう……(続 pic.twitter.com/v2VBAOenvj
— ふるきっつあんの不条理ツイート。 (@foolkitchen1) June 11, 2022
続)ナンシーが「ベビーカーを押す母親の傲慢さ」について書いたことがある……こう書いただけでその危うさに震えるのだが(苦笑)。当然数十通の抗議の投書がきたそうだが、今なら数十では済まないだろう。数千単位の批判が押し寄せ、ナンシーがツイッターで反論しようものなら、数万のリツイートで(続 pic.twitter.com/HEpcIXUipf
— ふるきっつあんの不条理ツイート。 (@foolkitchen1) 2022年6月11日
続)あげつらわれ、袋叩きにあったことだろう。要はナンシーは彼女にとって最も幸福な時代を生きたということなのだ。ちなみにツイッターの設立は2006年のことで、ナンシー急逝の4年後のことなんである……。
— ふるきっつあんの不条理ツイート。 (@foolkitchen1) 2022年6月11日
ナンシー関に合掌。そして彼女なき時代を生きている、生きざるを得ない我々に対しても。(続
続)最後にプロレスシンパとしてのナンシー関について(笑)。
— ふるきっつあんの不条理ツイート。 (@foolkitchen1) 2022年6月11日
古参のプロレスファンにとって今や伝説の雑誌と化した「紙のプロレス」その創刊号において巻頭署名記事を書いてるのがナンシーなんである…その時の特集が「できたら、なぐらせていただきたい方々」(大笑)。改めて、ナンシー節に酔え!(続 pic.twitter.com/wdDfzJ2jvD
続)紙プロ初のレスラーインタビュー蝶野正洋、文化人代表中島らも師匠をさしおいて巻頭一番槍ナンシー、やはり最強(笑)。
— ふるきっつあんの不条理ツイート。 (@foolkitchen1) 2022年6月11日
更にちなみにナンシーが文中「クイーンオブ何様のつもりだ女」と罵倒した石井苗子は今や維新から出馬の参議院議員…ナンシーに教えたら霊界から復活して再罵倒しかねないww(^^;