こういう記事を読んだ
「風評加害者」って誰? 汚染土利用に漂う不安な空気
有料会員記事アナザーノート
2021年9月3日 17時00分
www.asahi.com
アナザーノート 大月規義編集委員
原発事故の取材で、「風評加害者」という聞き慣れない言葉を耳にした。魚や野菜が「福島産」というだけで売れなくなる「風評被害」は問題だが、福島産であることを理由に買わないと、いつか「加害者」と呼ばれてしまうのか? いやな空気を感じた。
(略)
環境省が5月にオンラインで開催した対話フォーラム「福島、その先の環境へ。」
(略)
フォーラム開始から約1時間たち、司会者が「国民の理解を広めるには?」と問いかけた。福島県出身で東大大学院准教授(社会情報学)の開沼博氏が「事実の共有」が必要だと語った。そこにこんなくだりがあった。「被災地には(風評被害で)困っている人がいる。他方、風評の原因になるような理屈とか言葉とか、そういったものを『風評加害』と呼ぶが、正確でない情報が出回ってしまうこともあるかもしれない」
(略)
小泉氏が開沼氏に同調した。「さきほど開沼さんの言葉で、風評加害という言葉があったように、私は風評加害者にならないこと。そういったことを一人ひとりが自分のなかで思いをもって買い物をするときも含めて思ってほしい」
このやり取りが私には引っかかった。
(後略)
その結果、太字にしたような言葉があることを知った。
東日本大震災と福島原発事故の、3月11日前後に、twitterなどでも、この言葉が目に付くことは多かった。
なので、新語としてウィキペディアの項目にしてみた。
'''風評加害'''(ふうひょうかがい)とは、噂|風評によって、効率性|経済的な被害を与えること。風評被害(狭義として「報道被害」もこれの一部にあたる)で、その風評を広める、語る側に注目した言葉。一方で、こういう言葉には問題がある、適切ではないのではないか、という批判的な議論もある。
編注 2021年9月3日、朝日新聞「『風評加害者』って誰? 汚染土利用に漂う不安な空気」ある。
※2022年3月13日午前11時現在、さっそくこれを「リダイレクト」する変更が、別の投稿者によってなされた。後述
ぶっちゃけ、この項目を作るに足る条件が、上の記事で満たされた、という皮肉な面があるんだけどね(笑)
(ただのネットジャーゴン、ネットスラングだと削除されるが、新聞記事になると削除されない……というのも、本当はちょっと言い方が違うが、まあそれに類するような基準がありますわね)
一応たたき台として、記述は非常に簡略なので、いろいろ思うことある方は、いろいろ記述を追加なり編集なりしてみてください。
追記 さっそく「リダイレクト」に変更された
2022年3月13日 (日) 01:54 Muyo 会話 投稿記録 84バイト −468 風評による害を「被る」のが「風評被害」であり、「加える」のが「風評加害」ということです。これ以上の百科事典的説明が難しいと思われますし専ら福島第一原発事故関連でしか使われないのでリダイレクトします 取り消し感謝 タグ: 新規リダイレクト
さっそくの反応ありがたし。
さて、これでもいいし、ここにいろいろ追加して、復活を狙ってもいいな…
たとえば「専ら福島第一原発事故関連でしか使われない」言葉(というか間違いなく新語なわけで)であることが、逆にひとつの特筆性を持つ、という点に焦点をあててもいいし、文中に書いたように、その是非をめぐる議論が(「風評被害」にはないのに)生まれている、という点も、項目を立てる理由になると思うのだな。さて、ゆっくり考えるか……(※放置する可能性もあり)
追記 今後の予定
来週、偶然にも(…ではないだろうな、3.11前後に合わせて出版される、という意味があるのだろう)、こういう書籍が正式に出版されるという情報を得た
事実に基づかない「不安と怒り」が
社会を扇動する。デマ、フェイクニュース、流言蜚語
利益を享受するために「まがいものの正しさ」を
撒き散らす奴らの正体とは――。「3.11後の福島」で
被災と「風評」の地獄を見た著者が
生々しい実体験と共に
この国に蔓延する「正しさ」の嘘を斬る。東電原発事故
トリチウム処理水
新型コロナウイルス
HPVワクチン…恐ろしいのは危機の本体だけではない。
不安と怒りを煽る「情報」が巻き起こす「情報災害」
そしてそれを広げていく
「風評加害」だ。
『現代ビジネス』『SYNODOS』『正論』など
福島在住のジャーナリストが問う
言論界が注目する、初の著書刊行!<目次>
はじめに第1章 「情報災害」とは何か
メディアが「引き金」を引いた
デマや流言、風評は何故発生するのか
「神が去った」時代を迎えた社会
「情報過多」は「情報不足」と同じ
「寝た子は起こすな論」
活動家がデマや差別を再生産する
「嘘も百回い言えば真実となる」…ほか第2章 複合的「情報災害」と福島
コロナ禍における「情報災害」とデマ
隠蔽、陰謀……テレビ報道による扇動
福島野トリチウムだけが害悪視
活動家の「反対」は何のため、誰のためか
福島と水俣の共通点としての「情報災害」
韓国の外交カードとしての風評扇動
陰に埋もれた「避難するリスク」
「ゼロリスク志向」が生み出す別のリスク
プロパガンダとしての「風評加害」
…他コラム:「迷信」が差別を引き起こした例
第3章 印象操作という「引き金」
「ほのめかし」報道は何を狙うのか
脱原発学習会報告「福島はレントゲン室と同じ」
差別が原因で福島空港発便がキャンセル
次世代への被曝影響を誤解させる記事
…他第4章 「情報災害」を記録するということ
福島を巡る言説は現場の声と乖離していた
「フクシマ」は忘却されるのか、消費されるのか
地域の「尊厳の喪失」から立ち上がるために
…他コラム:放置しても「情報災害」は広がる
第5章 「情報災害」と、その後
「情報災害」の長期的な影響を知る
「浜焼き文化」復活の軌跡――相馬
風評加害と闘った生産者たちの11年――南相馬
ホッキメシと私の故郷――双葉郡
…他終章 教訓は生かされるのか
マスメディアが「加害」に加担する構図
元首相5人が世界に放った独善の「正しさ」
「間違いの可能性」を含んで情報を伝える必要
…他おわりに
なお、書中では
— HAYASHI Tomohiro (@DokozonoKuma) March 13, 2022
「意図的な虚偽情報の伝聞」「伝達情報の特定部分の強調や変形」「非合理的で恣意的な解釈によって虚偽情報がまき散らされる」行為によって正確な情報の伝播拡散を妨害し、誤解や偏見と温存・拡大させようとする言動を、本書では「風評加害」と呼ぶ。
と書きました。
この本が正式に「書籍」として出版され、文中に「風評被害」という言葉及びその定義付けが出て来ることが確認されれば、それを掲載することで「百科事典の項目」として十分かつ有益なものとなり、また「風評被害」にリダイレクトすれば十分、とは言えなくなると思われるので、その時期を見てあらためて編集に取り組む(かどうか検討する)としましょう。