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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

北京五輪「外交ボイコット」新聞社説集(朝日新聞は1日遅れて26日に発表)

読売新聞 社説 北京冬季五輪 閣僚の派遣見送りは当然だ

2021/12/25 05:00
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 自由や人権、法の支配は普遍的な価値だ。それを踏みにじる中国の行為は容認しないというメッセージを明確に発信していく必要がある。


 政府は、来年2月から開かれる北京冬季五輪パラリンピックに、閣僚など政府代表団を派遣しないことを決めた。

 東京五輪パラリンピック大会組織委員会橋本聖子会長や日本オリンピック委員会山下泰裕会長らの出席にとどめるという。

 米英豪などは、新疆ウイグル自治区での人権弾圧を理由に政府代表団は参加しないと表明した。

 こうした状況で、日本が高官を五輪に派遣すれば、中国の人権状況を容認していると受け取られかねない。見送りは当然である。

 岸田首相は記者団に、「自由、基本的人権の尊重、法の支配が中国においても保障されることが重要だ」と強調した。そのうえで、五輪が平和の祭典であることなどを指摘し、「総合的に勘案し、自ら判断を行った」と語った。

 中国の習近平政権は、少数民族ウイグル族弾圧について事実無根だと否定するばかりで、国際社会が求める国連の実態調査さえ受け入れていない。経済力を背景に、国際的な批判はかわせると高をくくっているのではないか。

 日本は1989年の天安門事件後、米欧などの厳しい制裁に同調せず、中国の国際社会復帰を支援した。だが、期待していた中国の民主化は進まなかった。この苦い経験を繰り返してはならない。

 日本が曖昧な態度で臨めば、国際社会に、人権より経済的利益を優先する国であるという印象を与えよう。「自由で開かれたインド太平洋」の実現という日本が掲げる理念も説得力が乏しくなる。

 自民党内からは、政府関係者を派遣しない「外交的ボイコット」に、日本も加わるべきだという意見が上がっていた。政府が室伏広治スポーツ庁長官の派遣を一時検討しながら見送ったのは、そうした声を踏まえたものだろう。

 政府は、人権状況を改善しなければ中国にとって大きな不利益が生じるということを、直接伝えていくことが重要である。「総合的に勘案」という言い回しではなく、その旨をもっとはっきり表明すべきではなかったか。

 来年は、日中国交正常化50周年の節目を迎える。

 日中関係を安定させる機会とするには、尖閣諸島への領海侵入や、南西諸島周辺での軍事活動の活発化など、挑発的な行動を中国が改めることが不可欠である。

www.yomiuri.co.jp

毎日新聞 社説 北京五輪、高官派遣せず 対話の継続は欠かせない

朝刊政治面
毎日新聞 2021/12/25 東京朝刊 845文字
 来年2月から始まる北京冬季オリンピックパラリンピックに、政府は閣僚ら政府高官を派遣しない方針を決めた。

 代わって、東京五輪パラリンピック組織委員会橋本聖子会長、日本オリンピック委員会山下泰裕会長ら五輪、パラリンピック関係者3人が出席する。


 米国は、中国の新疆ウイグル自治区などでの人権問題を理由に、外交使節団を派遣しない「外交的ボイコット」を決めている。

 岸田文雄首相は米国に同調する姿勢を示す一方、閣僚経験者の橋本氏が開会式に出席することで、中国との決定的な対立は避けたいと考えたのだろう。


 現実的な判断と言っていい。中国側も強くは反発していない。

 対応は主要7カ国(G7)の中でも分かれている。英国、豪州、カナダが米国に追随する一方、フランスとイタリアは一線を画している。

 岸田首相は記者団に対し、「外交的ボイコット」という言葉は使わず、独自の総合的な判断だった点を強調した。日本の対応に中国が反発して報復に出るなどして、日本経済に悪影響が出るのを懸念したのも間違いないだろう。


 さらに首相が配慮したのは自民党の党内事情だ。

 党内には「岸田首相や林芳正外相は中国に対して融和的過ぎるのではないか」との不満が根強い。このため、一部からは「外交的ボイコット」を決断するよう求める声が早い段階から出ていた。現職閣僚を派遣すれば、批判が一気に噴出する恐れがあった。

 自民党では、中国を念頭に置いた人権侵害への非難決議案を国会で採択するよう求める動きが続いている。臨時国会では決議案提出は見送られたが、対中政策は今後も政権の難しい課題となる。


 来年は日中国交正常化50周年にあたる。安定的な日中関係を築くためには対話の継続が不可欠だ。

 首相は就任以来、「中国に対してしっかり言うべきことは言っていく」と繰り返している。しかし、そうした場面はこれまでほとんど見られない。

 今回の五輪対応に内外の理解を得るためにも、首脳同士が会談する道筋を探り、「言うべきことを言う」外交を実践に移す時だ。

mainichi.jp

日経新聞 [社説]五輪で「人権」は避けて通れぬ

社説
2021年12月24日 19:00


 北京冬季五輪のエンブレム(17日、北京市延慶区)=共同
政府は北京冬季五輪パラリンピックに閣僚ら政府代表団の派遣を見送る。国際社会が重視する普遍的価値である基本的人権を最大限、尊重する雰囲気があってこそスポーツの祭典は世界中から歓迎される。強権的な中国の姿勢を不十分とみなす政府の判断は妥当である。

米国では人権問題を理由に新疆ウイグル自治区からの輸入禁止法が成立した。日本企業も今後、調達先を見直すなど対応を迫られる。女子テニス協会WTA)は先に中国の女性テニス選手の人権に絡む問題から中国での全試合を中止する決断を下した。人権への配慮はスポーツでもビジネスでも避けて通れない。

この措置が「外交ボイコット」に当たるかに関して、松野博一官房長官は「日本政府として特定の名称を用いることは考えていない」とし、人権問題の具体例を挙げることもなかった。

日本が米英と全て同じである必要はない。ただ日本国民が関心を抱く新疆ウイグル自治区、香港などの人権、自由、民主を巡る課題では、今後の日中接触で強く善処を働きかける必要がある。

来年9月は、1972年の日中国交正常化から50年の節目に当たる。安倍晋三首相時代の2020年春には習近平国家主席国賓として初来日する予定だったが、コロナ禍で延期され、その後、日中関係は膠着状態に陥った。両国民の相手国に対する好感度は大きく下がり、正常化50年を素直に祝う雰囲気に乏しい。

とはいえ日中関係には多面性がある。政治・安全保障以外に目を向ければ、企業主体の経済・貿易面、そして民間人が主役の文化面で長年、交流を積み重ねてきた。重層的な交わりは時の政権の意向などに左右されない側面を持つ。

政府代表団の派遣を見送る岸田文雄政権はここで思考停止に陥ってはならない。来年2、3月の北京冬季五輪パラリンピック後を見据え、総合的な対中外交戦略を今こそ練るべきだ。
www.nikkei.com

産経新聞「主張」 五輪派遣見送り 首相は正面から理由語れ

2021/12/25 05:00


岸田文雄首相は、中国政府による人権侵害への抗議だと、正面から語るべきである。

政府は、来年2、3月に開催される北京冬季五輪パラリンピックに政府代表団を派遣する予定はないと発表した。

派遣の見送り自体は当然だが、今回の岸田政権の対応は不十分だ。見送りの理由について、中国政府による人権侵害への抗議だという明確な説明を避けたからである。

人権問題に関する外交的ボイコットの輪に日本が堂々と加わったとはいえず、残念だ。

中国政府は表向き反発しても、腰が定まらない岸田政権は与(くみ)しやすいとほくそ笑むかもしれない。人権侵害に苦しむ人々は日本の姿勢に違和感を覚えるだろう。

岸田首相は記者団に、派遣の見送りをめぐり、外交的ボイコットという表現を使わない考えを示した。見送りの理由については「自由や基本的人権の尊重、法の支配」が中国でも保障されるべきで、五輪は「平和、スポーツの祭典」であるため、「これらの点を総合的に勘案し、適時自ら判断を行った」と語った。

焦点が合っておらず、極めて分かりにくい。岸田首相と松野博一官房長官は、ウイグル人や香港の人々の苦境には一言も触れなかった。人権侵害への憤りや弾圧にさらされる人々への同情を表明することもなかった。

松野氏は、室伏広治スポーツ庁長官が北京五輪に行かない理由について、新型コロナウイルスの防疫措置によって日本選手団を激励できないからだと説明した。

米国や英国、オーストラリアなどは、中国政府による新疆ウイグル自治区や香港などでの人権侵害を問題視し、政府関係者を派遣しないと表明した。理由をはっきりさせているからこそ、外交的ボイコットと呼ばれる。


浮かび上がるのは、外交的ボイコットをする同盟・友好諸国と、これに反発する中国を前に右顧左眄(うこさべん)してずるずると判断を遅らせ、中途半端な態度をとった岸田政権の定見のなさだ。

これでは、バランス外交ではなく、コウモリ外交であるとみられても仕方がない。


これが岸田首相の考える「新時代リアリズム外交」なら噴飯ものだ。真の国益には、人権が守られた国際社会の実現が含まれる。これが外交の大前提である。



www.sankei.com

朝日新聞東京新聞は、政府の”外交ボイコット”発表翌日のこれに関する社説はありません


東京新聞は、発表前の23日に関連社説があります。参考までに。

東京新聞<社説>北京五輪と日本 独自の判断を求めたい

2021年12月23日 07時58分

 来年二月の北京冬季五輪について米国などが「外交ボイコット」を表明したが、日本政府は態度を明らかにしていない。中国の人権侵害には毅然(きぜん)とした立場を示すべきだが、来年で国交正常化五十周年を迎える日中関係にも十分目配りした独自の判断を求めたい。
 米国は今月初旬、中国の人権侵害を許さないとの意思を示すため、北京五輪パラリンピックに政府代表を派遣しない「外交ボイコット」を表明。英国、オーストラリア、カナダなどが追随する考えを示した。
 確かに、新疆ウイグル自治区での少数民族弾圧など、近年の中国の人権侵害は目に余る。
 中国政府は「五輪を政治利用する誤った行動」と強く反発した。しかし、人権侵害批判を「デマ」と切り捨てるだけで反論の根拠を示さず、香港の民主派弾圧で、国際公約した「一国二制度」を踏みにじってきたのは中国である。
 だが、欧米諸国とは違い、中国と歴史的にも地政学的にも密接な関係にあるわが国は、同盟国の米国と足並みをそろえればよいという問題ではあるまい。
 五輪の大舞台でメンツをつぶされたと受け止めた中国とボイコット国の対立が深まり、五輪選手たちや、ひいては国際情勢に悪影響が出るようなことがあれば逆効果でもある。
 あえて「外交ボイコット」には参加せず、独自の判断で、例えば日本オリンピック委員会会長クラスを派遣する方策が国益にもかなう選択ではないか。現役閣僚より格下とはいえ、中国が東京五輪に国家体育総局長を派遣したことへの答礼として見合う対応である。閣僚を派遣しないことで中国の人権状況に対する日本の懸念、批判的姿勢も示せるだろう。
 忘れてならないのは、日本政府があらゆるチャンネルを使って、今回の対応が決して人権侵害を黙認するものではないことを中国側に明確に伝え、他国にも示すことである。
 来年は日中国交正常化から半世紀の節目の年である。尖閣国有化で谷底に落ちた日中関係は改善基調にあるが、まだ本物ではない。
 中国は最大の貿易相手国である一方、日中間には歴史問題はじめ懸案も残る。決定的な対立を避けながら、お互いに言うべきことを言える対話の基盤を崩さないのも政治の知恵であろう。

www.tokyo-np.co.jp



<1日遅い26日の社説>

朝日新聞(社説)北京五輪対応 対話の努力も忘れるな

2021年12月26日 5時00分

 中国の深刻な人権侵害を看過できないというメッセージを発する重要性の一方で、台頭著しいこの隣国と、いかに安定的な関係を築くかは、日本の安全保障や経済にとって極めて重い課題である。粘り強い対話の努力とバランスのとれた賢明な外交が不可欠だ。

 政府が来年2月に開幕する北京冬季五輪パラリンピックに、閣僚や高官ら代表団を派遣しない方針を明らかにした。東京大会組織委員会橋本聖子会長、日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長、日本パラリンピック委員会の森和之会長の3氏が、国際オリンピック委員会(IOC)などの招待を受けて参加する。

 今月初め、米国のバイデン政権が、新疆ウイグル自治区での人権侵害などに抗議するため、政府代表を送らないと表明。英国、カナダ、豪州が追随する一方、2024年に夏季五輪を開催するフランスは、スポーツと政治は切り離すべきだとして同調しなかった。日本は一時検討したスポーツ庁室伏広治長官の出席を見送ることで、米国などと足並みをそろえた形だ。

 ただ、中国への配慮からか、その理由についてはあいまいな説明に終始している。

 岸田首相は「国際社会の普遍的価値である自由、基本的人権の尊重、法の支配が中国においても保障されることが重要」であり、これらの点を「総合的に勘案」したと語った。しかし、香港の民主主義の弾圧や新疆ウイグルなどの問題に具体的に言及することはなかった。

 国際人権担当補佐官を新設するなど、政権として人権重視を掲げるのなら、懸念は率直に示すべきだ。そのうえで、実際の人権状況の改善につながるよう、対話の道は閉ざさず、働きかけを続ける必要がある。

 五輪・パラリンピックの主役はそもそもアスリートであり、政治家や政府代表の派遣は副次的なものに過ぎない。国威発揚や大国間の駆け引きなどに政治利用されるべきでないことは改めて確認したい。

 中国は歴史的にも文化的にも関係の深い隣国で、日本にとっては最大の貿易相手国でもある。歯止めなき軍拡や強引な海洋進出、台湾への挑発的な行動への警戒を強めつつも、気候変動や新型コロナ対策など、協力すべき課題も多い。

 政府のこれまでの対応は、日米同盟や日米豪印(クアッド)の枠組み強化など、中国への対抗に重きが置かれてきた。米中対立のはざまで日本の平和と安全を守るには、信頼醸成や協調の取り組みを併せた、主体的な戦略が求められることを忘れてはならない。

www.asahi.com