「週刊文春」8月5日号、連載コラム「新聞不信」より
……朝日の二十二日付朝刊には驚いた。中止要求した社論と報道義務(ないしは欲望)の狭間でさぞ苦しかろうと心配した方が馬産をみた。
社会面は、東日本大震災の被災地の声を拾い「復興五輪は破綻している」と叩く。だが五輪の特設面は「開いた扉 この夏だから」「物語が、動き出す。」と煽り文句がただ 並ぶ。まるで別の新聞だ。
(略)…朝日は主催する高校野球の夏の甲子園が絡むだけに厚顔さが際立つ。一面でも「無級客 競技スタート」とある五輪記事のすぐ下に「入場者を限定」とする甲子園の記事を置き、「コロナ対策に万全を期します」と謳う社告まで並べる。つまり甲子園は五輪同様「特別」との言い訳か。
(略)
「政府方針に基づく」との見出しは政府を徹底糾弾してきた新聞とも思えない。 ……そもそも社論からすれば、社長が記者会見で質問を受けるのが筋である。
そして……
ふうむ、自分もコロナ対策問題では、主に科学的な知見から甲子園と五輪の違い・あるいは類似を追ってきたけど、さすが文春は触れれば斬れる氷の刃。