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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

連続ドラマ『パトレイバー創作秘話』(脳内)企画案

ドラマ「機動警察パトレイバー創作秘話」

例によって、はてブが多数ついたこの記事を読んでいた
anond.hatelabo.jp
「あー、あのへんは押井氏と、その他ヘッドギアの作家性の違いがあって、いろいろエピソードがあるんだよな…」というのを思い出したけど、何しろブクマは100字だ。俺ができたのは、過去の1記事の紹介のみにとどまった。

…で、『あのパトレイバーというコンテンツが生まれて育っていく過程はたいへんドラマチックだから、連続ドラマとか漫画にすればいいのに』
とは以前から思っていて、そういうものが生まれることを熱望している
m-dojo.hatenadiary.com

…のだけど、まあ、そういう具体的な動きは当分なさそう
そこで「脳内企画」として、もしこれを本当に連続ドラマにするなら、という感じでシリーズ構成をしてみた。NHK土曜午後11時放送、ぐらいな感じで。
芸能界に詳しい人は、キャストなんかも考えてみてください。

ドラマ「機動警察パトレイバー創作秘話」

第1話「それは企画会議ごっこから始まった」

80年代初頭、喫茶店「まんが画廊」でバカ話に興じる若者たち…。それはその後世に出る多くの才能の卵たちだった。そんな中で彼らが熱中したのは架空のアニメ企画を構想する『企画会議ごっこ』。全話のサブタイトルまで完成させる、凝ったお遊びの中で「人が死なないロボットアニメはどうだろう?」という話が持ち上がり、 作業用ロボット、その名も「レイバーマシン」が活躍する『電光石火ギャラクレス』、そして警察ドラマを軸にしたロボアニメ『バイドール』…などが、ゆうきまさみが中心になり発案される。
この企画ごっこを、人づてに聞いたのが出渕裕だった……


第2話「ロボは、焼き魚の匂い」

出渕は、当時出入りしていた豊田有恒主催の「パラレルクリエーション」経由でのプレゼンを思い立ち…さらに伊藤和典をプランに引き込んだ。もっとも当時の出渕裕は、デザイン力が高いがプレゼン力はあまり高くなかった。伊藤はプレゼンを聞いても「?」という感じで、しかも「俺は焼き魚の匂いがするような生活アニメを作りたいんだよなあ…」。
だが、伊藤はその後ゆうきまさみがさらさらとスケッチした下町風景の中に立つ巨大ロボ、のイメージ絵を見て、再び興味をそそられる。しここで伊藤が思いついたのは「だったらその作品を、焼き魚定食のようなロボットアニメにすればいいじゃん」(笑)。
一方で彼らは、この段階での企画を徐々に売り込み始めていたが、「一本だけ持ってくのも、もっともらしくないから」という理由ででっち上げた「ダミー企画」を、小説にしようと言う話のほうが進行してしまったり…


第3話 「クリスマスの陰謀」

伊藤和典はロボットアニメと日常生活ものどう設置をするかを考えに考え…そこでハタと気づいた。「そうだ!映画『ポリスアカデミー』、あのノリを導入しよう!!」。
高田明美氏も加わり、形がほぼ固まりつつあったところで、彼らは年の暮れのクリスマスパーティーに、一見チャラい風貌のバンダイプロデューサー・鵜之澤伸を真の意図を隠して呼びつける。パーティーが大いに盛り上がり、鵜之沢がデザートを食べているとき、突然企画書が突きつけられ…


第4話「世界初? ビデオ連作シリーズ だが予算が…」

大企業バンダイ、ついに動く。そして前代未聞の、「6話連続OVA」が始動へ…だが、そうなった理由は「ひとつの企画で6本作れば、一企画で一本作るより採算性が良くなるから」だった。何か嫌な予感を感じた企画者たちが、予算について聞いてみると、
「一本〇〇〇〇円で」「それ普通のアニメの半分以下じゃないですかーっ!」


第5話「押井、参上!」

とんでもない低価格、低予算の作品となった「パトレイバー」。不安な企画者たちだが、ここで鵜之澤プロデューサーは「そういう予算管理をきちっとやってくれる職人肌の監督を呼んでくるから」と、一人の男を推薦する。
それが当時諸事情でちょっと仕事が干され気味の男、うる星やつらでは伊藤和典とも一緒に仕事をした押井守だった 。「え?フジのプロデューサー岡正さんが『押井は、僕の言うことを聞かなかった唯一の存在だ」と言ってたけど…」
案の定?押井は「学校ものの要素を入れよう」「埋立地を舞台にすれば建物を描くコストが減る」など、優れたアイデアを提供するものの『ロボットは電気釜のような、おんぼろで哀愁のあるやつがいい』とか言い出し…


第6話「双子の兄弟『漫画版』誕生」

バンダイからの”無理難題”は時に破天荒なアイデアもうんだ。「ゆうきまさみ先生、宣伝になるから少年サンデーに漫画版描いてよ。10回でいいからさ…」
しかし、老舗小学館の表看板・少年サンデーでの連載となると、権利の問題なども複雑になってくる。 そして当時は勢いが衰えていて、ヒットしないと言われていた「 SF漫画」「ロボット漫画」の企画。
ゆうき氏は恐る恐る、当時の編集長に「権利も小学館で100%確保できない企画だし、 SF ロボット漫画なんですが…」と切り出す。その答えは?



第7話「全部が番外編?」

そんなこんなで動き出したシリーズだが、低予算の壁はいかんともしがたく…お話作りのところから予算の制約が存在した。特にロボットアクションは実際に映像にすると予算が大幅に喰う。脚本担当の伊藤は第一話で「ロケットパーン…」と叫びながら、実際の画面を省略する、などの工夫をしていたが、「ロボットが動く画面を極力省略するロボットアニメ」を追求していたら、バラエティには富んだ作風にはなったけど「面白くはあるが、全部番外編だ」というツッコミが世間から(笑)。まあー、そんな中で悪ノリして脚本家が「怪獣映画をやりたいから、無理やり怪獣ものにする!」とかしてたから…しかし、ラスト2本はハードに決めよう!と、『日本でクーデターが発生、その時警察の一員である特車隊は?』なんて作品に。
しかし、このOVAで『やってみたけど、全部はやりきれなかった』という不満がそれぞれ別の作品に活きてくる。「ガメラ」、「廃棄物13号編」、そして「パトレイバー2」へ…


第8話 「映画へ、押井を羽交い絞め」

結果的に「パトレイバー」はOVAも漫画も十分合格点以上の優秀な結果を残し、「映画版」「テレビアニメ版」「テレビアニメの続編としての新OVA シリーズ」が次々生まれていく。ただ映画版を作るにあたり、押井監督の路線と、他のスタッフの間に特に大きな亀裂も発生。まず絵柄が大幅にリアル風味に寄せられ、「これで大丈夫なのか」とみなが不安に。そんな折、押井守は、ヘッドギアの面々にこう提案する。
「ラスト、悪の首謀者の帆場は、実は存在していなかった…としたいんだが」


第9話「それぞれの道へ」

他のヘッドギアスタッフが『押井監督を総出で羽交い絞めにした』と回想するように”押井色”をある程度抑え込んで作られた劇場版第一作は大ヒットし、当然ながら第2弾の企画も生まれる。しかしこの中でさらに路線の違いは明確になり、押井は電話で、メカデザインの進行が遅れた出渕裕に文句を言うついでに「おまえやゆうきは、要するにレイバーの宇宙でドンパチ話とかがやりてえんだろ!」と罵倒。
最終的に生まれた作品も高い評価を得たものの…ロボットアクションものとは言えないどころか『そもそもパトレイバーが出る必然性、この話にある?』との声が聞かれ…


第10話「内海、死すべし」

一方で、映画「2」公開の翌年に、 元は宣伝のために10話程度で描かれるはずだった「漫画版」も、長期連載を締めくくることになった。漫画版のオリジナルキャラで、その人気ぶりからテレビアニメ版の世界に引っ張られる形になった『内海課長』とそれが率いる「シャフト企画七課」と、特車二課の最終決戦が漫画版のラスト。だが漫画版を自分の全責任で描くゆうきまさみは、結末についてひとつの悩みを抱えていた。「内海課長は、最終的にどうすべきだろう?新しい悪役像を作った自負はある。だがこの悪役が”勝ち逃げ”してしまって、いいのか…」
そして彼は決断のペンを執る。


最終話「ライト・スタッフ」

この最終話は、その後のヘッドギアのめんめんのそれぞれの活躍が描かれよう。
あるものは「ガメラ」に携わり、怪獣映画の革命を成し遂げ、
あるものはあのレジェンド作品「ヤマト」の、新しい魅力を引き出し、
あるものは世界に影響を与える映画を作り出し
あるものは宝飾デザインという全く新しい分野に乗り出し
あるものは競馬、SFミステリー、歴史漫画などを手がけ・・・・・・
このラストエピソードを、どのようにまとめるか。それは、未来の脳内脚本家に任せよう

(了)