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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

竈門炭治郎の「長男だから我慢できた」が意味するもの…家業を継ぐ特権と義務と

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鬼滅の刃 長男だから我慢できた

鬼滅の刃」何度も書いたように自分は浅い読者なのに、こうもネタにしてすいません。
しかしまあ、このセリフをどっか経由で聞いたときは、感心したと同時に、「よくとおったなこのネーム」とも思いました。大正期の家父長制としてはさもありなんだが、読者の共感を重んじるジャンプ漫画としては、こうやって話題になるほど「特異」なものです。大正時代であるという時代背景を感じさせるものは、そもそも作品的にあるようでないんだけど、このセリフは「ああ、時代は大正なんだな」と思わせるものでした。



上に書いてあることは一方で、やはり長男は「家の財産、屋敷田畑」を継ぐ、という意味合いでもある。食うのも大変な時代はそれこそがまさにメリットで、次男には代わりに高等教育、なんてのはまだいい家の話。次男はなんとか食う当てを見つけての丁稚奉公や部屋住みの実質、家庭内奴隷…なんてこともあった。
必死に歯を食いしばって彼らの面倒を見てあげるのは、炭次郎がいい子だからですわ。ほんと、あのまま平和だったら、小さいころから家計を一手に引き受けて、生涯を送ったであろう。
そんな長男であるかどうかは運しだい。



かといって、優秀な子が長幼の序に関係なく後継者に選ばれる、というやり方や、兄弟が平等に親の財産を細分化して分配する、なんてやり方は…俗説ともいわれるが「タワケ(田分け)」になってしまうだけだろうしね。
世界史を勉強したとき、フランク王国モンゴル帝国が、「先代が死亡したので、兄弟で分割相続した結果、国が分割されて三つの国が誕生した」とか聞いた時、目を丸くして驚いたもんだったなあ。



そういえば、菅義偉首相の経歴も、このへんの長男として家を継ぐだの継がないだのといった話が関係していたんだっけ。
同じ秋田出身で、そして農家という家業を離れたことでも共通している矢口高雄の各種の漫画も、このへんの長男意識が強烈に感じられるような話が多い。そして重い。
(矢口氏は、同じ秋田で上京して成功した菅氏をどうみているのか?どこかぜひとも聞いてほしい)

いまもまだアマゾンキンドル・アンリミテッドでの矢口作品読み放題は続いているのかな?続いているならこのへんの「長男意識」にも注目しつつ読んでみて
数か月前にレビューをいくつか書いた。
m-dojo.hatenadiary.com

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矢口高雄「ボクの手塚治虫」より 学問否定の村、新聞すらない…

ボクの手塚治虫

ボクの手塚治虫


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矢口高雄 「おらが村」

ある作品で、とある長男と長女の悲恋物語を矢口先生が描いた時、近代的価値観を持つ読者は「二人に何もかも捨てて駆け落ちさせろ!」と手紙をバンバン送り付けたのだが、矢口氏は「そりゃ無理でしょ」と信念を揺るがさず、二人の恋を終わらせた。それは「長男だから、長女だから」という意識は間違いなくあった…というか、それですべて説明完了、二人の恋が成就しないのは当然でしょ、ぐらいの勢いなのである

ヤマケイ文庫 おらが村

ヤマケイ文庫 おらが村

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矢口高雄漫画「おらが村」長男と長女のカップルが成立しないのは当然


結局こういう問題は、「経済成長」と家庭の価値観の近代化によってなんとか一時の解消を見た、のでしょうね。
その結果、鬼と対峙しても揺らがない、長男ゆえの鋼の精神もなくなった。

それはプラス面もマイナス面もあるが、不可避だったのだろう…と思いました。