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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

学術会議で任命拒否された宇野重規氏の、書評が面白い。

以前、新聞社は書評欄を、ほぼ全社が無料公開していたが、今のご時世は有料になっているものが多い。

朝日新聞が・・・・ちょっとよくわからなくて、普通に有料記事扱いされているのもある一方で、このサイト「読書好日」は無料らしいな。このへんあとで整理せねば。


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そのなかに。

宇野重規(うの・しげき)
東京大学教授(政治思想史)
1967年生まれ。著書に『<私>時代のデモクラシー』『民主主義のつくり方』『保守主義とは何か』『未来をはじめる 「人と一緒にいること」の政治学』など。『トクヴィル 平等と不平等の理論家』でサントリー学芸賞(思想・歴史部門)。2019年4月より書評委員。

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つまり、任命拒否6人の一人だ
www.tokyo-np.co.jp



全く余談だけど、この人の名前を読むたびに 宇野弘蔵 そして「宇」つながりだけで 宇沢弘文 を連想してしまい 「このひと、偉く長生きやなー・・いや別人だよ!!」となってまう。
そのせいで、あまり興味を持って読んでこなかった。

だけど、「読書好日」からの流れで、評者名を意識せずに読んだら、結果的に面白い本(の書評)ばかりだった。チョイスの時点でいいのだろうな。

不思議な人物である。その名はムスタファ・ケマル・アタテュルクオスマン帝国の軍人であり、トルコ共和国の初代大統領、「建国の父」として長く尊敬された。その政治はむしろ専制的であったが、ともかくもフランス風の世俗的共和国を作り上げ、西欧列強を相手に国の独立を維持した。面白いのは、この人物が徹頭徹尾、19世紀ヨーロッパ的な人物であったことだ。
 幼少時から受けた教育によって科学の力を信じたアタテュルクは、SF小説や科学を啓蒙する著作で知られるH・G・ウェルズを愛読し、心からの科学主義者であった。ルソーを引用し、フランス第三共和制を完璧な政治体制であると考えたアタテュルクは、これをイスラム圏において実現しようとした。結果として、中東地域でも珍しい、世俗的な共和国としてのトルコが生まれたのである。
 矛盾の多い人物でもある。心からのヨーロッパ主義者でありながら、トルコ・ナショナリズムの担い手となり…(略)

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…そこにあったのは、苦しい生活から解放されたいというユートピア願望と、仁政が行われないという怒りであった。日露戦争後の日比谷焼き打ち事件も、大正デモクラシーの枠には収まらず、膨れ上がったナショナリズム感情が行き場を失って、破壊行動へと向かった側面がある。
 民衆暴力は、正当な暴力を独占する国家のあり方と表裏をなす。軍や警察を整備した近代国家はやがて自警団を組織するなど、民衆の協力を得つつ統制力を強めていく。関東大震災時の朝鮮人虐殺にしても、流言を率先して流すなど国家権力の関与は…(略)

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 鋭い論争の書である。しかし、1990年代以降の政治改革にかけた歳月を、単に「失われた三〇年」として全否定するのでないならば、考えるべき多くの問題を提起する本書を無視することはできないはずだ。
 争点の一つは、全体としての政治改革の評価である。この時期の日本は、選挙制度改革、行政改革日本銀行・大蔵省改革、司法制度改革、地方分権改革と、公共部門と呼ばれる領域の大部分で、立て続けに改革が行われた。本書によれば、これらは決してバラバラのものではなく、一貫する「アイディア」に基づく連動した改革であった。歴史においても「極めて高い自己改革能力を発揮した」この改革は、明治維新、戦後改革に続く「第三の憲法体制」を・・(略)

政治改革再考 :変貌を遂げた国家の軌跡 (新潮選書)

政治改革再考 :変貌を遂げた国家の軌跡 (新潮選書)

  • 作者:聡史, 待鳥
  • 発売日: 2020/05/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

宇野氏自身の著書はまだ未読だったが、一般向け新書だけでも結構な数を出している。
これだけ書評のチョイスが優れているなら、これらも優れているであろう。学術会議委員としても、優秀であったろうと思われる。

民主主義とは何か (講談社現代新書)

民主主義とは何か (講談社現代新書)

〈私〉時代のデモクラシー (岩波新書)

〈私〉時代のデモクラシー (岩波新書)

民主主義のつくり方 (筑摩選書)

民主主義のつくり方 (筑摩選書)