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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「わいせつ教諭」公開と厳罰化に、ポピュリスト政治家が目を付けないのは不思議

書き逃していた、少し前の話題を。

文科省教育人材政策課によると、

「処分事実を隠した受験者の採用を未然に防ぐため、過去の処分歴を閲覧できるようにしてほしいとの要望が現場から寄せられていました。そこで『官報情報検索ツール』を18年度から都道府県の教育委員会や学校法人に提供しております」

 官報には教員免許が失効となった者の名前が掲載されるが、これまで検索範囲は過去3年分のみに限られ、期間の延長が望まれていた。そこで文科省は今年11月から検索範囲を過去5年に、さらに来年2月には過去40年に、順次拡大することを決めたのだった。

「大臣や政務官の指導により決定しました。いわば政策判断です」(同)

 なぜ40年なのか。刑法上の有期刑の上限が30年。そしていかなる刑も、刑期を終えて10年経てば前科と見なされなくなる。だから40年を最大範囲としたわけだ。

 だが問題は残る。官報情報には「懲戒免職」や「分限免職」といった失効事由は記されるものの、具体的な処分内容は登録されない。だから教師がなぜ処分されたのかは、各自治体の教委か以前の職場に問い合わせるしかないのだ。
www.dailyshincho.jp

その一方で

……保護者で作る団体が子どもへのわいせつ行為で教員免許を失効した場合は、免許を再取得できないよう求める5万4000人余りの署名を、28日、文部科学省に提出しました
(略)

名前を変えて別の県で講師として採用され、勤務先の小学校の児童に対する強制わいせつの罪で有罪判決を受けたケースもあり、再発防止も大きな課題になっています。

教育委員会などの採用担当者が利用できる「官報情報検索ツール」というデータベースでは、氏名を入力すると教員免許を失効している場合は、その理由などを確認できます。

文部科学省は、システムで検索できる期間を、免許の再取得が可能になる期間と同じ3年としていましたが、来年2月から40年に延長することを決めました。

教員によるわいせつ行為の増加などを理由にあげていますが、延長の対象にあらゆる懲戒免職処分が含まれていることや、機微な個人情報であることから利用する際は厳重な管理も求めています。

(略)……
失効した教員免許を、3年後に再取得できる現状の仕組みについても、見直す方向で検討を進めています。

これには教育職員免許法の改正が必要ですが、文部科学省では、憲法が保障する「職業選択の自由」との兼ね合いや、更生の否定につながりかねないという課題も踏まえ
www3.nhk.or.jp

報道を聞いてふーむ、と思う一件でした。

というのは………これは最近のさまざまな、たとえば「マイナンバー」などにつながる問題なのだけれども「情報自体は集められる。公開も可能である。しかし『それをしない』ことを決めているので公開しない」ということが、すでに数多くあるということだ。

「官報情報検索ツール」というデータベースがある。教員免許失効の人間は、理由を確認できる。2021年から、40年前にさかのぼって検索できる(のだよね?)ただし、これは一般公開されないのだろう。


で・・・・・・・・・・・・



ここで、ポピュリズムタカ派政治家(自治体首長なども含む)が出てこない、少なくともあまり目立たないのが不思議であります。
問題の深刻さをあえて置いておいて、政局的に論じますが、衆院解散が1年以内に迫る今、めちゃくちゃ「おいしい」ネタじゃないですか。
なにしろ、デジタル的な個人情報の、行政による網羅的な活用では消極的な意見が多い気がするはてなブクマですら、賛成論が満場一致に近い。
b.hatena.ne.jp


ここで、さらに…タカ派ポピュリストを代入しよう。「橋上 徹」とか「河野 次郎」なんて名前にしようかね。
彼らの口調を思い浮かべて、お読みください。
「わいせつで処分された教員など、教育界に居場所はない。私が指示して、「官報情報検索ツール」での検索結果は、一般の人も誰でも見られるよう、問い合わせに全面的に開放するように、関係機関に命じました。人権問題?被害者の、そして新たに危険に直面しかねない子供たちの人権以上に、元わいせつ教師の人権が大切なんですか?憲法違反だなんて訴訟がそういう人たちから出てきたら、堂々と受けて立とうじゃないですか。法廷でお会いしましょう、その元わいせつ教師と。とにかく、わたしの責任で、わいせつ教師の処分情報は情報公開します。そもそも民主主義社会において、行政の持つ情報は、あ、市民のものなんですゥ~~~!(どやっ、と見得を切る)」


いかがですか。いかにも、タカ派…だけでもないかもだが、いかにもポピュリストが言いそうなことでしょ。まあ、たとえばリベラルポピュリスト…「保板 展人」区長がやる、という仮定も、リアリティがないわけじゃない(笑)



そもそも、新潮によると、今回のDB検索可能期間の延長も、「大臣や政務官の指導により決定しました。いわば政策判断です」(同)らしいのだから、固有名詞はわからないが

14 田中眞紀子 平成24年10月 1日〜平成24年12月26日
15 下村 博文 平成24年12月26日〜平成27年10月 7日
16 馳 浩 平成27年10月 7日〜平成28年 8月 3日
17 松野 博一 平成28年 8月 3日〜平成29年 8月 3日
18 林 芳正 平成29年 8月 3日〜平成30年10月 2日
19 柴山 昌彦 平成30年10月 2日〜令和元年 9月11日
20 萩生田光一 令和元年 9月11日〜
歴代文部科学大臣:文部科学省


31 堂故 茂 平成27年10月 9日~平成28年 8月 5日
豊田 真由子 平成27年10月 9日~平成28年 8月 5日
33 樋口 尚也 平成28年 8月 5日~平成29年 8月 7日
田野瀬 太道 平成28年 8月 5日~平成29年 8月 7日
35 宮川 典子 平成29年 8月 7日~平成30年10月 4日
新妻 秀規 平成29年 8月 7日~平成30年10月 4日
37 中村 裕之 平成30年10月 4日~令和元年 9月13日
白須賀 貴樹 平成30年10月 4日~令和元年 9月13日
39 佐々木 さやか 令和元年 9月13日~令和 2年 9月18日
青山 周平 令和元年 9月13日~令和 2年 9月18日
41 鰐淵 洋子 令和 2年 9月18日~
三谷 英弘 令和 2年 9月18日~
歴代文部科学大臣政務官:文部科学省

このうちの誰かが主導し、汗をかいて、根回しして実現したのだろう。
処分歴検索・公開を進めたのは、やっぱり直近の大臣である萩生田かな…
www.youtube.com


誰の努力や発案によるものかとわかったら、はてなブクマカの皆さんもほめて、支持してあげてください。政治献金をしてもよかろう。そしてたとえば萩生田が主導したなら「萩生田公開ルール」とか、個人名を挙げて称揚してもいい。
こういうのは「あれ俺、アレオレ」と自分がやったことをアピールばかりするアレオレゾンビの集まる政界だが、今回のことは謙虚に進んだのだろうか。
萩生田はこーゆーこと言ってる……

萩生田文部科学大臣は、今月15日の閣議後会見で「守り育てる立場にある教員が、児童生徒に対してわいせつ行為を行うことは、断じてあってはならない」などと述べ、法改正に前向きな姿勢を示しています。

たぶんアレだな、「オレがやった!オレがやる!!」といくらアピールしたってて、そこにスポットライトが当たるようになるのも、それなりに才能がいるのだろう。
つまり、石原、橋下、吉村、河野ジュニア、保坂といった連中が持ってる「ポピュリストとしてまずアピールするチカラ」を、安倍の腰ぎんちゃくだった萩生田は、あまり持ち合わせていないのだ。それはある意味で良かったわけで、例えば上の
「わいせつ教諭の処分歴チェックをさかのぼって40年間にする!!反対意見や慎重意見も多かったが、私が反対を押し切って、あ、断行するゥ~~!!」と萩生田文科相が大見得を切って猛アピールしたら、そんなにスムーズには進まなかっただろう。その一方で、今回の見立て通り、「わいせつ教諭退治の萩生田」人気は、「はんこ退治の河野」のように基本的に民衆間で大爆発したと思うのであります。

しかし、上に書いたように、まだ行政官僚では「個人情報でもあるし、慎重に…」と考えて、実際慎重なわけだから、まだ自治体レベルで、「しばらく、暫くゥ~いかに、40年前に遡れるたぁいえ、それが公開されないんじゃあ、宝の持ち腐れだあも。この〇〇県知事が、あ、一般公開いたすウ~」とやる余地はある。ポピュリスト道十段の「大池 百合子」知事や「河町 たかし」政令指定都市市長が、そろそろ目をつけないでしょうか。


最後に「メーガン法」を

「性犯罪者の履歴は、行政情報であり、すなわち市民が共有する権利がある。それが公開されれば、市民は子供を守ることができる」という発想は、すでにアメリカで実施された。法律には、被害にあった児童の名前が通称としてつけられた。その結果は……

ja.wikipedia.org
ミーガン法(Megan's Law)(ミーガンほう)は、本来1994年にアメリカのニュージャージー州で成立した性犯罪者情報公開法[1]の俗称である。被害者女児の名を由来としている。その後他州や連邦レベルでも類似の法律が制定されるようになり、現在ではこれらを含めアメリカの性犯罪者情報公開法を一般的にミーガン法と呼ぶことが多い。一般に性犯罪者とよばれる人々をさまざまなメディア、場合によってはインターネット上に公開して身元を特定することを司法権力に要求するものである。