森恒二がいま「創世のタイガ」と並んで並行連載してるのが「無法島」。「自殺島」のスピンオフ(前日譚だっけ?)作品です。
スピンオフ作品というか、簡単に言えばシチュエーション的には似た設定を用意し、そこに別のキャラクターを入れていったらどうなるか?という感じで別のストーリーを描くと。こういう手法も結構多いですね。
、話の展開は、だから前作を超えるとか劣るとかではなく、似たクオリティだと(ちょと前半部分を見逃したところもあるけど)個人的には思っている。
ただ、「個人的興味」という点では、すっげードンピシャなんですよ。
いまでも結構読まれている5年前の記事なんですけど…先にこれを読んでもらうとありがたい。
m-dojo.hatenadiary.com
ここで書いた
より問題なのは、「剣道の達人はヨウジ一本を持っていれば、相手を切り裂く武器として使える」というテーゼである。
いまのところ、銃刀法でヨウジは規制対象になっていない。ならば剣道の達人が常にポケットにヨウジを持っていれば、剣道三倍段である。ヤワラの達人も、カラテの達人も、剣士のヨウジの前に膝を屈するであろう!!少林寺拳法の開祖は「瓦は雨を防ぐために屋根の上に乗せるもので、殴って割るためのものではない」と言ったそうだが、そういう批判は可能だとしても、やはり実戦の場で「ヨウジは歯の間に挟まった食べ物を取り外すためのもので、人を斬る物ではない」といっても始まらないであろう。
つまり、今の日本社会における最強に、一躍「ヨウジをポケットに入れた剣道家」が浮上する、というわけです。
あと、秘伝だ実戦性だと行って、閉じたサークルの中にいるより、完全にゲーム化、競技化して、明確なルールの下で多くの競技人口が競ったほうが最終的に最強戦士が生まれる…というテーゼで考えるなら、野球やダーツのような「ものを投げる」競技にこそ、最強がいてもおかしくはない。
そう、ミルコ、サップはお呼びでない。ヒョードルノゲイラもお呼びでない。
本当に、何でもありの場に立たされた時(ただまあ、銃火器は入手不可能なのだろう)、最強の座を決めるのは「そのへんの棒でもなんでも握った剣道使い」か、「そのへんの石を手にした野球のピッチャー」、この二者であろう、と!!!!
※弓道はもう「自殺島」のメインテーマだったから、外れてよしとする
m-dojo.hatenadiary.com
・・・・・というシロートの妄想と、基本一致するような漫画を、格闘漫画の第一人者・森恒二が描いてるのだ。
惜しいことに、この二人は戦わず、タッグを組んでほかのアウトローたちと対峙するのであるが、それぐらいは許容する。デビルマンとマジンガーだって戦って決着つけてはいない。
そしたらもう、蘊蓄から何から。
まさにこういうのを見たかったわけです。ちなみに剣道は全国大会で上位レベル、野球は高校野球の有望選手。
別のかたちで無法状態に日本がなった「サバイバル」以来の野球選手最強説。
しかし、わるいやつらも知恵を絞る。
「防具」は隠れた、最強の武器ではないか?というテーゼは、実は同じ作者の「ホーリーランド」にも出ていた。ホーリーランドは一応法治国家の中での格闘だから「防具、プロテクターは攻撃武器と違って違法性を問われにくい」という、これまた俺の5年前の問題提起に沿った視点での優位性を挙げていたな。というかそれがその記事にも影響していたと思う。
さて、この後、この最強格闘技候補である剣道、そして野球(石投げ)は、襲ってくるアウトローたちから護身完了できるか?
それは作品をお楽しみに。
ちなみに、最強格闘技の候補として呼び声高きもうひとつの技ーーーーー「なぎなた」を描く『あさひなぐ』はついに雑誌で大団円を迎えたが、ついに路上で実戦ケンカなぎなた術を披露することはなく、「新日本プロレスがが最強などとほざくなら、このなぎなたが戦ってブッ倒しておかねば示しがつかんのであります、押忍ッ」という展開にもならなかったのは残念であると申し上げるしかない。(なるかよ)
- 作者:こざき 亜衣
- 発売日: 2020/09/30
- メディア: コミック
m-dojo.hatenadiary.com