今、大発見の感動に打ち震えています。
わかりますね?
この正体を…ヤマザキマリと、とり・みきが「プリニウス」作中で暴いた!!
と、いう訳。
あれだけマンガ史にくわしく、パロディ大好きなとり・みき先生(ヤマザキ先生はあんまり、他の漫画に詳しいというわけではない)が、それを意識しない訳がないだろう、と勝手に決め付ける。
元の話はこちらから。
kuragebunch.com
というか、プリプリマンの「プリプリ」は、大プリニウスと、小プリニウスを意味すると考えれば、すべての説明がつくではないか…
「プリニウス」。史実としてのそれと、作品と、今回のエピソードについて。
えーと、史実としての(大)プリニウス、おいらはよく知らないです。世界史の教科書に載るレベルの人であることは間違いない。高校の時も登場した。
ただ、どういった人なのかとかはよく分からないし、この連載漫画「プリニウス」も、史実に忠実な伝記、というわけではない。作者2人は、プリニウスの博物誌が記した、どう考えても事実じゃないだろこれ、な話(「半魚人」など)を敢えて物語に加えて、「そういうリアリティラインのおはなしだ」と敢えて明示した…とも語っている。
なので、ウィキペへ。
…プリニウスの著作で唯一現存しているのが、自然と芸術についての百科全書的な37巻の大著『博物誌』である。自然界の歴史を網羅する史上初の刊行物であった。ローマ皇帝ティトゥスへの献辞の中で彼自身がのべているように、この書物には、100人の著者によるおよそ2000巻の本(その大半は現在に伝わっていない)を参照し、そこからピックアップした2万の重要な事項が収録されている。メモや調査の記録は160冊にもなろうかという分量だった。最初の10巻は77年に発表され、残りは彼の死後おそらく小プリニウスによって公刊された。この百科全書は、膨大な参考文献表から始まり[4]、天文学、地理学、民族学、人類学、人体生理学、動物学、植物学、園芸、医学と医薬、鉱物学と冶金、美術にまでおよび、余談にも美術史上、貴重な話がふくまれている。直接見聞きしたものはほとんどなく、受け売りの論評と迷信がないまぜになった風変わりな書物である。
ja.wikipedia.org
ギリシャやローマの時代に、記録されたものが権威となってしまい、どんなに事実に反していても正解とされる、という弊害は困ったもので、ゆえに英国王立学会(ロイヤルソサエティ)はモットーとして「言葉によらず(ギリシャローマの古典(言葉)だから正しいと決めつけない)」を掲げたことは以前書いた通り。
m-dojo.hatenadiary.com
だが、それはもちろんプリニウスが悪いわけではない。
それどころか当時の話を、何でもかんでも記録したい!とりあえず書いて、後世に残したい!!というのは偉大な【記録する者たち】の一人である。
※【記録する者たち】は準タグです。この言葉で検索すると、関連記事が読めます
そもそも個人的には、第1巻で、そういうシーンが出てきたことが、この作品を読むきっかけだった
自分も、「些末なことでも、面白いことを手あたり次第に記録したい」という志向は間違いなくあるが、「しかしそれを完璧にできるほどの教養や博覧強記が無い」ので、結果としてこのブログになっている(笑)
ゆえに、こういう人をリスペクトする。
このブログでも登場した人でいえば
海賊船に乗って知を追うダンピア。
m-dojo.hatenadiary.com
信長と戦国時代にかかわることを些末なことまでかき集めた太田牛一。
江戸時代のゴシップを毎日、日記に書いた元禄御畳奉行。
- 作者:横山 光輝
- メディア: 文庫
「夏の陣」の落ち武者たちのその後を記した、大阪周辺の名もなき庄屋・・・・・・・
m-dojo.hatenadiary.com
「甲子夜話」を書き続け、今では野村克也の引用で知られる「負けに不思議の負けなし」などを世に残した松浦静山…
togetter.com
そういう人の、古代ローマ版である、プリニウスは。つまりは、現代では学問が専門化したゆえに「必然的に絶滅した」博物学の徒だ。
今回のエピソードは「東と西の中継点パルミュラ」。仏教も漢方医学も出てくる…
シルクロードのオアシス都市で、ローマ帝国とパルティア国の緩衝地帯として逆に発展した。そこには遥か東の文化も商品も入ってくる…、というから銀英伝とアルスラーン戦記のいいとこどりだな(笑)
自分は、前近代を舞台にした話で、オーパーツのように当時はあまり交流の無かった異文明異文化が登場する、という話が、根も葉もあるウソとして好きでね。
バキの「ドラゴンロード」も、アルスラーンの「絹の国セリカ」も、史実としての「中国の史書に書かれた西秦(ローマ)の記録」とかもなんか好きだ。
ただ、パルティアに仏教文化や中国の文物が入ってきてるというのは、それなりに根拠があるのだろうし、作中で掛かれた通り、仏教の哲学にローマの知識人が触れて、何某かの感想をもったり、ということも多いにありましょう。
プリニウスの時代にはネロが登場しているから、キリスト教も既出だな。というかプリニウスは23年 – 79年の生涯だから、ある意味でキリストはひと世代前の人物で…感覚的には麻原彰晃を今の30代が見るような目だったかも???
人間の想像力なんて大きな差がないから 「創作物の一致」は時と空間を超えて生まれる。それに「繋がり」をこじつけるととっても楽しい!!
それをやってメシを食ってるのが、星野之宣と諸星大二郎の民俗学ネタ漫画だ(笑)!!
しかしホントに、偶然一致した神話や伝説を「そこには繋がりがあるのだ!!」とするのは、それが真っ当な研究であってもこじつけであっても楽しいものだね。
プリニウスの「博物誌」と、キン肉マンでゆでたまごが(例によって)ぞんざいに物語を進め、設定の矛盾を単行本での書き直しもせずに放置した結果の「幻の超人」を、ひとつのカテゴリーにして論じたら面白くないかいな?
そして、こういう事を書いていくと、アドリブでこじつけの理屈はエスカレートする。
自分だって書き始めた時、上に記述した「プリプリマンのプリプリは、大プリニウスと小プリニウスだ!!」なんてアホなことは考えてなかったよ…