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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

どこにもない国の、外交官の話〜「ネグシ・ハベシ国大使逮捕事件」から60年、ご存知でしたか?

面白い男の、面白い事件からちょうど60年。記録に残しておこう。
佐々淳行の回想による。基本、この書からの引用だが、「金日成閣下の無線機」など、他の本にも載っていたと記憶している。

私を通りすぎたスパイたち

私を通りすぎたスパイたち

ゾルゲ、ラストボロフ、レフチェンコ瀬島龍三、秘密メモ全公開

日本に侵入した様々なスパイたちの捜査秘話を含め、自らがアメリカでスパイ特訓を密かに受け、時にはスパイを操った事実を初告白。


ウィキペディアに載せられることを目指し、内容の記述形式をそのように変更してみよう。

※【追記】その後、実際に投稿してみました。それまでやらなかったのは、アカウントへのログイン方法を失念してたからです。最近パスワードなど思い出した。
そしたら、このブログと同じ内容なので著作権的な問題があるのでは?とウィキペディア内で指摘を受けた(笑)。なるほどもっとも、ですがそういう次第で転載に同意…というか同一者なので著作権問題は無しで。
ja.wikipedia.org

ジョン・アレン・K・ジーグラス

1960年に詐欺罪で逮捕され有罪、服役後に香港に国外追放された白人の男性受刑者。名前、経歴、国籍などはすべて自称で、正式なものかは不明。


1959年10月、韓国人の内妻を伴い入国。
1960年1月、丸の内警察署により詐欺罪の容疑で逮捕される。
チェース・マンハッタン銀行東京支店から偽造小切手で約20万円、トラベラーズ・チェックで140米ドル(当時の邦貨換算5万400円)を、韓国銀行東京支店から10万円、合計約35万円を詐取したとして、チェース・マンハッタン銀行東京支店から告訴されていたことを受けてのもの。
取り調べには警視庁公安部外事課があたり、のちに危機管理の専門家として知られる佐々淳行も担当した。
通常なら警視庁刑事部捜査第三課の所管となるのが自然だが、逮捕後、ジーグラスは自らを『ネグシ・ハベシ国の移動大使で、アメリカの諜報機関員だ』『外交特権の侵害だから、すぐに釈放しろ』と主張。国の場所を問われると地図でエチオピアのちょっと南のあたりを指し、アラビア文字に似ているものの解読不能な「ネグシ・ハベシ語で書いてある」と本人が主張する、週刊誌サイズほどもある巨大なパスポートも所持していた。
パスポートの資格を証明する欄には「ネグシ・ハペシ国国連代表部・特命全権大使」かつ「移動大使(Roving Ambassador…一か国に駐在しないで各国を歴訪して歩く大使)」と書いてあると語った。
このため、外事課が捜査を担当した。


照会の結果、”パスポート”はどこの国が発行した外交旅券でもなく、本人の偽造と判明したが、台北日本大使館が1959年にビザをこのパスポートに対して発行、東南アジア諸国の日本公館のスタンプが押されており、政府内で問題になった。


経歴についてアメリカで生まれ、チェコスロバキア、ドイツを経てイギリスに行き、そこで高校を卒業。第二次世界対戦では英空軍のパイロットで、ドイツ軍の捕虜になったこともある。戦後は中南米で暮らした。その後韓国で米軍の諜報機関員となり、やがてタイやベトナムパイロットをやった。それからアラブ連合の特殊任務につき、エチオピアの国境近くにあるネグシ・ハベシ国の外交官となった。日本に来たのは、アラブ大連合の日本人義勇兵募集という極秘任務遂行のため」と述べたが、最終的に関係各国に紹介し、すべて事実無根と判明。ホテルから押収した印鑑、つまりジーグラス本人の印鑑と、旅券に押されていた発行責任者の印が一致し、パスポートの偽造も立証された。


東京地方検察庁は「国籍不明」として起訴し、国選弁護人も、被告がどこの誰だかわからないまま弁護に当たった。
1960年8月10日、懲役1年の判決が下った判決公判の日に、法廷で隠し持っていたガラスの破片で両腕の血管を切り自殺未遂をする。全治10日の軽傷で済んだ。そのような事態になると判決が無効となり、裁判はやり直しになると誤解した節があるという。
服役中、当時の原文兵衛警視総監を相手に、横領罪による処罰と100万ドルの損害賠償を求めた民事提訴を行う。

佐々が当時の秦野章公安部長に改めて説明した際は「この忙しいのにそんなバカな話聞いてる暇ねーよ、いい加減にしろっ」と言われ、誣告罪や名誉棄損罪での逆提訴も検討されたが「警察は忙しい」として見送られた。
懲役1年のジーグラスが出所したとき「国外退去処分」とされたが。どこに送還すべきかは分からず結局、日本に入国した時の最終寄港地だった香港に送還された。
その後どうなっているかは、回想した佐々淳行も「知らない」としている。

・・・・・すがすがしいほど、どうでもいい事件なわけだが、架空の国をデッチあげて、その国の大使である(顔が広く語学が堪能な外国人を「お抱え」して外交に当たらせる発展途上国はないわけではない)と主張して、日本国政府をきりきり舞いさせた―――なにしろ正式なビザをその偽造、というか元が無いのだから創造パスポートで取得したのだから、日本詐欺師列伝、をつくるとしたら十分その価値があるだろう。

そんな歪んだ価値観の下、情報をネット上に記録するものである。

後日、ウィキペディアにも載せてみよう(いま、パスワードとか忘れてるから新アカウントが必要かな…)
この話は載っていないだろうが、似たような事例が満載の書籍。

詐欺とペテンの大百科

詐欺とペテンの大百科

『詐欺とペテンの大百科』は、人がなぜだまし、だまされ続けるかという永遠のテーマに迫る古典である。初版は1996年に出され、本書はその新装版にあたる。
本書は、社会学犯罪心理学などの参考図書として使われている信頼ある書であり、事例の中には、まだ一般に知られていない恐るべき手口も数多く収められている。ビジネスに関連するものが多いが、それ以外にも歴史のウソ、芸術品の贋作、化石の捏造など、さまざまなトピックを扱っている。

ここで紹介されている事例は、すべて過去に実際に起こったものであり、今日行われている手口のもととなっているものばかりである。中には、そのまま使われ、今なお通用している手口もあるから驚きである。その一例は下のとおり。

自分の精子だけを使い、医者が精子バンクを経営する。
自分が万引きしたように見せかけ、デパートから謝罪と示談金を引き出す。
200人のリストの中から100人に「株が上がる」、残り100人に「株が下がる」と電話をかけ、次に当たった人の100人の中から同様に50人に絞り込む。残った50人はこのインチキ投資予想家を信用して大金を預ける。もちろん、その金は持ち逃げされ、戻ってこない。
架空の都市計画の話を広めて土地価格を高騰させ、自分は売り逃げる。

本書はまた、詐欺とペテンの歴史書として読んでもおもしろい。伝説の詐欺師チャールス・ポンジをはじめ、さまざまな詐欺師のエピソードは、まるで物語のように読者を楽しませてくれる。(土井英司)

2021年追記 1960年の読売新聞で、この事件の記事が見つかった!!

www.reddit.com
 







余談 佐々の本のアマゾン紹介はなぜか充実している

私を通りすぎたスパイたち

私を通りすぎたスパイたち

ゾルゲ、ラストボロフ、レフチェンコ瀬島龍三、秘密メモ全公開

日本に侵入した様々なスパイたちの捜査秘話を含め、自らがアメリカでスパイ特訓を密かに受け、時にはスパイを操った事実を初告白。

第一章 父弘雄とスパイゾルゲはいかに関係したか

小学生の時から、ゾルゲ事件で逮捕され処刑された、あの「尾崎秀実」を間近に観
察し、父が連座して特高に逮捕されるかもしれないと怯えた日々……。戦後、警察
官になったとたんにラストボロフ事件が発覚し捜査にも協力。香港では台湾系スパ
イを運用するかたわら英国MI5に監視される。その姉妹組織MI6のスパイでも
あった作家フォーサイスと知り合えば、作中、実名で登場する羽目に……。佐々流
の波瀾万丈のノンフィクション・スパイ・ストーリーの開幕─。

第二章 スパイ・キャッチャーだった私

一流のスパイ・キャッチャーになるために、秘密裡にアメリカに「留学」。
ジョージタウン大学の聴講生という触れ込みだったが、実際は、CIAやFBI仕込みの
猛特訓を受ける日々。ピストルの撃ち方、スパイの尾行や追跡のノウハウから、
警官ならではの俗語の使い方やら、見るもの聞くものすべてを実地で学ぶ研鑽の
日々だった。唯一、ハニー・トラップに関する講義はあったものの、その誘惑に
打ち勝つための実地研修がなかったことが心残りだったが……。

第三章 日本の外事警察を創る

戦前の治安維持法、治安警察法、国防保安法などがGHQの命令のもと、一気に廃
止された。父への弾圧を思えば、喜ばしい限りだったが、あまりの行き過ぎはかえ
って、日本の治安の混乱を招いた。それを見て、「治安回復(ピース・メーカー)」
こそ、自分の人生をかけてやるべき仕事だと思い、独立後復活したばかりの「警察
三級職試験」を受け合格し、キャリア警察官としてスタートを切った。だが、まず
はエロフィルムの摘発。エロショーが最高潮というときに立ち上がって「そのまま
動くな! 警視庁の風紀係猥褻班だ!」なんて叫ぶ羽目に。スパイ相手に、「その
まま動くな! FBIだ」と名乗るアメリカのようにはなかなかいかない……。日
本の外事警察建て直しまでの長い道のりが始まった。

第四章 彼は二重スパイだったのか?

聞いたこともない「〝ネグシ・ハベシ国〟大使」を名乗る詐欺師。実は、アメリ
諜報機関員員だ……ともささやく。ならば、外事課の分野だろうとお鉢が回って
きたりすることも。亡命を希望したロシア人を西ドイツに無事送ったものの、あれは
もしかして「二重スパイだったのではないか?」と悩むことも。一方、中曽根首相の
ブレーンでもあった瀬島龍三が実はソ連のスリーパーでもあった事実など……。ス
パイの世界は謎だらけ?

第五章 ハニー・トラップの実際

国際紛争を解決する手段として軍事力を放棄している弱いウサギ国家なら長い耳を
持ち、あらゆる情報をなるべく(?)合法的に入手すべき。シハヌーク国王周辺の
情報収集を、その愛人とねんごろになりながら入手した優秀な日本人外交官はなぜ
主要先進国の大使にはなれないのか? とはいえ、首相から外交官までやすやすと
ハニー・トラップにかかる情けないニッポン。「美人局」から逃れるノウハウを伝授
する。

第六章 私を通りすぎた「スパイ本」たち
どこの国でも、「スパイ」「インテリジェンス」は学問の重要な一分野でもある。本
章では「スパイの世界史」を学ぶために、半世紀以上前に拙訳で刊行したラディス
ラス・ファラゴーの『読後焼却 続智慧の戦い』をはじめ、どんな本を読めばいい
か縷々紹介する。高度な学術書としてのスパイ本もあれば、「情交」を通じて「情
報」を狙う女スパイの裏舞台を覗くような本もある。玉石混淆と思われるかも
しれないが、これ、すべてスパイを知るために役立つものばかりだ。

おわりに 一九六三年の危惧

ゾルゲ事件関係者 ラストボロフ事件関係者 主要スパイ事件年表付き

(装幀・坂田政則)