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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

「喧嘩日本一」ケンドー・ナガサキ逝去~MMA黎明期の登場人物でもある

ケンドーナガサキさん、突然の訃報。
数日前までお元気でイベントなどに登場していたり、 武藤敬司に「マスターズプロレスリングに出てよ」と依頼されて快く OK していたり、まだまだ元気だったようだが、やはりあの落としだと突然体調を崩すということもあるのだろう。まことに残念だ。。

さて個人的には、それほどにケンドー・ナガサキが気になる大物レスラーだったということはないんだよね、実は。

たぶん桜田はなぜか人数合わせのような形でドリームマシンと名乗って、正体不明の覆面レスラーとして戦っていた。めっちゃ中堅。 飛行機投げを見せていたような気がするが、記憶は曖昧模糊としている。
ナガサキを強く意識したのは、間違いなくザグレートカブキブームが来てからで、 その第2大人気ぶりからプロレス雑誌は数々の「海外でオリエンタルギミック(当時はギミックなんて言葉は使われなかったが)で戦う日本人レスラー特集」みたいなのが多くて、その時にカブキに次ぐ2番手として登場するのがケンドーナガサキだったのだ。
だから子供心に「じゃあ次はケンドーナガサキが、そのギミックのままで日本に戻ってきてよ!そしてカブキとタッグを組んだら強い」と思ってて、そしてその想像のまんまに「プロレススターウォーズ」の中ではその夢のタッグが実現したんだよ。うわーん。


しかし!仁義なき新日vs全日の興行戦争の中で、ナガサキこと桜田は全日本から新日本に移籍。移籍するのはいいんだけど、その頃プロレス界でもー一つ席巻していた、映画「ランボー」の人気にあやかって、迷彩服を着込む程度の中途半端な軍人ギミックで活躍する……という方をなぜか彼はチョイスし、ランボー・サクラダの名で迷彩服でリングに上がったのだった。そして同時期に新日本のスター候補としてやってきたコンガザバーバリアンとかに、なんかリフトアップされて…まあ、ちょいやられ役の職人的な位置で 落ち着いて、なんかそのもったいなさ感だけ逆に一番覚えてる。
その後、新日のタッグリーグ戦でついに剣道着にペイントのオリエンタルギミックを解禁、 そして傍らに控えていたのが、忍者ギミックのミスターポーゴ。この男も海外で暴れている一人だということだったが実は予備知識がなかったので「?」状態だったし、結局待遇的にも、そのタッグリーグで下位グループに入るような位置に落ち着いてしまった。 それこそカブキなみに売り出せばもっと人気が出たような気がするんだけど新日本に来てみれば、彼らは中途採用グループに過ぎず、それを上位に持ってきて生え抜きの嫉妬を生むような必然性もなかったし、実際のところカブキも含めて、そもそも日本でトップを取ってやる!というガツガツしたところは、アメリカで十分に食えているからこそ少なかったのかもしれない。

その後、 SWSに行ってからの存在感も正直少ない。ただこの頃から、藤原喜明にスポットが当たるような形で「実はプロレス界には道場で恐れられている、『陰の実力者』がいるのだ」という話が流通するようになり、 そこで時々ケンドー・ナガサキの名前が上がり始めているのを覚えている。逆に意外感があったので覚えているのだ(笑)。
そして大仁田厚からのインディーブームで、『インディーの中では十分知名度があり集客力があるレスラー』として扱いが大きくなった。鶏口となるも牛後となるなかれとはよく言ったものだ。そしてその時にフューチャーされる彼の売りは、さっき述べた通りの「影の実力者」そして「喧嘩日本一」だった。

おそらくその頑丈そうな巨体も含めて、日本のプロレス界でそしてプエルトリコアメリカマットでそう呼ばれたことはまさに根も葉もあったことなんだろう。

ただ、そんな人達が1993年に始まった「なんでもあり」の試合、のちにMMAと呼ばれるNHB(ノーホールズバード)の試合で上位に行けるかどうかは、当時は全く未知数だった。ケンドーナガサキは結果的に「そうではない…プロレス界の用心棒とかポリスマンとか言われる人ではなかなか勝てない」という例の一つとなった(桜庭和志はダニエル・スバーンの活躍はまた別ものとなろう。)。それが一緒の先駆けで、衝撃を持ったニュース、試合が大きく扱われたのは逆にせめてもの慰めかもしれない。


その後は申し訳ないが、プロレスラーとしては一種の「余生」であったともいえるだろう。だけどプロレスというのは、その余生に、味や芳醇さを兼ね備えている世界でもある。

全盛期の、海外マットを渡り歩いた武勇伝、あちこちで行われた有名レスラーを向こうに回しての不穏試合の回想(ブルーザーブロディをビビらせたとも言われる)。外国で客を引きつける様々なプロレス頭、そして日本プロレスや全日本新日本、 SWSやFMW、大日本を渡り歩く中で必然的に目にする、耳に効く業界内の暗闘…


こういったものについて晩年は口にし始め、トークショーや取材では時々「危なすぎて内容を載せられない!」と逆に取材者が嬉しい悲鳴を上げるほどぶっちゃけた話もし、自伝も残してくれた。




天寿を全うしたとは言えない若さであるが、それでも多くのことをファンと歴史のために残す時間を持った上でのお別れだったといえるかもしれない。

だから、あまり寂しさを感じずに彼を送り出したいと思う。
ありがとうございました。

ケンドー・ナガサキ自伝 (G SPIRITS BOOK)

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