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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

「ルールを作れば、技術が(勝手に)生まれる」か「技術を継承する」か?興味深い対談あり

ことし4月の記事だが、読み逃したか、読んでも本質がつかめなかったか…どっちにせよ、だれかがツイートかなんかして浮上し、偶然目にしたのだが、このへんの話がじつにこう、考えさせられた。
Dropkickの記事である。

ch.nicovideo.jp


中井  でも、ボクからするとスネークピットジャパンって、教わった技術を継承しようとしていることが逆に凄いと映っているんですよ。ボクらはなんとなく競技のルールを作っていけば、それに合わせてみんな練習するから、それでうまくなるんじゃないかという考え方なんですよね。

鈴木 競技ありきということですね。

中井  そう。「こういうルールです!」という競技を作って練習をスタートすれば、みんな技術が備わっていくという発想なんです。これはおそらく佐山聡先生の感覚だと思うんですけど、その血がボクには流れていて、柔術でもなんでも競技化してしまえば、それに合わせてみんな練習するだろうと。だから、自分のことを客観的に見ると、技術の伝承にはあまり重きを置いてない感じがしますね。

――技術の伝承より、競技化して強さを目指す。

中井  いや、もちろん技術そのものを教えることもできますよ。でも、選手は一人ひとり違うし、「その競技で勝利をつかめる自分を作ればいいんだ」という自分を、どうしても拭い去れないんですよね。だから「中井祐樹の技術を受け継いでいるのは誰だ?」みたいな話になったときに、それはみんなそれぞれ違うからなあ……みたいな。

――技術を伝承するってけっこう難しいことなんですね。

中井  でも、以前宮戸さんと手を合わさせてもらったときに感じたのは、やっぱりとても技術が精妙で、おそらくロビンソン先生に教わったことをそのままやっているんじゃないか……と感じました。だから、これは鈴木さんにも言ったんですけど、技術を継承するならキャッチ・アズ・キャッチ・キャンの大会をやればというようなことを……それも大それたことなので、あんまり言っちゃいけないなと反省もしたんですが(笑)。

わかりる???
わかりる???

すごいこと言ってるのよ、これ。
つまりだ、選手二人でとっくみあって、抑え込むなり、関節を決めて参ったさせるなり…、その関節も足関節を極めていい、いやそれは禁止だ、いっそ馬乗りから殴ってもいいぞ、いやいやむしろ、足の裏以外が一瞬でもついたら負け、土俵の外に出されたら負け…

こんなルールを決める。やりたいひと集める。やらせる……と、自然にそのルールで勝てるように、複雑微妙に道着を持って足をかけて転がすような、そんな技術が生まれていく、と。


その一方で、別の流派は、「この腕を持って、こっちはこうして、これに体重をかけて…」みたいな技のやり方をまず教えていく。それを優先する。選手たちも、まずそのように動いて、その技をやろう、ということに集中する。


これが流れ流れて、時間を経ると、その行きつく先は、大いに変わる…んじゃないかな。


この前の記事を思い出そう。有名柔術コーチが語った嘉納治五郎論。結果的に骨法・堀辺正史氏のいうことと同じになったが、それはそれとして正しい。

m-dojo.hatenadiary.com
「…彼(嘉納治五郎)は、近代のマーシャルアーツトレーニングにおける、もっとも偉大な叡智をもたらした人物でもある」

――もっとも偉大な叡智?

マーシャルアーツの価値を決めるのは個々の技術ではなく、トレーニングシステムだということだ。そして彼はそのトレーニングシステムを導入した。ランドリだ。そのことによって、コンバットスポーツ(格闘競技)と伝統的武道(トラッディショナルマーシャルアーツ)の違いが生み出されることとなった。文字通りの形で、だ。
そしてこのコンバットスポーツこそが、現代のマーシャルアーツにおける大いなる革新をもたらしたんだよ」

その骨法でも、話があったじゃん。MMAの衝撃を受けて模索しているうちに、矢野卓見がさまざまな技を編み出し、強くなっていった。
だけど、そうやって強くなったはいいけど、それは堀辺氏が頭の中で描いた「骨法の戦い方」とは違っていた。だけど、稽古、実戦形式のスパーリングをしたら、その「堀辺正史の机上の理想」より「矢野卓見の路上…じゃないな、稽古場の現実」のほうが上回る、と…

ch.nicovideo.jp

――矢野さんはそういった研究が骨法では許されなかったと言われてるんですよね。
北條 ボクらは先生の指導を忠実に守って練習してたんですよね。でも、矢野さんがインタビューで言ってたじゃないですか。それより自分が教えたほうが強くなれる、と。でも、なんというんですかね、ボクは先生に指導されて強くなりたかったというか……ただ強くなりたいというよりは先生に教わって強くなりたかったんですね。たしかにあの当時は柔術をやったほうがよかったかもしれないですけど。


おそらく、大局的にみれば、ランドリシステム…中井氏がいうような、ルールを作って、その中で競っていくうちに強さもセオリーも生まれてくるほうが優位になるとはと思う。ただ、そこに、「教わったことを守り続ける」人達が、ときおりエッセンスを加えることで、進歩していくのもまた事実なんじゃないか?と思う。それはあくまでもエッセンス、従に過ぎないのかもしれないけど。


まあ、どっちにしたって熱心に練習していれば、強くなることは間違いない。
いいところがそれぞれに残り、そしてのちに、時々に混ざり合えばいいのだろう


しかし、机上でそんな話を聞くことがメインで好きなだけというこちらにも、何かふかあく考えさせるものがあったのだよ。

中井祐樹の新バイタル柔術

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  • 作者:中井 祐樹
  • 出版社/メーカー: 株式会社 日貿出版社
  • 発売日: 2018/11/02
  • メディア: 単行本

希望の格闘技

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