この回からの内容、走り書きメモ。
1967年7月25日に創刊した日本初の週刊青年漫画誌「週刊漫画アクション」。その巻頭を飾ったのがモンキー・パンチの『ルパン三世』だった。まだ無名の新人漫画家の描いたその作品は瞬く間に評判となり、当時の若者たちの心を掴んだ。神出鬼没の大泥棒はなぜ国民的人気キャラクターになりえたのか?
ルパン三世の作者モンキー・パンチと、同じ時期にアクションの看板漫画家であった友人のバロン吉元は、ともに編集者から勝手にペンネームをつけられた。二人で抗議したが、変更してくれなかった。そういう名前をつけることで共にオシャレで外国風の匂いがあった二人を、読者にもしかして外国人の漫画?と思わせる効果を狙ったんだそうだ
二人で飲んだ時にモンキーパンチは「あんたはバロン(男爵)だからまだいいよ、俺なんかモンキーだよ。俺いやだよ」とぼやいていたとか。
アクション創刊時、責任者は売れなかったら辞表を出す覚悟だったが、いざ発売してみると「大変です、返本が…全然返って来ません!」と、雑誌は大ヒットした。その看板作品。
※雑誌としての「アクション」、漫画としてのルパン三世は、既に実録漫画がある。吉本浩二「ルーザーズ」。
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その人気を受けて、ルパン3世のアニメ化企画も持ち上がるが、これは当時、まったく前代未聞、初の試みとなる「大人向けのテレビアニメーション」の草分けだった。
その「大人向けアニメーション」を指向した痕跡が、 第一作シリーズの第一話に顕著に残っている。一番重要なところは「状況の説明」「登場人物の説明」を大胆に省略した絵描き方。そういう「わかりやすさ」をあえて排除したスタイリッシュな作風だった。またルパンの愛銃「ワルサー P 38」に代表されるような、 メカの精密な書き込み、こだわりも前代未聞だった。ルパンの乗っている車、あれは当時日本に2台しかなかった。所有者からお借りして、最後まで絵の参考にした。
しかし!残念なことにこの「大人向けアニメ」の挑戦は最初は失敗に終わった。平日夜7時半の最初の放送で視聴率が非常に振るわなかった。そこでわかりやすくするための路線変更と工夫がなされたが、計6話を担当した初代監督大隅正秋は「新しい挑戦をするはずだったのに、そんな風に路線変更するんじゃ意味がない」と、降板を選んだ。
その時のやり取りで、制作側から監督に「花道は作ってあげられないよ」と言われ「自分にとってアニメは、本業ではありません(舞台・演劇の監督がメインだったそうだ)から」「それもそうだね」なんてやりとりだったそうな
大隅監督降板後の路線変更シリーズは、宮崎駿や高畑勲らが奮闘する。「俺はルパン3世…世界中の警察が俺を狙って血まなこ、ところがこれが捕まらないんだなあ」という、ちょっと有名なオープニングナレーションは、まさに「登場人物の説明」を補うために新しく作られたものだったという。
ちなみに全文はこちら
俺の名はルパン三世。かの名高き怪盗ルパンの孫だ。世界中の警察が俺に血まなこ、ところがこれが捕まらないんだなあ。ま、自分で言うのは何だけど、狙った獲物は必ず奪う神出鬼没の大泥棒、それがこの俺、ルパン三世。
次元大介、俺の相棒。早撃ち0.3秒のプロフェッショナル。クールなガンマン。その上、義理堅く頼りになる男。
13代目石川五右エ門。いにしえの大泥棒、石川五右エ門の末裔。居合い抜きの達人。
何でも真っ二つにしちまう、怒らせると怖~い男。
銭形警部、御存じ銭形平次の子孫。警視庁の敏腕警部。俺を捕まえるのを生き甲斐とする、俺のもっとも苦手なとっつぁんだ。
謎の女、峰不二子。女盗賊か女スパイか、この俺にもわからない謎の女。いつもひどい目にあうが、憎めないんだなあ。
俺ぁカワイ子ちゃんには弱いからねえ。
さてさて、これら一癖も二癖もある連中に囲まれて、今週はどんな事件を巻き起こしてやろうかな?
(ルパン三世 初期オープニングより)
http://www.ne.jp/asahi/sansiro/takahashi/rupan.html
だけれども、人気挽回には至らず…結局最終的には 低視聴率のままでシリーズは終了した。
ところがである。その後夕方5時半からの再放送で、なぜか人気が爆発。視聴率がぐんぐん伸び、パート2の作成が決定したのである。かつては確かに夕飯時のアニメーション再放送というのは定番でしたね。なぜ最初は人気が出ずに、再放送で人気が出たのか。これについては別に番組でも理由は説明されてない。なぜだろう。
Part 2以降は、例えば鈴木清順らが参加する。ルパン3世と仲間たちというキャラクターの定番を押さえた上で、自由に監督の個性が出せるような作品にルパンは変化していった。
最後にバロン吉元がこんな秘話を明かす。
「モンキーさんは、以前手塚治虫さんにも「いろんな新しい作品にチャレンジしてみたら?」と言われて、新しい作品を書いてみたい、と出版社に言ったのね。ところが編集者の方が、いやお前はルパンをずっと書き続けた方がいい…と言ったんだ。ここまで…世界的に世代を超えて有名になるような超人気キャラクターなんだと、その時彼は見抜いていたんだね」
「モンキーさんは、『俺の漫画には、努力すれば報われるとか、困った人を助けようとか、そんな教訓が一つも入っていないんだ』と、それを誇っていた」
ちなみに今後の再放送予定に「カメラを止めるな!」秘話が
9月2日(月) 午後11時45分
アナザーストーリーズ「“カメラを止めるな!”~低予算×無名が生んだ奇跡~」
映画「カメラを止めるな!」をあなたは見たか!?予算わずか300万円、当初の上映館はたったの2か所、監督も俳優陣もまるで無名という地味な作品が、口コミでみるみる評判となり、全国上映される大ヒット映画に化けたのだ。映画の冒頭は、なにやらB級感漂うゾンビもの。だがそのウラに隠されたとんでもない仕掛けと計算が、観客を熱狂させた!金はなくても夢はある!熱き思いが、8日間の撮影で起こした奇跡の逆転劇!
偶然、本日8月27日の「なつぞら」にも関連話が
なつぞら。なつが作画監督になった「キックジャガー」は「タイガーマスク」、一久が制作してる「カポネ」は「ルパン三世」なのか
— watajun (@nyarometokyo) August 26, 2019
あー、旧ルパンの後半で高畑宮崎コンビに交代して作風を明るくした話がモデルか #なつぞら
— tenko_TV (@tenko_TV) August 26, 2019
「三代目カポネ」は『明るくしてくれ』と要請されているようですが、これは「#ルパン三世」の最初のTVシリーズがモチーフになっていますね。視聴率が伸び悩んだことで大隅正秋から高畑勲・宮崎駿コンビに演出が変わり、ハードボイルドな作風からコミカルな作風へと路線変更されました。#なつぞら pic.twitter.com/tq4P3vzxVc
— キャッスル (@castle_gtm) August 26, 2019
『三代目カポネ』の設定が、だんだん『ルパン三世』に近づいてきましたね😌
— ジブリのせかい【非公式ファンサイト】 (@ghibli_world) August 26, 2019
『ルパン三世』も最初はシリアスなハードボイルド路線で当たらなくて、途中から高畑さんたちが参画して現在のコミカル路線に変更することでヒットさせたんですよね。#なつぞら #ルパン三世 #三代目カポネ #坂場一久 pic.twitter.com/0DTwDRR4eE