う、うーん……(入試問題に拙作が使われたが、引用部分がミステリの真相そのままだった。試験問題への利用を止めることは出来ないが、過去問集への収録は正直なところ胃が痛い。一度はこれも受験生のためと許可したが、今年もまた使いたいと申請が来てしまった。今年も胃が痛い……)。
— 米澤穂信 (@honobu_yonezawa) 2019年6月20日
なにこれ
おもしろ
すぎる
ぜひ、毎年これをやってほしい。アクロイド殺しとかロートレック荘事件とかいいんじゃないかな。
ただまあ、試験を作る人も完ぺきではない。
掴んでこぼして 不完全な僕たちが
光って見えない 未来の自分を作れるなら
いいのではないですかね(何がいいんだ)
しかし、真相部分を出してしまうのもそりゃ問題だが、導入から伏線まですべて紹介して「さあ、犯人とそのトリックを解いてみろ」という入試問題があったら、そりゃそれで問題だ。(存在しねぇよ)
「不連続殺人事件」作者が、犯人発見前の回に書いた挑戦状
附記 愈々、今回をもって、皆さんの解答をいただく順となりました。
毎々申し述べました通り、皆さんの御存知ない事実から、巨勢博士が犯人を推定するということは、致しません。ただ、彼が旅行先から見つけてきた確証は皆さまの御存知ないものですが、然し、これは、皆様御存知の事実から博士が推定しましたことで、犯人の推定の根拠については、巨勢博士の知識の全てを皆様も亦、持たれているわけです。
さて答案ですが、犯人の名前だけ当てたって、ダメですよ。法廷へ持ちだして、起訴することができるだけの、推理がなければ、いけません。推理は、どんなに長くても構いませんが、出来うる限り、簡にして、要をつくして下さい。原稿紙でなくとも、よろしいです。レターペーパアでもかまいませんが、文字はハッキリした楷書で書いて下さるように、呉れ呉れもお願いします。
答案の宛先は、日本小説社、です。封筒に探偵小説解答、と書いておいて下さい。
今まで、附記で、さんざん、ダボラをふきとばして恐縮ですが、作者の意図するところは、皆さんに、知的な娯楽を提供し、クソ面白くもない世の中に、何日、何時間か、たのしい休養のゲームを贈り物し、一つ無邪気にシカメッ面のシワの洗濯をやりましょう、という微意にほかなりません。
したがって、迷答、珍推理を発表して、皆さまに恥をかかせるような心なき業は致しませんから、安心して、解答をお寄せ下さい。
賞金を分割するのはイヤですから、最優秀の答案に、御一人に呈上いたします。その代り、犯人の当った答案が一つもなくとも、最優秀の答案には、必ず、全額呈上いたすことをお約束致します。
まったく、もって、巨勢博士と同じようにピタリと推理のお方があれば、それはもう、まさしく、作者の大敗北です。つくる方よりも、見つける方に、はるかに大才能を必要とすること、明白で、満点の答案をお書きの御方は、日本一の名探偵にまちがいありませんよ。などと、これだけオダテテおくからには、そんな天才は一人も居ないや、アッハッハという意味であること、これ亦、明白でありましょう。
さて、作者の演技は終りました。これより皆様の御熱演、ハイ、東西東西。
〆切は昭和二十三年四月十五日。
坂口安吾
作品全体が青空文庫で読めます
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