www3.nhk.or.jp
父親が女の子を後部座席に座らせたあと、鍵を車内に置いたままドアを閉めてしまい、車のロックがかかってしまったということです。刑務所外での社会奉仕活動のため近くで道路の中央分離帯の補修作業をしていた受刑者5人が異変に気づいて駆けつけ、車上狙いの手口でハンガーを使い、わずか2分ほどでドアをこじあけました。
女の子が助け出されると、見守っていた周りの人たちから大きな歓声が上がり・・・・・
以下の話は、思い出す人も多いし、言わでもがなだろうけど、やっぱり一応置いておきます
www.alz.jp
一人の監獄が、刑務所内にある靴工場へやってくる。そのとき、ジミィ・ヴァレンタインは靴の革をせっせと縫っていたのだが、監獄に連れられて、表の事務所へ行くことになった。事務所に入ると、刑務所長がジミィに恩赦状を手渡した。今朝、知事の手でサインされたものだった。ジミィはやっとか、というふうに受け取った。四年の刑期のうち、もう十ヶ月くらいになる。三ヶ月くらいですむものと思っていたのだ。だいたいジミィ・ヴァレンタインのように、外にお友だちがたくさんいる人間は、刑務所にぶちこまれたからといって、いちいち頭を刈ってたんじゃ、きりがないくらいだ。
刑務所長が言うには、「あー、ヴァレンタイン。明日の朝、お前は出ていいぞ。しゃんとして、まっとうな人間になれ。根は悪いやつじゃないんだから。金庫破りもやめて、堅気で生きろ。」
(略)
(略)
……だしぬけに、女性の悲鳴が一声、二声上がって、場は騒然とした。誰も見ていなかったところで、年長の九歳の方の娘のメイが、おふざけで、アガサを金庫の中に閉じこめてしまったのだ。そしてアダムス氏がやっていたのをまねして、かんぬきを差し、ダイヤルを回してしまった。
老銀行家はハンドルに飛びついて、ぐっと引っ張ったが、
「ドアが開かない。時計のねじも巻いていなかったし、ダイヤルも合わせておかなかった。」
アガサの母親がまたヒステリックに悲鳴を上げた。
「静かに!」とアダムス氏は手をふるわしながら上げた。「しばらく、誰も静かにしなさい。アガサ!」と声の限りに呼びかけた。「聞こえるか!」
一瞬の静寂があってから、中から子どものかすかな声が聞こえてきた。真っ暗な金庫の中でパニックになって、怖くて泣きじゃくる声だった。
「アガサ! アガサ! 今にもおびえて死んでしまうわ! ドアを開けて! いいから、こじ開けて! 男のくせに、何もできないの!」
と母親が泣き叫ぶと…(後略)
オー・ヘンリー・・・お話のテンプレ作りのレジェンド中のレジェンド
だけど自分は、このお話の類型を、この作品で読んだのじゃない。いまとなってはタイトルも忘れた、何かの刑事ドラマが夕方五時に再放送されていて、その中で、このシチュエーションが登場したのだ。
<※注意、以下ネタバレ入ります>
・自分のスキルや道具や地位、特殊能力を使えば、だれかを助けることができる
・だがそれは(元)犯罪者(悪魔や超能力者のことも)であることをばらしてしまう
・それにも構わず、助ける!
・自分のことがばれるのを覚悟したが、本来なら正体を現した彼を捕まえる(暴く)立場の人が、そのまごころに感動し見て見ぬふり…
というオチ部分まで含めると、いろんなところで使われているはず。
というか、オー・ヘンリーがお話の筋を換骨奪胎されて、他作品に使われた例がありすぎるぐらいある。
ほかにも
・病弱な子が、何かの状態に自分を仮託して「XXXが〇〇になったら自分も死ぬ」と考えている。そのために、誰かがXXXを守ろうとする
・幼馴染が再会を約束していたが、一人は大悪党になっていて、もうひとりは……
・金銭的に困っている恩人がいるが、この人は誇り高く清廉で、ふつうに金を渡しても受け取らないだろう。だから知恵を絞って…
・平凡で貧しい子が、ほんの思い出にと、ある場所ではお金持ちのふりをしていたところ、そこでステキな出会いが。恋の喜びと、身分を偽っている罪悪感が…
・誘拐犯が身代金のために子供を誘拐したところ、こいつがたいへんなわんぱく坊主。根は人のいい誘拐犯はそれに振り回されて…
最後の奴は、ここでも考察した
m-dojo.hatenadiary.com
m-dojo.hatenadiary.com
いやホント、彼が元祖かどうか確認してないものもあるけど、やっぱり少なくともいったんO・ヘンリー作品を経由して知られた物語テンプレ、シチュエーションは多すぎる。彼の作品は、なぜかみんな「ちょっとイタダキしようかな」と思わせる何かがあるのかな(笑)?
こういう、「テンプレ化したお話の元ネタレジェンド」として
マーク・トゥエイン
H・G・ウエルズ
ジュール・ヴェルヌ
などと並んで、名前を挙げていい人。この四天王の中でも、O・ヘンリーはむしろ筆頭?
そんな話は、ここでも少ししています。
m-dojo.hatenadiary.com
もう著作権がきれているから、翻訳出版された本もいろいろあるけど、
- 作者: オー・ヘンリー,大津栄一郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1979/11/16
- メディア: 文庫
- 購入: 3人 クリック: 20回
- この商品を含むブログ (9件) を見る
1ドルの価値/賢者の贈り物 他21編 (光文社古典新訳文庫)
- 作者: O・ヘンリー
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2012/02/10
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
- 作者: 飯島淳秀,オーヘンリー
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1989/05/01
- メディア: 文庫
- クリック: 5回
- この商品を含むブログ (5件) を見る
- 作者: 清水武雄
- 出版社/メーカー: 松柏社
- 発売日: 2005/07/01
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (3件) を見る
- 発売日: 1969/04/10
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログを見る
青空文庫に
www.aozora.gr.jp
があるのはありがたい…5本のみではあるが。
そして今、自分も知ったのだけど、
https://www.ttfarm.org/%E7%BF%BB%E8%A8%B3%E4%BD%9C%E5%93%81/www.ttfarm.org
戸山翻訳農場は2011年4月にスタートしたプロジェクトです。
アメリカ短編小説の名手O.Henryの全作品を翻訳、公開していきます。
というサイトがあり……青空文庫ではカバーされていない翻訳作品がある。
まあ、魅力的な作品だから、自分で翻訳してみたい、それを広く公開してみたいという思いを持つ人は多いだろうね。自分だってやってみたいわ、英語力が無いだけで(笑)
こういうサイトがあるようにね。
221b.jp
重要追記 これの更なる元祖は、「レ・ミゼラブル」の「ジャン・バルジャンの馬車持ち上げ救出劇」ではないか?という話(忘れてた!)
コメント欄から。
トム鈴木
O・ヘンリーの執筆活動スタートの数年前に『レ・ミゼラブル』で「マドレーヌ市長(怪力のジャン・バルジャン)が馬車の下敷きになった老人を救うために、自分を追うジャベールの前で怪力を披露してしまう」シーンが書かれたようです。しかし、映画や舞台と違って原作ではジャベールは直接見ていなかったようですが。
7時間前 Add Star
トム鈴木様、いや!まったく仰る通り!!
というのは、自分もこの前の分析で、同じ結論に到達してたんです!!
だけど、すっかり忘れてたんです!!(笑)考察を繰り返して、深まるどころか後退するとは…(笑) コメントを収録させてもらいます
【過去に書いた、その該当部分】
https://m-dojo.hatenadiary.com/entry/20150625/p3
>・元犯罪者が、そのスキルを使えば人助けをできる。だがそれをしたら、分かる人には前科がばれてしまう…
ま、これだって元ネタがあるものはあるだろうし(たとえば最後の例、ヘンリーは金庫破りでそれをやったが、元は起重機のジャンが馬車の転倒事故から人を助けた「レ・ミゼラブル」かもしれない)