twitter上で、少し「日本共産党と拉致問題の経緯」についての話題があり、自分が久々にツイートの中で「兵本達吉/萩原遼」(ともに共産党を除名・除籍処分)の名前を出した。
それを受けて、そういえば彼らの近況はどうだっただろう?とtwitterで検索すると、兵本氏はおいて、萩原氏が…
萩原遼先生が亡くなった。元バリバリの共産党員。赤旗の平壌特派員で現地を見て、その後帰国事業などで更なる現実を見て、北朝鮮への批判をした人。その人を日本共産党は除名しました。正義をやり続ける人。右とか左なんて超えた人。リンク先は除名文。アホの共産党。https://t.co/8lyDh5wRx6
— フミエイツ (@fumieitsu) 2017年12月27日
「この時代に最も必要なのは真実、そしてそれを愛するがゆえにうけなくてはならない受難にたいする情熱である」。
— Hyangsu Park (朴香樹) (@baglekang) 2017年12月30日
大きな励ましと優しさを受けた萩原遼さんのお言葉。突然の悲報に呆然としています。ご冥福を心よりお祈り致します。
故萩原遼編集長の偲ぶ会に参席させていただきました。故人の様々な逸話を伺うことができ、とても意義深い時間を過ごせました。お招き下さり心より感謝申し上げます。 pic.twitter.com/VcfM4DAeP2
— 高来 れい@星へのあゆみ出版 (@Takaki_Rei) 2018年1月14日
なんと……胃がんであることは知っていたが、手術後数年も経過していたのだけど。
自分も2度ほど、講演会およびその後の懇親会でお会いしたことがある。名刺もどこかにあるはずなのだが‥
そして年末のあわただしさで訃報に接していなかったようだ。実に残念だ。金王朝が瓦解し、平壌からあの醜悪な銅像が撤去倒壊される光景を見て戴きたかった。
また、彼の勇敢な活動に、なんらかの賞や表彰で報いてもらいたかった(もちろん、執筆したものに対しては、「大宅壮一ノンフィクション賞」という、極めて大きな賞をもらっているが)。マグサイサイ賞とかね…
萩原遼氏の逝去に関する記事
訃報
https://mainichi.jp/articles/20171226/k00/00m/040/041000c
http://miura.trycomp.net/?p=4548
萩原氏は苦悩しつつも、1990年代以後、北朝鮮の人権問題を告発する運動を始めました。1994年に「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」を、小川晴久氏、金民柱氏らと結成して、北朝鮮を告発した時は、総連の暴力にさらされました。同時期、関西では李英和氏をはじめ、RENKの運動が北朝鮮の独裁体制民主化を訴えました。私のように、もともと反共産主義の人間は、北朝鮮を批判するのは簡単なのです。しかし、萩原氏のように、日本共産党に属し、共産主義の理想を信じ、在日朝鮮人と交友していた人が、北朝鮮と、それを批判しない日本の多くの左翼陣営を敵に回して戦うことがどんなに大変だったか、私には想像を絶するものがあったはずです。
萩原氏は、そこで誤解にさらされ、友人を失うことも畏れず、断固として、北朝鮮の独裁体制を批判し、帰国者、日本人妻の救援を訴え、その後明らかになった拉致問題に対しても日本政府に同胞救出を訴えました。萩原氏をはじめ、横田めぐみさんの拉致が明らかになる前に、日本の左翼系の方と在日コリアンの人たちが北の人権問題に立ちあがったことは、少数派だったとはいえ、忘れてはならないことだと思います。
http://miura.trycomp.net/?p=4571
‥…朝鮮総連との戦いを続ける萩原さんの活動の意義は認めたうえで、本当は萩原さんに、自叙伝をまとめてほしかったんですよね。確かに大宅壮一ノンフィクション賞を取った「北朝鮮に消えた友と私の物語」がある意味自叙伝的なものではあるのですが、あの本にはもっと書き落としたことがたくさんあるように思っていました。萩原さんの世代にしかありえなかった在日との付き合い、共産党体験、北朝鮮の人権問題に取り組んだ時の決意と、その運動の中での出会い、そして挫折・・・ある時代の証言が書けたと思うんですよ。でも、萩原さんは、最後まで総連と戦うことが生きがいだったのでしょうし、自伝を書く意志はなかったのかも。一度だけそう勧めたことがあったような想い出がありますが、それはそのままに終わってしまいました。
http://araki.way-nifty.com/araki/2017/12/news2617291226-.html
…萩原さんは一度はガンで死線に立ち、復活してからは「拉致と真実」を出し続け、金正恩体制や朝鮮総連と闘ってきました。その姿には鬼気迫るものがありました。私のことも随分気にかけて下さり、「拉致と真実」の中でもこのメールニュースが多数掲載掲載されています。私と萩原さんはかつては共産党と民社党という、最も敵対していた政党の専従同士であり(その頃お会いしたことはありませんが)、二人でいるときに何かあればその話が出てお互い運命の不思議を笑っていたものです。
萩原さんが「赤旗」平壌特派員だったときに写した一枚の写真が大韓航空機爆破事件での北朝鮮の嘘を打ち破るきっかけとなったのは大変な功績でした。当時の思想は正反対だったのですが、政党の専従者としての先輩という意味でも尊敬すべき人でした。
「また一人…」という思いの中で、あらためて萩原さんが果たせなかった北朝鮮の解放と拉致被害者救出を霊前に捧げなければと思っている次第です。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20171225
……去年には「朝鮮総連本部をさら地にする会」を結成するなど、元気で活動を続けていたと思っていた。心不全による突然死だという。かつて平壌に日本共産党の「赤旗」特派員として駐在し、115人が犠牲になった1987年の大韓航空機爆破事件の実行犯、金賢姫の正体をめぐって時の人になった。
「金賢姫などわが国の人間ではない」とシラを切る北朝鮮に対して、萩原さんは、少女時代の彼女はこれだ!と北朝鮮で撮った写真を発表した。ところが、結果的にそれは勘違いで、金賢姫は萩原さんがポイントした少女の隣で陰になっていた。別角度から撮影していた読売新聞の写真があることを知り、新聞社のライブラリーを調べてもらうと、大当たり!子ども時代の金賢姫が写っていたのだ。金賢姫が北朝鮮の人間であることの有無を言わせぬ証拠だった。自慢するわけではなく、これは世界的なスクープだったと思う。
当時のことを以下で振り返っているので、関心のある方はお読みください。http://d.hatena.ne.jp/takase22/20100726 …
https://ameblo.jp/abe-nangyu/entry-12340698210.html
…胃癌摘出手術直後に二人で萩原遼をお見舞いに行った事がある。金成柱が金日成として登場した平壌の集会を取り仕切ったのはヤンコフスキー二世で、それを取材して方がタクシー代を出してお見舞いに行った。直ぐに死なれると困る、という事だった。
一方、萩原遼はノンフィクション大賞を授与しているので、次は直木賞を取りたい、という事で、そうは簡単に死ぬわけに行かない、という事だった。
萩原遼も『ヤンコフスキー家の人々』を読んでいて、直木賞への目安は、アナスタシア・ヤンコフスキーをモデルに一作書きたいという事だった。
アナスタシア・ヤンコフスキーは平壌で金成柱を金日成として登場させる、演出したヤンコフスキーの二世の姪に当たる。ヤンコフスキー一世には三人の男子がおり、その内の一人が占領下の日本へ入り…
http://www.sankei.com/column/news/180107/clm1801070004-n1.html
……萩原さんは日本共産党機関紙「赤旗」の平壌特派員として、北朝鮮に帰国した友人の消息をさぐったところ国外追放されました。その経験から、半世紀近くにわたり「北朝鮮という邪悪の国が崩壊することを願い、彼らとたたかってきた」(『告発』あとがきから)人物です。昨年夏、事務所にうかがった際、書類の山に埋もれながら麺をすすり、食後にスイカを出してくださりました。そのときの笑顔が忘れられません。萩原さんはあとがきを「一日も早く、邪悪な軍事独裁政権を打倒し、北朝鮮で苦しんでいる人たちを解放するために全力を挙げる決意である」と結んでいます。
あらためて、やすらかなれ。
著作集
一つ選べとなれば断然大宅賞受賞作である「北朝鮮に消えた友と私の物語」だが、「朝鮮学校教科書を読む」もいい。
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- 作者: 萩原遼
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- 作者: 萩原遼
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- 作者: 萩原遼,井沢元彦
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