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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

外交問題を全て専門家が未公開のまま処理出来たら、紛争は随分と減るのだろうね




今回のレーダー照射問題、あるいは尖閣の「sengoku38」が動画を流出させた問題も、ぜんぶ非公開で、メディアを通じて紛争両国の国民が知らなければ、いろんな意味でスムーズに処理出来ただろう。というか、秘密にしていれば、そもそも「紛争」というのはある意味で起きない。もちろん秘密の舞台で、当局同士が生きるか死ぬかの闘争をするのかもしれないが、それは人知れず抜け忍と追手が戦うようなもので、死して屍拾うものなし、誰も知らないところで戦闘が起きて、終わっている的な(笑)


ただ、その場合、こと民主国家に限っては、そもそもそういう解決に正統性が得られるのか、という問題がある。

という名著があるが、白手袋をはめて舞踏会で優雅に踊り、ワインを傾けながら、テーブルの下でごそごそやって落としどころを決める。(だから今の外務省、大使館でも、ワインとかの贅沢が認められているし、実質上の閨閥も根強いのだ)
しかしフランス革命後、「市民」とやらが政治判断を決めるから、厄介になっていったのだ。しかし良くも悪くも、今やそこを基盤にしないとそもそもの正統性が無くなる。日比谷焼き討ちすっぞ。


そしてまた、公開性が「流出のリスク」によって、左右されるという珍事。

www.jiji.com

 首相の強硬姿勢は、2010年9月に沖縄県尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件で対応のまずさを露呈した旧民主党政権の教訓も背景にある。
 当時、海上保安庁が撮影した映像を菅内閣は公開せず、海上保安官がインターネット動画サイトに投稿して騒ぎが拡大。首相は13年12月の党首討論で「出すべきビデオを出さなかった」と批判した。政府関係者は今回の首相の胸の内を「後で映像が流出するのも嫌だから『出せ』と言っているのだろう」と解説した。

これはいささか笑える話で、映像流出という、少なくとも当事者が裁かれ有罪になった違法行為が、公開を後押しすることに結果的にはなった。
今後、文科省のメールや官邸の面会記録なども、流出が公開性を高めることになるのでしょうか(笑)

そも、sengoku38尖閣の衝突現場の動画を公開したこと、司法の場では有罪確定なわけだけど、政治の、社会の問題として「あの時、映像が流出、公開されてよかった。リーク者は(司法とは別に)社会的観点からは称賛に値する」と評価すべきか、「あの時、映像は非公開を保ち、密室処理すべきだった。リーク者は社会的観点からも非難に値する」なのか、という部分も併せて思い出させる。



「情報公開」と「暴走」の関係が、じつはちょっとねじれている。

ちなみに、sengoku38氏当人も、この件を論じてて

とかいてる(大爆笑)

その後、こんなのも。


こういう、最高権力者、意思決定者を飛び越えて、あるいは彼に情報を隠して ー民主主義時代なら、国民に、ともいえるー「専門家」間で、プロならでは?の芸術的紛争処理を行うという点では、最盛期の輝きを放ったタレーランの姿が長谷川哲也「ナポレオン 覇道進撃」で描かれたことは忘れがたい。

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「ナポレオン 覇道進撃」で描かれたタレーラン

あるいは、あからさまにベタベタすぎるけど、それに近いものは確かにあった「左右両方に『顔が利く』黒幕によってなんとなく妥協する政治」を描いた藤子・F・不二雄氏のこれ(中年スーパーマン左江内氏)。

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中年スーパーマン左江内氏 「黒幕」による政治の手打ち

そして参考過去記事
m-dojo.hatenadiary.com

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