ホットエントリから。
人工知能と深層学習 - shi3zの長文日記 (id:shi3z / @shi3z) http://d.hatena.ne.jp/shi3z/20170703/1499033806
これが人気なのだけど、そこに、こういうくだりがあった。
深層学習の場合、素人が「できそうだ」と思ったことであってもたいていはできてしまうのである。
仮にできないとしたら、計算資源が足りないかデータが足りないのだ。いまのところ明らかに不可能と思われるのは「自然な会話」くらいだ。だから会話エンジンを売っている会社はほぼ例外なく深層学習を使ってはいない。
もう今や「人工知能にできないこと」を探して、数えて喜ぶ世界(笑)
でも、けっこう簡単にも見えるのだが、自然な会話―――――。なぜ、それが囲碁や将棋の名人をバタバタとなぎ倒し、クイズ王にすら圧勝するAIに、たかが庶民との雑談ができないのだろう?
という話は、実はこのブログでも以前話題にしました
人工知能(AI)、碁の名人には勝てても雑談はまだまだ? …モーニングの「アトム」秘話で興味深い話あった - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20170526/p2
ここで紹介したかったのが
本日発売のモーニングからルポ漫画の短期連載始まります!
— 左藤真通 アイアンバディ④7/21 (@reu_reu_) 2017年4月6日
短い間ですがよろしくお願いします〜
「ATOMの開発現場へ潜入せよ!」https://t.co/09OQSlVm1R pic.twitter.com/H23fwMFF6f
の、ある1エピソードなのですが、それを再読する機会があったので紹介したい。
つまり、この「ATOMの開発現場へ潜入せよ!」での『会話』部分の開発秘話回です(何号だったかなあ……)
ATOMの会話部門は、NTTドコモが担当しているのだが……
あれ?読みにくいな。
文章にすると
Q:ここまでどうやってきました?
A:電車です。
という会話をしたけど、それは「ここ」をその会社、「どうやって」を交通手段と瞬時に判断したからその回答になると。もっと小さくいえば、「廊下には、歩いてきた」と解釈もできると。
ドコモの携帯にある「しゃべってコンシェル」だと。
えー………。
いっちゃあ悪いけどさ、「人工知能と自然な会話」というテーマにおいて、その技術的限界をあれやこれや専門的に解説するより、『それをやってるのが「しゃべってコンシェル」です』という事実ひとつだけで、「ああ、この分野での道のりは遠いんだな」「まだまだ難しいようだ」 というがっかり感が漂うんだよね(爆笑)
なにやら、あの無能羊(しゃべってコンシェル)も含めて、こんなふうにやってるらしい。
三つの回答の仕方は、それぞれ別物らしいぞ。
・知識Q&A
・雑談対話
・シナリオ対話
まあ、専門解説なしでも、なんとなくわかるわ。
で、最初「ATOM」は、雑談対話を組み込んでいたが・・・・・・・・・・・・・
やはりこの話か(笑)
更新:マイクロソフトの機械学習AI「Tay」、ネットで差別と陰謀論に染まって一日で公開停止(MSのコメント追記) - Engadget Japanese https://t.co/lADh7ocrMJ @engadgetjpより
— 和田浩明/Hiroaki Wada (@spearsden) 2016年3月25日
アトムだから「大友克洋クンの絵柄は、ぼくにだって描けるんです」とか「スポ根の何が面白いのか言ってくれ」とか言い出したりね(笑)
でも、ある目的を設定しているから差別や陰謀論や「アトムらしからぬ言葉」が失敗とみなされるのであって、なんかいきつくところまでいくような深層学習をさせて、モンスターを作ってみたい気がする。
ま、そういうわけでATOMは安全策をとった対話である。レースから脱落。
ただ、それでも首をひねるのは、「人工知能ワトソンはクイズに答えてるんだろ? それってスデにして対話じゃないの?と。だがそれは「知識Q&A」の部門なのかな…?
そして、おそらく、まだAiは「パラフレーズ処理問題」を十分に解決できていないっぽい。
例の「東大入試にAi挑戦!」の研究者が、こう、述べていたのは2013年
「東大入試をクリアする人工知能」計画…開発中の現在、何が可能で何が困難か?23日、模試結果発表(読売新聞) - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20131117/p3
・世界史なんて年表を覚えてる人工知能には簡単?とんでもない。例えば「イエニチェリはオスマン帝国の常備軍だ」の正誤を問われる場合、こちらのデータが「オスマントルコのイエニチェリ軍団は、皇帝直属の常備軍」だったとする。それが一致してるのかを独自に判断するのは難しい。
・つまり、「二つの文がパラフレーズ(言い換え)の関係にあるか」を機械に判断させる、ここがとても難しいのだ。はっきり言って、うちらの手法は(「ワトソン」が人間のクイズ王に勝利した)IBM以上。しかし、人間を超えるのは本当に高い障壁だ。しかしここを超えなかったら未来は無い。やるしかない。
ふーむ、こういう困難があるというのはわかった。
だが、それを乗り越えて、もし自由に、自然に会話ができるとなれば、KOEI「三国志」や「信長の野望」での敵将との駆け引きが、もっとリアルになるだろうと(笑)。
雑談力を高める研究もいろいろやってるんだろうけど、「コンピューター将棋」は「名人に勝利する」という大目標を掲げたので進んだ。
日本の「雑談AI」研究は「明石家さんまやタモリと丁々発止の掛け合いができる」というのを目標にした「プロジェクト・サンマ」をスタートさせることを提言したい(笑)
http://my-tc.com/2016/07/the-moon-speech/
…それが容易だからではありません。それが困難だからです。この目標が、我々のもつ最高の行動力や技術を集結し、それがどれ程かを量るのに役立つからです。その挑戦こそ、我々が受けて立つことを望み、先延ばしすることを望まないものだからなのです。そして、これこそが、我々が勝ち取ろうとするものであり、我々以外にとっても同じものなのです