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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

部活動事故、県への賠償請求で勝訴後「県は教師個人に賠償を求めよ」と再提訴し、再び勝訴…遺族の執念の勝利(内田良)

熱中症放置 教員個人が賠償金支払い 部活動指導の事故 異例の重過失認定へ(内田良) - Y!ニュース http://bylines.news.yahoo.co.jp/ryouchida/20161223-00065787/


大分県立の高校で2009年に起きた熱中症死亡事案において、ついに教員個人の賠償責任が認められることになった。学校事故の裁判において、教員個人が賠償責任を負うという判断が下されるのは、きわめて異例である。
…事案は形式的には「教育」活動中の事故ということで、顧問教員の個人責任が認められてこなかった。その意味で、今回の大分地裁の判決は、じつに画期的な判決…


なぜ、こういう画期的なことになったか?

…原告である工藤さん夫妻はすでに、一つの民事裁判を闘い終えている。2013年3月に大分地裁において、県などに約4600万円の支払いが命じられているのだ。勝訴は、早い段階で勝ち取っている
だが、夫妻には大きな不満が残った。それは、県の賠償責任は認められても、教員個人の賠償責任が認められなかったからだ。そこで夫妻は、教員個人の責任を問うために、高裁さらには最高裁まで闘いを続けた。それでも、教員個人の責任は認められなかった。
その理由は、国家賠償法」にある。同法1条は、公務員がその職務を遂行する際に、過失によって他人が損害を受けたときには、国や自治体がその賠償責任を負うと規定している。
つまり、公立校の教員が学校の教育活動に従事していて、そこで死亡事故が起きても、それが教育活動である限りは、国や自治体が賠償金を肩代わりしてくれるのである。
(略)
ただし、同法1条2項には、「公務員に故意又は重大な過失があったときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する」ことが明記されている。つまり、教員に重大な過失がある場合には、国や自治体は肩代わりした賠償金を教員個人に請求できるのだ。
工藤さん夫妻は、新たに住民訴訟というかたちで、大分県が顧問教員に対して求償権の行使を怠っていると訴えた。それが認められたのが、今回の大分地裁の判決である。


まず当事者としての訴訟で、ふつうは大きく消耗するだろう。そして、その次の「県は過失教師に賠償を求めるべきである」という訴訟は、県民としての間接的利益にはなるだろうが、直接的には一銭にもならない訴訟だ。
だから、これを皆が真似するというわけにはなかなか行かないだろうが、「そういう道筋、可能性がある」というのは、巡り巡って事故の抑制にもなるだろう。そんな訴訟を闘った方に敬意を覚えると同時に、いかに我が子を失ったことへの怒りが大きかったかを思う。