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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「イタコ漫画家」というものの誇りと需要と…どう位置付ければいいのか?

もう少し詳しくtogetterで

イタコ漫画家」とは何か? 〜5月7日、お台場に… 絶対王者田中圭一はじめ7人が集結!! - Togetterまとめ http://togetter.com/li/955754

あらためて見ると、
つまり、みな、
すごいんですよ。

彼らがいることで、漫画界が、もしくはtwitter界が極めてにぎやかで素敵なものになっていることは疑いない。
ものまね、そっくりさんは、それだけでウケるし面白いのだ。

ただ、「パロディ」とかはいいんですけどね、「ジェネリック漫画」もありましょう。


わかりる?
手塚漫画のキャラクターや設定をパロディにした漫画、絵が「手塚風」というのは、まあ当然だ。だが、「完全にオリジナルだけど、そのタッチや作風が『手塚治虫風』であるとしかいいようがないイラスト」だって、そりゃこういうイタコ漫画家はふつーに描けてしまう、と。
しかしもちろん、素材自体がオリジナルなら、「○○○風」をとりしまるすべはない。もしあったら、作家の某氏や某某氏はどうなるんだ、って話でね(笑)。


そして実際に、そういう人のほうが需要があるんじゃないか?と思うのであります。
『私は、有名漫画家XXさんの「作風」にそっくりの絵がかけます。いくらでも御社のPR漫画を、それで描きますよ。しかもお安く……』


こう思ったのは、とある昔のCMみて…

ジブリっぽい?JR西日本の夏CM、トトロの山やポニョの海などを想起。 http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=3482807

…百瀬監督のもとに多くのジブリ作品を手がけたアニメーターや美術スタッフが参加した本作は、どことなく「トトロ」の山や「ポニョ」の海を想起させる内容に仕上がっている。今回のアニメーションは、あくまでもスタジオジブリ作品に関わった演出家・プロデューサーによる企画制作で、スタジオジブリによる企画制作ではないが、そうしたところも見どころのひとつ……

もともとアニメは集団作業。ジブリの作品にかかわった人が独立して企画を行い、それが絵柄や雰囲気的にそっくりであって何がおかしかろうか。
しかし、「ジブリ風」であることが商品価値であることも、たぶん間違いない。

そもそも大衆的には「宮崎駿」の作品と思っているから、ジブリの作品だろうと「宮崎さんのマネ?」と思うんじゃないかな



……ただ、単純な話で、需要があってもさすがにみな、上記の田中圭一氏のように「道義」的な「ためらい」があるからやらないんだろうね(笑)。

いしかわじゅん氏がいうように「自尊心に欠ける」と批判されると…

漫画とオリジナリティについて、いしかわじゅん氏が論ず。(「漫画の時間」) - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20160402/p8

…<絵>は、その漫画の命…それは当然、自分だけのオリジナルなものであるはずだ。
どんなにカッコよくったって、いやカッコ良く見えたって、誰かがすでに一度描いた絵では、それは<うまい絵>ではない。単なる、人まねがうまい絵だ。
(略)
ひとりの漫画家が、何年もかかって、ある場所までたどり着く。振り返れば…あとから来る者は、同じ道をたどろうと思えば何の苦労もなく、その地点までは進むことができる。そして、そこから彼のキャリアをスタートさせれば、そりゃもりとん楽である。他人が艱難辛苦の末作り上げた基礎を、そっくりそのまま借りてしまえば、そりゃどうしたって楽である。
(略)
そんなことが自分の仕事において本気でできるほど自尊心に欠けたクリエイターは、まさかいないだろう。いや、絶対にいないと、ぼくは信じたいのだ。

しかしながら、やはりここで発想を転換し、もっとポジティブに…浄土真宗が肉食妻帯を、こそこそ行う後ろ暗い行為でなく、宗教上のポジティブな意味を持たせたように


『私は、有名漫画家XXさんの「作風」にそっくりの絵がかけます。それでXX風、のオリジナル作品も描きます』


を、ポジティブなものとして、堂々と仕事、ウリにする、ということが今後は現れるんじゃないかな、と。


というか、今はすでにその過渡期なんじゃないだろうか…? 
ただ、それはまさにその第一人者・田中圭一氏のいうように「パロディならいいんだけど、そのままXX風を描いて、ってのはなあ…」
ということで、パロディを”隠れ蓑”にしつつ、徐々に徐々に移行するんじゃないかと思うなりよ。
それは世間、業界の空気というか、雰囲気というかが…


イタコ漫画家」なる絶妙の概念提示、命名も、その方向性への一歩のような気がします。


人工知能(AI)がレンブラントを模倣できるのなら、手塚も藤子も石ノ森も…可能な気がする

機械学習したAIがレンブラントの"新作"を出力。絵具の隆起も3D再現した「The Next Rembrandt」公開 - Engadget Japanese http://japanese.engadget.com/2016/04/07/ai-3d-the-next-rembrandt/

……プロジェクトではまず、346あるレンブラントの絵画すべてをデジタルスキャンし、そのタッチや色使い、レイアウトの特徴などをディープラーニングアルゴリズムを用いてコンピューターに叩き込みました。また、絵画はすべて3Dスキャナーを使って、絵具の凹凸に至るまでを完全にデータ化しています。

次に新たな作品を制作するため、最もレンブラントらしく見える絵画のモチーフを検討した結果、肖像画が選ばれました。向かって右側を向いた30〜40代の白人男性で、襟のある黒い服、帽子といった条件を決定、さらに条件を満たす主題をレンブラントの作風でコンピューターに描き出させるため、顔の各パーツのレイアウト比率や服、その他描き方の特徴などを再現するアルゴリズムも開発しました。

このアルゴリズムにより、コンピューターはレンブラントの"新作"を500時間かけて描き出しました。ただ、それを印刷してしまったのでは完全な"絵画"にはなりません。そこで、実物の絵画から取得した3Dデータを分析し、画像のテクスチャーの下に油絵具の塗り重ねによる隆起を再現した3Dデータを作成し…


日本はどうして先行できなかったのか。「人工田中圭一プロジェクト」に予算を付けるべきではなかったか。
いや、実際こういうのって、技術的にはできそうなのかね?


しかし、そういう話で思い出すのはやっぱりメーヘレン。

wikipedia:ハン・ファン・メーヘレン
画家としては成功せず、ポストカードやポスターの挿絵を描いて糊口を凌いでいたが、自分を認めようとしないオランダの美術界に復讐する、という動機から次第に贋作ビジネスに手を染めるようになり、没落した貴族から極秘に仕入れた絵画を売却しているというふれこみで多数の贋作を制作・販売した。


メーヘレンは主に17世紀オランダ絵画[1]の贋作を制作し、特にフェルメールの贋作を好んで制作した。
当時はフェルメール研究が緒についたばかりで、ごく一握りの専門家を騙せば真作と認められたことから、贋作が作りやすい状況にあった。このため、まずメーヘレンはフェルメールの作風を模写するための研究を重ねた。そして、題材はフェルメールが手がけていないとされていた宗教画を描く事に決めた[2]。
(略)
絵具、絵筆から溶剤に至るまで当時と同じものを自ら製作して使用し、さらに絵の完成後にキャンバスを丸めてクラクリュールを作り、墨を塗るなどして古びた色合いを出すなど、その贋作の手法は徹底していた。このようにして製作された「エマオの食事」(1936年)は、当時のフェルメールの研究家たちから「本物」と認められ、ロッテルダムのボイマンス美術館が54万ギルダーで買い上げた。
(略)
1945年5月29日にメーヘレンはナチス・ドイツの高官たち[6]にフェルメール作とされていた「キリストと悔恨の女」などの絵画を売った罪で逮捕・起訴された。
ナチス協力者およびオランダ文化財の略奪者として、当局は長期の懲役刑を求めた。この厳しい選択に直面し、拘留中にメーヘレンはナチス・ドイツに売却した一連の絵画、そして「エマオの食事」が自ら製作した贋作であることを告白。証拠として法廷で「フェルメール風」の絵を描いてみせ(写真)、さらに一連の絵画に対しX線写真などの最新の鑑定が行われた結果、彼が売りさばいたフェルメールなどの絵とされてきた絵画が彼の手による贋作であることが証明された。このため、メーヘレンは売国奴から一転してナチス・ドイツを騙した英雄と評されるようになった。

いわゆる世に出たフェルメールの作品の贋作を作った(だけ)ではなく、「フェルメール『風』の”新作”を書いて、それがフェルメール作品だということで買い上げたんだわな。

まことに先駆者であったが「イタコ画家」という便利な呼称はない(笑)。

この人に関する本は多数出ていたけど、自分は「詐欺のペテンの大百科」という本の、ごく簡単簡潔で、しかし非常にすぐれたまとめで知った。

詐欺とペテンの大百科

詐欺とペテンの大百科

フェルメールになれなかった男 20世紀最大の贋作事件

フェルメールになれなかった男 20世紀最大の贋作事件

ナチスをだました男、メーヘレンが描いた"フェルメールの贋作"全11点【画像集】 http://www.huffingtonpost.jp/2015/01/11/han-van-meegeren_n_6450704.html