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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

天才監督、超名作を映画化!だが拘り強すぎ、予算も膨らみ〜「ホドロフスキーのDUNE」(浅羽通明漫談より)

上にあるように12月23日、巣鴨にいけたのは、その日大塚で行われた浅羽通明講演会への出席のためでした。
ここでのテーマで、「浅羽通明の2014年ベスト」というのがあり、浅羽氏は、「商売が商売なので1年という区切りに実感があんまりない(笑)。自分が偶然、この年に読んだり見たものも含めて評価する」として、外国映画部門では3作挙げました。
アクト・オブ・キリング
「スノウ・ザ・ピアサー」
そして「ホドロフスキーのDUNE」。

最後の話、めちゃくちゃ面白かったので、自分のメモや記憶に基づいて紹介しよう。ただし、両方とも結構いいかげんです。
それに「実際の映画より浅羽氏の話のほうが面白い」可能性があることにも要注意(笑)
あと、最後の部分は、ネタバレにもなるので注意とご諒承を。

記憶を語り口調に再現

ホドロフスキーってまだ存命なんだよな。この前の映画祭でリバイバル上映されてたんだけど、舞台挨拶に「ホドロフスキー」本人の名前があったんで驚いたけど。

で、この実績豊かな監督に、あのDUNE(デューン)の映画化のオファーが来たんです。
SFファンならご存知でしょうけど、すごい名作です。
ホドロフスキーは張り切っちゃうんだけど、その準備に声をかけた人がすごいんですよ。

皇帝の役は誰だ?サルバドール・ダリ
何とか役(失念)は誰だ? オーソン・ウエルズしかない!
主人公は、まだ若い時代だけどXXX(失念、だがのちの有名人だ)…

もうそのキャスティングだけですごい。大方はちゃんとオファーして、了承も取り付けてたんですよ。
で、美術には・・・フランスに、なんか才能のあるやつがいるぞ!!と声を掛けたのがメビウスです。
ほかのデザインで、「自分は映画の仕事なんてやったことはない…」としり込みする人も声を掛けて「だいじょうぶ、お前には才能がある!俺が言ってるんだから間違いない!」と強引にやらせた…その人が、のちにエイリアンをデザインしたギーガー(笑)

メビウスはこの仕事にかなりノっていて、画コンテなんかも結構残ってるんですよ。


でもね、こういうふうに一流の大物を集めているうちに予算も構想もだいぶ膨らんできちゃって…尺も足りなくなって…お決まりの映画会社上層部との対立、そして企画の頓挫…すべての準備はムダ、お蔵入りですよ。
でもそれをきっかけにギーガーのように雄飛した人もいるんですよね。


そしてそこからずっと後、「DUNE」は別の監督によって映画化されます。
日本では「デューン 砂の惑星」として公開されました。監督はデビット・リンチ

ホドロフスキーは、かの鬼才が自分の代わりにメガホンを取り、映画が出来てしまったことを知って落ち込み、その映画を見る気にもなれません。
だが彼の息子から
「お父さんはクリエイターだろ!?現実と、作品と向きあわなきゃ!」
と叱られ、ホドロフスキーはがっくりしたままその映画を見に行ったそうです。
しかし
「…」
「おお!!!」
「なんということだ!!」

と、ホドロフスキーはその映画を見て、歓喜に打ち震えます。

「やったー!!!あいつの作ったDUNE、すっげえつまらないダメ映画だったぜー!!」

「映画とは、監督の業の肯定である」(立川談志の名言を改作)、といったところでしょうか。

以上、作品を見てもいない状態で、けっこう記憶が曖昧なままで聞いた伝聞をアレした紹介文でした。


では実際の予告編動画や公式サイトをドーゾ。イントロダクションは丸写しします

http://www.uplink.co.jp/dune/


カンヌ映画祭の会場を爆笑と感動の渦に巻き込んだ
「世界を変えた未完の映画」をめぐるドキュメンタリー!
 
1975年、アレハンドロ・ホドロフスキー46歳(映画監督)、ミシェル・セドゥー28歳(映画プロデューサー)。2人の男は荒唐無稽で壮大な映画を企画した。
 
1975年にホドロフスキーによって企画されるも、撮影を前に頓挫したSF大作、ホドロフスキーの『DUNE』。「映画化不可能」と言われた小説、フランク・ハーバートの「DUNE」を原作に、そうそうたる面子をキャスト・スタッフに配し、莫大な予算と、12時間にも及ぶ上映時間を予定していたというその企画は“映画史上最も有名な実現しなかった映画”と言われ、伝説となっている。
 
本作は、ホドロフスキー版『DUNE』の顛末と、ホドロフスキー、プロデューサーのミシェル・セドゥー、ギーガー、『ドライヴ』のニコラス・ウィンディング・レフン監督等のインタビュー、膨大なデザイン画や絵コンテなどの資料で綴る、驚愕、爆笑、感涙のドキュメンタリーである。


DUNE
サルバドール・ダリミック・ジャガーオーソン・ウェルズメビウス、H.R.ギーガー、ピンクフロイド…最高の戦士たちを集結させた。
 
「この映画に携わる全ての人間は魂の戦士だ。最高の戦士を探す」と、ホドロフスキーによって集められたのは、スタッフにバンド・デシネのカリスマ作家メビウス、SF画家のクリス・フォス、『エイリアン』『トータル・リコール』の脚本で知られるダン・オバノン、画家、デザイナーのH・R・ギーガー、73年の『狂気』をはじめ現在まで絶大な人気を誇るサイケ/プログレの代表的バンド、ピンク・フロイド、キャストにシュルレアリスムの代表的作家サルバドール・ダリ。『市民ケーン』など映画監督としてのみならず俳優としても知られるオーソン・ウェルズミック・ジャガーなど、様々なジャンルから非凡な才能を持つアーティストたち。
 
スター・ウォーズ、エイリアン、マトリックスブレード・ランナー、プロメテウス…あらゆるSFの名作の元ネタ?!世界を変えた未完の映画、『DUNE』。
 
映画は未完となったが、ホドロフスキーが作ったストーリーボードは、ハリウッドの様々なスタジオに持ち込まれ、その構図や設定などのアイデアスターウォーズやエイリアンを始めとしたSF映画に多大なる影響を与えた。
本作の監督であるフランク・パヴィッチはこう語る。「ホドロフスキーは映画を完成させたかったのか、世界を変えたかったのか。もし世界を変えたかったのなら、それは達成されたのだ」

狂気の監督が、構想をどんどんムチャして膨らませていって…という話は面白いよなあ。

自分が知っているのは黒澤明の「トラ!トラ!トラ!」の失敗や、フランシス・コッポラの「地獄の黙示録」を廻るトラブル。

どちらも書籍やドキュメンタリー映画になってますな。

黒澤明監督による日米共同製作映画『トラ・トラ・トラ!』。1968年12月、撮影開始直後、なぜクロサワは解任されたのか。この日本映画界最大の謎に迫った、ノンフィクションの金字塔。本書は、大宅壮一ノンフィクション賞講談社ノンフィクション賞大佛次郎賞芸術選奨文部科学大臣賞の史上初4冠受賞作。日本映画史上最大の謎とされる、日米合作戦争映画「トラ・トラ・トラ!」での黒沢明監督解任事件。多数の資料と関係者へのインタビューから、人間・黒沢の苦悩と生き様を描き、事件の真相に迫る。コミック映画監督論第2弾。


ハート・オブ・ダークネス/コッポラの黙示録

ん?コッポラドキュメンタリーのDVDとかブルーレイは無いのかな?

http://movies.yahoo.co.jp/movie/17491/story/
 フランシス・フォード・コッポラ監督が、歴史的問題作「地獄の黙示録」を撮りあげるまでを、ロケ地の記録フィルム等を交えて語ったドキュメンタリー。コッポラの妻エレノアが撮り続けた舞台裏や、当時を振り返るキャストのインタビューも豊富で、いかにこの作品が難産の末に誕生したのか、撮影現場が映画以上の戦場だったのかがよく判る迫力のドキュメンタリー。

これを喜劇的フィクションで表現したのが

園子温の新作「地獄でなぜ悪い」感想〜「擬似イベント」ものの一環として - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20131002/p2

だと思うし、かわぐちかいじの「アクター」では、黒澤明モデルの監督が超大作を作ってしまったが、尺だけで3時間あるから上映回数も減って制作費は回収できない。じゃあどうする?みたいな展開がありましたっけ。



そして「こち亀」でもギャグとして、スタントマンのアルバイトをしてた両さんが乗ってた車に正面衝突させられ
「約束が違うじゃないか、クルマから落ちるだけだと言ったろ!」
「急に脚本が変わりまして、ぶつけたほうが迫力あると…」
「監督 ガケから落としたほうがいい画になるかも…」
「うむ それはいいね!」

というような場面があったりする(笑)何巻だっけかな???

【追記】
野球とMSX 2014/12/27 05:04
こち亀JC33巻の「世の中大変だ」の巻。前の「ターニング・ポイント」と続いた話です。
33巻を分かりやすくいうと「妖怪田ブタ子」「忍術の先生」「時間よ止まれの宇宙人」の巻です。


id:mondojirou 2014/12/30 09:39
ロスト・イン・ラ・マンチャ」もありますね。ギリアム監督の未完映画「ドン・キホーテ」は、メイキングであるロストイン~だけ公開され話題になりました。
gryphongryphon 2014/12/30 10:21
はー、そんな映画もあるんですか、「大作映画の失敗、その舞台裏」みたいなのはすでにひとつのジャンルなのかな…本文に収録させて頂きます