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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「おどろおどろしい言葉」考…「売国奴」、等々とそれへの反駁をめぐって

今日の別エントリ
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20141023/p5
とも関連して。

「おどろおどろしい言葉遣い」とは、この前、少し話題になったこういう話。

http://mainichi.jp/select/news/20141018k0000m040011000c.html

朝日新聞 『売国のDNA』」(週刊文春9月4日号)、「中国共産党に国を売った」(同9月18日号)、「1億国民が報道被害者」(週刊新潮9月4日号)、「売国虚報32年」(同9月25日号)、「廃刊せよ! 消えぬ反日報道の大罪」(月刊誌「正論」10月号)、「言い逃れできぬ『慰安婦』国辱責任」(同11月号)……といった文字・記事が書店やら電車の中づり広告やらにあふれているのだ。

 例に挙げたのは、いずれも大手出版社や新聞社が発行する媒体だ。誤報は批判されて当然だが、このおどろおどろしい言葉遣いは何なのか

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014100302000145.html
朝日バッシング 飛び交う「売国」「反日
2014年10月3日

 朝日新聞バッシングに血道を上げる雑誌には「売国」「国賊」「反日」の大見出しが躍る。敵を排撃するためには、あらん限りの罵詈(ばり)雑言を浴びせる。まるで戦前・戦中言論統制だ。 ネットではおなじみの風景だが、活字メディアでも「市民権」を得つつある。「嫌韓本」で一線を越えた出版界には、もはや矜恃(きょうじ)もタブーもないのかもしれない。
 安倍政権が「戦争できる国」へ突き進む中、売国奴」呼ばわりの横行は、あらたな「戦前」の序章ではないのか。 (林啓太、沢田千秋)

ちょっと余談の「語源探し」。もっと新情報あれば教えて

まず本題に行く前……でもないな、本題とも密接に絡んできます。
語源マニア、言葉や概念の「はじめて物語」大好きっこの小生がこの前、主にそっちの趣味のほうからまとめたtogetterがこれ。
主なツイート者は@noiehoieさんでありマス。

売国」「売国奴」という言葉の由来は? - Togetterまとめ http://togetter.com/li/715029
東郷町議 かどはら武志(日本共産党) @kadohara 2014-08-28 22:49:51
いよいよ自民党売国政党ぶりが分かりやすくなってきた。外国語を公用語化するとは。南ベトナムの傀儡政権でもこんなことはしなかったのでは?…「英語特区」創設を提言 クールジャパン有識者会議 - MSN産経ニュース sankei.jp.msn.com/economy/news/1…
 
(※あっ、たぶんここには、「売国なんて用語は良くない」「共産党らしくない」という批判があったのではないか?今では見つからないが)

菅野完 @noiehoie 2014-09-02 11:45:37
いやいやいやいや。違うでしょ。寧ろ、「売国奴」は代々木が昔から大好きな言葉。というか、「売国奴」という日本語が人口に膾炙されるようになったのは、「天皇制」という言葉と同じく、共産党の内部用語がスタート。むしろ、「売国」という言葉を使う共産党議員は、本卦帰り
 
文革の評価をめぐり代々木から独立した日本共産党左派のスローガンは、「反米帝売国です。「相手を売国奴呼ばわりする」のは、あの業界の古式ゆかしい伝統芸能ですよ。 / “日本共産党(左派) - Wikipedia” htn.to/YAEh7XR
(略)
氷川渉 @tamo2_1965 2014-09-02 11:52:42
@noiehoie 「民族の敵 国を売る 狗どもよ」と歌う革命歌もありますね。


“民族独立行動隊の歌”

『血潮には 正義の血潮もて叩きだせ 民族の敵 国を売るいぬどもを 進め 進め 団結かたく 民族独立行動隊 前へ前へ進め』
http://www.mahoroba.ne.jp/~gonbe007/hog/shouka/minzokudokuritsu.html


まあ、当時の語源探しはあくまでおまけだ…その上、結局「売国(奴)」という言葉の由来がこのtogetterで明確に判明した、とは言いがたい。
本当に「史記 蘇秦伝」が出典でいいのか?(もう少しモダンな雰囲気、語感とかないか?)「共産党の運動から人口に膾炙していった」でいいのか?

このへんのことも今後の調査課題かと。

【追記】その後、togetterのコメント欄、あるいは「SAPIO」でさらに遡ることができました。

トーレ@狼がドアの前で待ってる @torewolf 2014-11-30 15:11:32
>「そもそも「売国奴」という言葉は、日本共産党の内部用語がオリジンだった可能性がある。」 …「国賊逆徒、売国奴、殺せ、撲なぐれと、衆口一斉熱罵ねつば恫喝どうかつを極めたる…」泉鏡花「海城発電」 初出:「太陽」第二巻第一号 1896(明治29)年1月http://www.aozora.gr.jp/cards/000050/files/4557_12112.html
 
  トーレ@狼がドアの前で待ってる @torewolf 2014-11-30 16:58:56
近代デジタルライブラリー売国奴>の検索結果 http://kindai.ndl.go.jp/search/searchResult?searchWord=%E5%A3%B2%E5%9B%BD%E5%A5%B4
 
gryphonjapan @gryphonjapan 2015-02-09 04:01:33
2015年3月号「SAPIO」掲載の小林よしのりゴーマニズム宣言大東亜論」によると、明治十年(1877年)、西郷隆盛の決起に呼応して挙兵した「福岡党」の檄文に「天理に逆らい人道にもとる 実に売国の賊と言わずして何ぞや」とあったとのこと。明治初期にはすでに確立?

「けっこう使われてまっせ。『右派』以外からも」という話。

そして、次のほっこり話題。
普段は読まない「新潮45」を今日読んでいたら載っていたのだが…

「『売国』などという言葉を使うことがおかしい」といった問題意識もあるようなので説明しておくと「売国」なんてフレーズは今回に限らず週刊誌はよく使っている。
財務省の『売国行為』を告発する」週刊朝日2012年2月17号)
「中央政界に巣くう売国奴は去れ!!」サンデー毎日2002年1月27号)
売国」で罵られてきたのは朝日だけではない。

ほんまかいなー、と思ってグーグル大明神にお尋ねしたら、サンデー毎日は2002年の記事だけあって見つからなかったが、週刊朝日のほうは…

商品紹介
政治・国際朝日新聞出版
財務省売国行為」を告発 消費増税にダマされるな
2012年02月17日 (10400文字)
http://astand.asahi.com/webshinsho/asahipub/weeklyasahi/product/2012020300005.html

その特集記事を
そのタイトルのまま
電子書籍にしちゃったんかーい。
そして、いまも売ってるんかーい。
 
・・・・・・・とは思う。


ちなみに自分のはてブ検索の結果、こういうのも見つかったよ…ことしの話やないかい!!桐花大綬章を授かった名士のお言葉だ。

http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1786700.html
2014年01月31日
村山元首相 「国を売るような首相があるか!」…安倍首相を厳しく批判
1 名前: ハーフネルソンスープレックス(東日本):2014/01/30(木) 23:46:43.63 id:qz06IUVL0
 
「国を売るような首相」 村山元首相が首相の靖国参拝を批判
社民党村山富市元首相は30日夜、都内で開かれた同党の「新春の集い」で、昨年末の安倍晋三首相の靖国神社参拝に対し「(安倍氏)本人の気持ちを守るために国を売るような首相があるか。これは間違いだ」と厳しく批判した。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140130/stt14013021090007-n1.htm

村山富市元首相
安倍晋三首相が靖国神社に参ったというのを聞いたときね、なぜ、悪いことになることが分かってるのに、承知の上で参ったのかと激怒したんですよね。本人の気持ちを満足するためにね、国を売るような総理があるか。

だてに組合闘士あがりじゃない。


で、おまいらこの一件忘れてただろ…俺は忘れてたぞ(笑)
ただ、ちゃーんとはてブでは当時、同じ芸風で突っ込んでた。

朝日新聞は少し前「反日とか売国とか、非常に過激で乱暴な言葉遣いが多い。こういう言葉を使ってはいけない」という主張を行っていたのだけど。

この時売国などというおどろおどろしい言葉を使ってはいけない」という立場に立った人が、はてブでも何人いたか(伏線)
http://b.hatena.ne.jp/entry/blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1786700.html

実際、この村山”桐花大綬章”富市氏の発言は公的な集まりで行われたのだけど、正式なメディアで、「村山氏が『国を売る』という言葉で相手を批判した」ことそれ自体への批判ってあったでしょうか?あったら教えてください。



さらにね、さっきtogetterを紹介したじゃありませんか。あそこにはタグがついてましてね、そのタグをたどったら一発で登場。

安倍さんって売国奴なの? - Togetterまとめ http://togetter.com/li/536903 @togetter_jpさんから

とくに近年では「TPP交渉」の問題でこの用語が絡むことが多かったしね…
TPPを推し進める発言をした人だと、いわゆる保守系、或いは小沢支持系の人からこの言葉が言われたものでした。


まあ、これも枝葉で、例えばもしこういう用語の使用がまずいと真に感じるなら「こういう見出しの付け方や発言は間違いだった」と、出している人が今からでも撤回なりすればいいのだろう。


ただ、それでいいのか。
いわゆる”言葉狩り”とは言わないまでも…自分は冒頭に紹介した毎日新聞の記事にこういうブクマをつけた。

売国,国賊,反日,独裁,従米,ファシスト,スターリニスト,原理主義者,ポチ,反動,極左,極右,レイシスト,ネトウヨ,ブサヨ,どっかで線を引きますか?ぜんぶNGにしますか?

だいたいさ、約2年前に、このような言葉を廻って「ひどすぎないか」「いや正当な批判だ、すっとする」とかやってたやないか。
http://togetter.com/li/429487
http://togetter.com/li/429714

「このおどろおどろしい言葉遣い」
「敵を排撃するためには、あらん限りの罵詈(ばり)雑言を浴びせる」
 

とならべてみちゃうと、どうよ。
あ、僕ははてブで、こう書いてたな。

「ネット(2ch)の書き込みと同レベル」とのはてブあるけど、元々『こちら特報部』は良くも悪くもネットと親和性高いんですよ。この記事はある意味「2ch的風刺?にお墨付きが与えられた」と解釈できるやも。

週刊文春や新潮の見出し・記事批判も、東京新聞こちら特報部」の見出し・記事批判も、けっきょくそうやって、かえってくる。
というか、最初から二番目に紹介した『「売国」「国賊」「反日」の見出しが躍る』、云々の記事はその同じ「特報部」コーナーだし…(笑)
またそのリード文にある『安倍政権が「戦争できる国」へ突き進む』って、見る人が見れば朝日新聞が国を売る』とどっちが”おどろおどろしい”かは、まあ控えめにいって微妙な判定なんじゃない(笑)? もちろん、見る人によっては『前者は正当な根拠のある的確な論評、後者はおどろおどろしい扇動』となるだろうし、その逆もあるだろう。

さらに資料追加。

典型例。

https://twitter.com/kambara7/status/578055372411256832
弁護士神原元
‏@kambara7
売国奴」なんて言葉は大嫌いだが、仮にその言葉に相当する行為があるとすれば、沖縄の美しい自然をアメリカ軍に売り渡そうとする、今の安倍政権の行為であるに違いない。右翼の諸君が、かかる売国的行為に対して抗議しないことは、実に不思議でならない。

「おどろおどろしい言葉」排除が社会的合意やら法規制になるなら…困るのは、一部のはてブユーザーじゃない(笑)?

また一寸、言うてはならぬことを言ってしもうた。

 
実のところ、ぼかー「売国奴」とか「反日」とかを含めた「おどろおどろしい言葉」』というのを『使うな、使う人はけしからん』と言われても、ぜーんぜん平気なのですよ。なぜならそういう「おどろおどろしい言葉」ちゅーのを、自分はもとよりほとんど使わないからねえ(自慢)。
…いや、例外を言うなら「たこ」の問題に関しては激烈にたことの闘争を呼びかけてはいるが、それにしても強大な敵へのリスペクトは常に流れている。

イカ、そしてたこの脅威に対し、全人類と全脊椎動物に訴える。 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110228/p3

敵に敬意を払えなければ、最終的に勝つこともあたわぬからだ。
 

あとあれだ、意図的に使用を多く使用しているのは金王朝だな。これは明確に、意図して使うようにしている。
で、これは北緯38度線の北に鎮座ましますあの体制を(※「体制」なのがポイント)その性質、歴史、経緯などからそう表現しており、これはむしろ皆さんにもぜひ使用してほしいのだが、これも「おどろおどろしい言葉」として扱われるのでしょうか。
ん、完顔阿骨打が怒る? …そう言われると弱いなァ(笑)



まあ、そんなことを考える前に、前後左右どっから見ても明確に「おどろおどろしい言葉づかい」をしまくるはてなブックマークのユーザー、略してはてブユーザーがいらっしゃるじゃないですか。おどろおどろの国からおどろおどろを広めに来た様なおどろおどろ王子が。
それもまた、時代が生んだ我々への警告なのかもしれません(怪獣映画風)。


そして、こういうのを見ていたひとつのオチ。

ヘイトスピーチ法規制」が仮に必要なら…【死ね/殺せ的表現は、対象を問わず規制】がまだ明確では?「少数派か、生来の属性か」的【「対象」の限定】の議論よりは。 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140914/p3

「死ね」「殺せ」「殺すぞ」「殺したい」といった発言に関するtwitter資料集 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20141004/p4

などで書いた話ですが、仮に法的な規制を置くとしたら、まだしも対象とするのは…

「死ね」や「殺せ」を『誰に言ったのか』とかに関係なく『だめ』ということにしたほうが明瞭なのではないか…
ということでした。「売国奴」が憎悪を煽る「おどろおどろしい言葉」か「正当な批判か」という議論よりわかりやすいし決着も付けやすいでしょう、おそらく。



その意をますます強くしたものでした。

追記 「政権のポチ」は、「敵を排撃するためには、あらん限りの罵詈雑言を浴びせる」「まるで戦前・戦中の言論統制だ。」にはならんのか

https://twitter.com/tokyo_satokei
佐藤圭  ‏@tokyo_satokei ·11月19日 「消費税先送り解散総選挙には大義がある」なんて言っているのは、安部政権のポチだけだよな。
 
 
https://twitter.com/tokyo_satokei/status/539804928110125056 
佐藤 圭
‏@tokyo_satokei
「消費増税派(財務省など)と戦う安倍首相」という三文芝居にも騙されてはいけない(こんなアホなこと流布しているのは安倍首相のポチ記者だけだが)。

上で「国賊」「売国」などの言葉を
「敵を排撃するためには、あらん限りの罵詈(ばり)雑言を浴びせる。まるで戦前・戦中の言論統制だ。」と批判した東京新聞こちら特報部」のデスクがこう書いたというところが重要。
ちなみに

佐藤 圭 @tokyo_satokei · 12月1日
亡くなった菅原文太氏さんは翁長さんの応援に駆けつけていた。「政治の役割は、絶対に戦争をしないこと。安倍政権や仲井真氏は、戦争を前提に沖縄を考えている。辺野古海を、勝手に他国へ売り渡さないでくれ」。沖縄知事選 オナガ勝利へ1万5千人 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-11-02/2014110201_02_1.html

2年間で40回以上 メディアと首相 危うい夜食会
2014年12月20日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014122002000136.html
 衆院選直後の十六日夜、安倍晋三首相が全国紙やテレビキー局の解説委員らと会食した。首相は二年前の就任以来、大手メディア幹部と「夜会合」を重ねている。最高権力者の胸の内を探るのはジャーナリズムの大事な仕事とはいえ、連れだって夜の町に繰り出しているようでは、読者・視聴者から不信をもたれかねない。ましてや相手は、メディア対策に熱心な安倍政権だ。メディアは権力を監視する「ウオッチドッグ」(番犬)と呼ばれるが、愛嬌(あいきょう)を振りまくだけの「ポチ」になっていないか。 

2015年6月追記

T−T @tcy79 24 時間24 時間前
売国だの反日だの言う人間の言葉に聞く価値はない。完全に価値ゼロ。

 
おんぼろ茶壷
@Onboro_chafuu
@tcy79 ズキッ・・・ 先生、わしは日本人より米兵を優先したがるウヨに「売国奴」と言ってしまいますた、反省します。 orz
  
T−T @tcy79
@Onboro_chafuu その気持ちはよくわかります。どっちが売国奴なんだと。だが同じレベルにおちてはダメなのです( ゚Д゚)ノ
 
おんぼろ茶壷 @Onboro_chafuu 23 時間23 時間前
@tcy79 ははっ orz。
 
https://twitter.com/tcy79/status/614216912273158144

2016年12月追記

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/174784/120800073/?P=2
してみると、カジノ法案は、わが国の土地を海外の賭博開帳業者に売り渡すための法律だったということになりかねない。

 当然、土地の仲介をした業者はカスリを取るのだろうし、渡りをつけたビジネスマンや関係者にも権益のうちのいくらかは渡るはずだ。が、国民経済が潤うのかどうかはわからない。
 結局、めぐりめぐった取引の果てに、いわゆるひとつの“売国”という作業が果たされるだけなのかもしれない。
 私は、それを危惧している。

その後追記



資料 「時代の正体」

http://www.kanaloco.jp/article/73811

ヘイト本は形として韓国や中国の政府批判であるかもしれない。でもその背景には人種的偏見があり、多くは『韓国人、中国人とはこういうやつらだ』という言い方になっている。ヘイトスピーチの温床をこうした本が、かなり広げている」

 「そもそも負の感情をあおるタイトルは『冷静な議論ではない』と自ら宣言しているようなもの。建設的な批判をしたいなら、そうした体裁を取るべきではない」