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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

柳澤健「1964年のジャイアント馬場」後半戦の”中間報告”。ゴッチ、ミラーのロジャース殴打事件の深層/20日にイベント

昨年連載が週刊大衆で始まった「1964年のジャイアント馬場」(柳澤健)。楽しい時間は永遠に続かないもので、以前聞いた話では一応終わりまでの話数が見えている。表題にした「1964年」からちょうど半世紀のことし2014年に、連載は終わるのだそうです。

現在の市場連載では、ジャイアント馬場が全米を揺るがす大悪役となったのちに、いったん凱旋帰国…日本でもナウでハードなアメリカンプロレスを見せて大人気を博した後、さまざまな思惑が渦巻く中、再度の渡米をして、フレッド・アトキンスに鍛えられるというところまで来ております。


いままでも
自分は折に触れて中間レポートをしてきました。

「1964年のジャイアント馬場」中間報告。「プロレススーパースター列伝」と対比し、一番面白く読んだのは… -
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20131016/p2
 
柳澤健氏「力道山vs木村政彦で、力道山が勝つのは自然」「普通にやっても力道山の勝ちだろう」(週刊大衆) -
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130716/p1
 
ジャイアント馬場異説。「馬場は見た目が『見世物風』なので、野球で実力以下に評価された」(柳澤健) -
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130619/p1

その続きで、それ以降のこの連載で特に興味を持ったところを紹介したい。
 
しかし、ふと気づいたのだが、年代的に馬場の全盛期を知る由もない自分が実に楽しめるのは、一から十まで…とはいわんが一から八まで「プロレススーパースター列伝」を呼んで、「フィクション的正史」を知っているから、そこからの距離によって意外性や新しい興味を持つことができているためだ。
そういう点では、逆にこの本が後から単行本になるとき、プロレススーパースター列伝で少なくとも「猪木・馬場編」と「カール・ゴッチ編」を若いファンにも読んどいてもらいたいところだ。
こういう逆転現象はままあることで、「忠臣蔵」や「水戸黄門」「龍馬がゆく」、戦国の武将伝などを知ってないと「実は吉良上野介は名君だった」とか「光圀時代、領民は重税に苦しんだ」「長篠の鉄砲三段撃ちはない」とかを本で「どやっ!?」と書かれてもスルーされちゃうからな。

そういう点で「プロレススーパースター列伝」との距離関係をも紹介しつつ、語ってみたい。

カール・ゴッチ、ビル・ミラー(ミスターX)のバディ・ロジャースリンチ事件…その深層とは。

この連載の中盤、後半を思想的に体現するのが「ネイチャーボーイ」バディ・ロジャースである。

ジャイアント台風」では普通の意味での悪かったり強かったりする悪役、「プロレススーパースター列伝」ではご覧の通りの「実力も無いのに派手なパフォーマンスで人気を得た虚栄の男」という意味でのやられ役、悪役。

しかし「そのプロモーションにゼニの雨を降らせる”レインメーカー”こそが偉いんだ、トップに立つべきなんだ」という意味では本当に当時のプロレス界の頂点に立つ人間であり、馬場はその”一座”に抜擢されたことで一流の地位を得て、学んでいったのである。


ではそのレインメーカーをなぜ神様ゴッチと、その盟友ミラーはリンチしたのか。
このへんって、Gスピリッツその他で周辺の資料が出てきてたのだが
「ゴッチとミラーは、ロジャースの出ていた団体とは別団体の大会に出てたらしい。わざわざ”敵陣”に乗り込んでなんでそんなことを?」
「なぜロジャースを抱えていた団体は2人を訴えなかったの?」という謎があった。


だが、今回の柳澤連載では、この不ぞろいのピースが思いもかけない形で嵌め込まれ、人間の心ととビジネスの複雑さが語られる。
まず…
・「ロジャースを抱えて、ジャイアント馬場とのメインイベントを打とうとしていたプロモーターはアル・ハフトだった」。

アル・ハフト!!
聞けば分かる人は分かる、これもある意味伝説のプロモーター。
ここで紹介した。

http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20081031/p2
シュート好きプロモーター、アル・ハフト
この人の名はよく聞く。
どこでも嫌われた、がちがちの実力派を、アル・ハフトは「銭のないやつぁ、おれんとこに来い」とばかりに面倒みてくれて、彼のテリトリーは一大シュート王国になった・・・という話はよく聞く。
で、いまだに覚えているのは
カール・ゴッチvsディック・ハットンだったかジョージ・ゴーディエンコ」(覚えているといいながら肝心な部分を失念)をセミファイナルで組んだ。
ところがその日のメインはまさにルー・テーズで、そのプログラムを見て泡をくい、ハフトに
「なんでこんなカードを組むんだ!」
「私の趣味だ」
「バカっ!これじゃどっちかが、死人か障害者に確実になるぞ!これを中止しないなら私はメインを拒否する!」
といって中止にさせたという。そして両者とも、テーズに感謝した・・・とつづく。
剣豪小説で強い剣豪二人を引き分けにするように出来すぎた気もするストーリーだが、同時に「シューターを快く受け入れる大物」というプロモーターが、一転別のアングルからみれば「リスクの高い潰しあいを、雇った部下にやらせて楽しんでいる趣味の悪いオタク」というふうにも見える・・・ということで、総合格闘技隆盛の今、ちょっと思い返すと深い話である。
この「早すぎたダナ・ホワイトor谷川貞治」かもしれないアル・ハフトという人に関する略伝や証言も、いつか読みたいものだ。

そんなアル・ハフトが、バディ・ロジャースを呼んでメインを任せ、ゴッチやミラーはオポジションにいる…だからリンク先にあるように「密命を帯びた偽装移籍」なんて説もある。

だが…今回の「1964年のジャイアント馬場」では、ちょっと違う構図が出てくる。(※ただ週刊誌上で読んでいるので、記憶はやや曖昧で取り違えとかあるかもしれん)


自分なりに記憶を整理するとこう
・アルハフトの団体は、他地域からの侵攻を受けていた。
・それを防衛するため、ハフトは無理をして超大物のロジャースを呼ぶ。ロジャースはそこをフルハウスにする切り札として「vsジャイアント馬場」を提示、みごとに大成功する。
・それを”逆恨み”したシューター2人…ゴッチとミラーが、ロジャースをリンチする(ガチ)。
・ハフトは、この2人を提訴できたし、ロジャースへの義理的にもそうすべきだった。
・だが、ハフトは提訴を回避し、どうも「相手の、この地域への侵攻中止」という裏取引の材料にした節がある。ここをフルハウスにしてハフトを救ったと自負するロジャースは裏切りだと激怒。
・実はハフトは、他団体に行ったはずのゴッチやミラーがやっぱりかわいかった。ハフトも実は元レスラーでやはり「強いレスラーこそがトップになるべきで、そうではない今の風潮は何かおかしい」と思いながら、プロモーターとしてはそうはしきれないで鬱屈するという昔かたぎのオヤジさんだった。だから自分の損害のはずなのに、ロジャースがゴッチらにメタクソにやられた!と聞くと「やってくれたぜ!!」という気持ちを抑えられなかったのだ(笑)



これって、舞台を変えるとよく分かるかも

渋いブルースのジャズシンガー、あるいは漫画「エバタのロック」に出てくるような昔気質の「生き方こそがロックだぜ」なロッカー…こいつらが大好きだった音楽会社のトップだが、経営の問題でやむなく「イベントプロデューサー」と手を組むと。

で、そのプロデューサーが
「ぶっちゃけ、いまのセプコン(コンセプト)は『逢いにいけるアイドル、愛にいきるアイドル』これっしょ。まああとはさ、ザギンでシースー(銀座ですし)でもキメて語りましょうよ」とか言って企画したアイドルが大ヒットしたと。

しかし、そこにブルースシンガーと生き方がロックのロッカーが殴りこんで、イベントプロデューサーを殴ったら…許せる、気がしないか(笑)



ああっ、時間が無い!!!!途中にて、次回は別記事で。

20日夜のイベント!!

03/20 THU
柳澤健×清野茂樹
女子プロレスの黄金時代を語る
『1985年のクラッシュギャルズ
文庫版発売記念

夢に向かって走り続けた少女たちの栄光と挫折の物語である『1985年のクラッシュギャルズ』。
その文庫化を記念して、著者のノンフィクションライターの柳澤健さんとフリーアナウンサー清野茂樹さんが、女子プロレスの過去と現在、そして未来について、大いに語り合います。

柳澤健(ノンフィクションライター)
1960年生まれ。出版社勤務を経てフリーに。
主な著書に『完本 1976年のアントニオ猪木』(文春文庫)『日本レスリングの物語』(岩波書店)などがある。

清野茂樹フリーアナウンサー
1973年生まれ。広島の放送局を経てフリーアナウンサーに。
現在さまざまなスポーツ中継を手がけるほか、ラジオ日本『真夜中のハーリー&レイス』のパーソナリティとしても活躍中。


柳澤健×清野茂樹女子プロレスの黄金時代を語る『1985年のクラッシュギャルズ』文庫版発売記念
主催: 本屋B&B

東京都世田谷区北沢2-12-4 2F
2014/03/20 [木]
前売/席確保(1500yen+500yen/1drink) 枚 \2,000
当日現金支払(1500yen+500yen/1drink)