この問題は重要かつ調査中なのであるが、まあ聞いてくれ。
このブログの読者なら「プロレススーパースター列伝」について書き手が並々ならぬリスペクトと思い入れがあることは知っておりましょう。
と同時にこの作品は、近年……これに限らず梶原一騎原作作品は、いくつかのシリーズが同様の販売戦略をとっているのだが…、一冊数十円レベルのかなり低額な電子書籍として販売されています。
もちろんよくあるパターンとして、 1、2巻ほど無料、その後有料になり最終巻は数百円、均すと一巻あたり80〜300円ぐらいになる、なんてパターンもあるんだけどプロレススーパースター列伝はおしなべてこの低価格販売路線を取られているようだ。
そして、ほかの梶原一騎作品も……
この話は何度も書いた。
※売られているのは、このリンク先のものだけではない。後述
※「男の星座」も、要はプロレススーパースター列伝 と同じように2022年に新規参入があったようだ。(この記事の下と同じ状況、ということ。リンク先でもそれに沿って増補した)
だが!!
ここで申し上げるが、日本では「往年のマンガ」を数十円レベルの低価格で売る戦略を取っているブランドがいくつかあるようなのだ。
自分は電子書籍・出版販売業界のことをほとんど知らないのでこれは自分の目撃範囲だけ申し上げるが…
電書バト
グループ・ゼロ
ゴマブックス
……なんてところがその大手市場らしい。
その中でも「プロレススーパースター列伝」は、やはり原作者・作画者、そしてプロレスという題材や80年代の少年サンデーという掲載誌からみて、大物級の作品なのだろう。
「グループ・ゼロ」
「ゴマブックス」
この両方のバージョンが出ている。
そして書誌的に見ると、
グループゼロはまず、2014年に同作品の電子書籍をリリース。
その後2016年に「デジタルリマスター版」を発売。個人的に言うと自分が電子書籍として持っているのはこのバージョン。
ゴマブックスは新たに参入し、2022年に電子書籍が販売された。
だけどですね、 ここからが重要。
プロレススーパースター列伝には長らく幻だった「カール・ゴッチ編」という比較的短いシリーズがあり、これは小学館のコミックスでは発売とならなかった。
小学館のシリーズは、そもそも発表順にコミックになったのではないのだ。少し前後を入れ替えて、小学館版ではブッチャー、ハンセン、マスカラス……という順番になっているが、これは連載の順番とは違っている。
しかしその後講談社で漫画文庫としてこの作品が復刊した時、何巻だったかな?別の作品とうまくすり合わせて、ゴッチ編が収録されたのでありました。
ファンのいかに喜んだことか …
逝去されたことでその人生に再度注目が集まる、アントニオ猪木の恩師だからね(しかし、その後の2人の人生は複雑な交錯を重ねる…)
そして!!
このカール・ゴッチ編は!!
講談社漫画文庫や「グループ・ゼロ」2014年版の電子書籍など、一部には収録されていたが!
現在ふつうにリリースされているグループゼロのデジタルリマスター版、そしてゴマブックス版では未収録なのです!!!!(だよね?)
このことに後で気付いた自分は大あわて。
なぜなら、今、「電子書籍で購入し直して、古い紙版の書籍は売っぱらったり人にあげたりする」というやり方で蔵書のスリム化を目指している自分は、この カールゴッチ編が収録されている講談社文庫を、誰かにあげちゃった(笑)。誰にだっけだろうか…
というか!!古本、アマゾン販売では5000円近いよ!!!!
ぐぬぬぬぬ。
しかし、個人の損得を云々しているわけではないっ。
この「プロレスリングの神様」の半生をコミック化した作品が今、読者諸氏の目に触れないのは、まさに文化の損失であり、一体全体どうしたの、ということであるのです。
やはり複雑な権利問題が……?
いやところが!!!
さらに続報がある。
先ほど話したように例外的に2014年の「グループ・ゼロ」版電子書籍も一応販売されているし、また今現在…2022年11月現在においては、 Amazon Kindle Unlimited に収録されているのです!!
つまり Kindle Unlimited に入ってる人間は、普通にここ数年で、電子書籍の形式で「プロレススーパースター列伝」を買い求めた読者では読めない「カールゴッチ編」を読むことができるようなのです。
そして、そうでない人は、
を購入することで、カール・ゴッチ編をそろえ、コンプリートするkとができるんです。
これ実はこちらで推測しているのは、楽観的な予想と悲観的な予想ふたつがある。
こういうこと。
【楽観的予想】
結局こういう電子書籍出版社の多くは、特別な編集をいろいろ苦労してやっているわけではない。基本的には最初の、紙で出版した出版社の形式データをそのままをもらって電子化している。今カールゴッチ編がないのは、おそらく小学館編集版のデータをそのまんま使い回してるから。2014年の出版電子書籍にカールゴッチ品があるのは、この底本が講談社漫画文庫で、あまり考えずに田酒月日かしたらそれも付いているバージョンだった、というだけではないか?
ゴマブックスや、グループゼロが気づけば「あ、そういえばこのバージョンではカール・ゴッチ編が未収録、うちでは出してないことになるね。それも出版すれば美味しいビジネスになるかもね」…と、これからkindle版の個別販売の「カール・ゴッチ編」が、出版されるかもしれない。
【悲観的予想】
やはりこのカール・ゴッチ版が発売されてないのは、何やら裏話として様々な権利問題のややこしさやトラブルなどが発生していたためなのかもしれない。そして講談社文庫版や2014年のグループゼロ版でこの作品が収録されたのは、その時だけいろいろ話がうまく進み、そのトラブルが解消されたからではないか?しかしその後トラブルが再燃し、やっぱりこの作品はお蔵入り、となったのかもない。
でもなぜ2014年版、そしてそれを収録した Kindle Unlimited では今でも読めるのか?
ひtっとして…Kindle Unlimited 収録契約、手続きが終わった後にトラブルが再燃し、2016年のグループ・ゼロの「デジタルリマスター」再販、ゴマブックスからの発売ではカールゴッチの収録はできなかった。 2014年版、Kindle Unlimited 収録回は、そのトラブル前なので今でも治外法権的に読むことができる…といった理由かもしれない。
それはこの辺の複雑な過程、「やっぱりお蔵入りにしようず」を、 2014年版の配信停止、Kindle Unlimited での配信停止という措置を遡って行わなければいけない、ということに気付かず、うっかりスルーしちゃった、のかもしれない。
だからこの問題が、こうやってブログに書かれたりすることで注目されたら…いかにここが人目につかない辺境とはいえ……「あ、やべやべ、カール・ゴッチ編だけはまずいんだった!」となって、あすにも販売や、 Kindle Unlimited での公開が停止されるかもしれない。
そこは何とも分からない。
ただ自分にできるのは、今現在の「プロレススーパースター列伝 カール・ゴッチ編」の置かれた状況はこうだよ、とお伝えするのである。
今後状況が、良い方向に行くことを願ってやみません。
(了)
おさらい 2022年現在、電子書籍「プロレススーパースター列伝」は複数のバージョンが発売されている。
ゴマブックス「新装版」
どうも一般的にいえば、ゴマブックスのほうが2022年現在はお安い。これはほかのシリーズでもその様子…
グループ・ゼロ「デジタル・リマスター版」
そして、上の2バージョンでは未収録の「カール・ゴッチ編」が収録されているのが、グループ・ゼロがデジタルリマスター版を出す前のバージョンの「5巻」…であるよ、ということ。