INVISIBLE D. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

ソチ五輪で安倍首相「大統領が心血を注いだ…」→訳「大統領が最後の血の一滴まで…」

駒木明義 @akomaki 朝日新聞モスクワ支局長のtwitterから
https://twitter.com/akomaki

Akiyoshi Komaki 駒木明義 ‏@akomaki 2月8日
安倍首相が「プーチン大統領が心血を注いだソチ五輪の成功を祈っている」と述べたところを通訳さんが「大統領の血の最後の一滴まで注ぎ込んだ五輪」と訳し、ロシア人記者団からざわめきがプーチンさんも軽く驚いたような、ずっこけるようなしぐさをみせました。
 
Akiyoshi Komaki 駒木明義 ‏@akomaki 2月8日
「大統領の最後の血の一滴」のくだり、さっそくイズベスチヤが見出しにとっています。ですが、決して否定的なニュアンスでは受け止められていないように思います→ http://izvestia.ru/news/565416#ixzz2sjFjMnta

「最後の血の一滴まで」とか「我が血、我が心臓をささげる!」というのは、自分は中東系の政府支持デモとかでよく聞く言葉…というイメージがあった。あまり日本語には昔からは無い表現だという気もする(あるかな?)が、仮にそうでも「進撃の巨人」ヒットで「心臓をささげる」という言い回しは定着しただろう(笑)。

それはそれとして、自分は「エドガー・スノーの大誤訳」というエピソードを思い出した。
エドガー・スノーという、20世紀最悪の独裁者のひとり毛沢東を大好きなジャーナリストがいて…(※かれが好きだった当時はいいひとだったが、その後変わった」という言い訳は、やはり通じないだろう。彼が取材した当時も、残虐な暴君としての片鱗は何度も見せている)
彼は毛沢東が天下を取り、10億人の民に君臨したときに再会し、会見記録を書いたが、毛沢東の言葉として…
毛沢東は私に『自分は破れ傘を一本持ち旅する孤独な修道僧だ』と語った
と報じた。
また世界が、若者が「なんという哲人政治家だ!」「必勝不敗の毛思想!」「東風は西風を圧する!」「革命に罪無く、造反に理有り!」と感動しちゃった。

…だが毛沢東がスノーに言ったことばって、単に中国の言葉遊び的慣用句「和尚帯傘、無法無天(※俺は好き放題の無法者さ、という意味)」だったという。翻訳はある意味、正反対である(笑)。

http://www.soshisha.com/book_wadai/08motakuto/

毛沢東エドガー・スノーに向かって語った言葉は「和尚帯傘」だった。通訳は知らなかったのであろう。「和尚帯傘、無法無天」とつづくのだが、「無法無天」は普通は略して語らない。一昔前には常套語であり、「無法」は発音が同じ「無髪」に通じ、和尚は髪がないとなり、傘に遮られて天がないから、「無天」となる。褒めるのとは無縁の成句だ。無理無体だ、非道だ、横暴きわまると非難するときに使う。

エドガー・スノーが延安で書いた『中国の赤い星』のなかで、毛沢東を「痩せて、リンカーンのような容貌の男」と記し、アグネス・スメドレーが『中国は抵抗する』を発表し、毛沢東を「駿馬らばのように頑強で、鋼鉄のような誇りと決意を持った男」と記述したのがはじまりで、毛沢東を賛美する評伝はそのあと数限りなく発表されてきた。それから三十五年のちの毛への賛辞をひとつ挙げよう。スノーは再び毛と会見した。見送りに出てきた毛が最後に、「私は破れ傘を手にした孤独な修道僧にすぎない」と語ったとスノーは紹介した。
 「孤独な修道僧」と謙虚に自己の生涯を振り返ってみせた毛の死からも、すでに三十年近くがたつ。伝記作家、スノー、スメドレーもすでになく、「孤独な修道僧」、「聖人」と請え、礼賛に終始した毛讃歌はいつか見ることができなくなっている。そもそも毛にしたところで、スノーに向かって、自分のことを「孤独な修道僧」と語ったのではなかった。はっきりと明言はしなかったが、言おうとしたことは、幾分か自噺を込めてのことと思えるが、「私は国の定め、党の掟はおろか、世の中の決まりをかえりみることのない無法者でした」ということだったのである

中国の赤い星〈上〉 (ちくま学芸文庫)

中国の赤い星〈上〉 (ちくま学芸文庫)

しかしこれはさすがに、翻訳者の手に余っただろう。スノーは中国語もしゃべれるはずで、ちょっと耳に入ったのかもしれない。

要は寅さんの「結構毛だらけ 猫灰だらけ」「たいしたもんだよカエルのしょんべん、見上げたもんだよ屋根屋のふんどし」を訳せ、みたいな話ですからなあ。
このへんって英語で、ほんとにどう訳すのかね(笑)。いや寅さんってたしか、けっこう外国でも見られてるはずだぜ??


まあ、「第一次世界大戦」に続いて翻訳はもうこりごりでござるよー、のわれらが首相というお話。


この特派員氏は、こんなところまでウォッチしていたのでした。

https://twitter.com/akomaki/status/432347880565641217
Akiyoshi Komaki 駒木明義 ‏@akomaki
#ソチ五輪 開会式。習近平さんは中国と香港の選手団に立ち上がって激励。台湾には座ったまま拍手を送っていましたが、日本が入場すると手をひざの上に重ねて置きました。安倍さんは中国選手団にも拍手をしていました。同僚記者と双眼鏡で観察→ http://t.asahi.com/dx64