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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

露の戦勝式典で考えたこと。枢軸が「ファシズム」でも「軍国主義」でもいいが、連合国は「自由主義・スターリン主義同盟」とでも呼んだらどうか

日本の軍国主義と戦った国に感謝〜露大統領
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20150510-00000002-nnn-int

日本テレビ系(NNN) 5月10日(日)1時26分配信
 ロシアで9日、第2次世界大戦のナチス・ドイツへの勝利から70年を記念する式典が開かれ、プーチン大統領は「ナチズムと、日本の軍国主義と戦った国に感謝する」と述べた。
(略)
 「ナチズム、日本の軍国主義と戦った国の代表に対し、感謝の意を表する」−プーチン大統領は演説で、ドイツだけでなく、日本にも触れた。ウクライナ情勢をめぐっての対立を背景に欧米各国の首脳が軒並み参加を見合わせる中、出席した中国の習近平国家主席に配慮したものとみられる

「イタリアは?」
「小数点は切り下げです」
いやちがうだろ、元祖なんだし。一応、イタリアはイタリアがサロ共和国を打倒した、という史観だからかな。

しかし、それはそれとして本題だが、今回「プーチン」と「習近平」が、反ファシズム闘争をことほぐという構図であってくれたおかげで、タイトルのような特性が浮き彫りになったなあ、と。

「軍事同盟」は、「価値観の共有」によるものもあるだろうけど、遠交近攻や敵の敵は味方、からも生まれてくるもので…ナチスの極めて特異な体制や史観は、軍事同盟したイタリアや日本ともやや肌合いが違う・・・…のと同様どころかそれ以上に、スターリン体制や国民党中国、さらにはその当時、国を代表していたかはさておくとしても毛沢東の中国と、英米の体制ってのはまるで違う。



なんてことを、今回の式典前に一度強烈に印象に残したのは最近・・・、2015年3月16日付 英フィナンシャル・タイムズ紙が、「アメリカとイランは、関係をどんどん改善していくべきである」という文脈で、「同盟というのは、まったくいやな相手とも結ぶべきものだ」という例としてこう書き連ねていたからだ。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43247
オバマ氏を中傷する人たちは、イランの言葉はそれが書かれた紙ほどの価値もないと考えている。

 よくてもオバマ氏はナイーブだ。最悪の場合は米国的でない。悪徳政権と取引することは、米国の価値観に背くというのだ。

 実際には、このようなトレードオフは非常に米国的だ。フランクリン・ルーズベルトは、より大きな大義のために、史上最悪の大量殺人者の1人であるヨシフ・スターリンと同盟を結んだ。リチャード・ニクソンは、スターリン以上に多くの人を殺した毛沢東と和平を結んだ。ロナルド・レーガンアフガニスタンのムジャヒディンを支援した。これらの基準に照らせば、イランの罪は取るに足りないものだ。

みもふたも無さすぎだろ……
アサドのシリア、フセインイラクやISISの関係でもアナロジーが出来そうだが、複雑になりすぎるのでよした(笑)




まあ、その選択自体は上にあるように「より大きな大義」のためであった、という評価はあるだろう。ナチスドイツなり、日本の支配(〜後付で見ると、その勝利が永続的だったは考えにくいのだが…)を防ぐためなら、スターリンとでも、毛沢東とでも手を組む。それは実際に成功した。

ただ、そうであるという認識は必要だろう。「ナチスという敵と物理的(軍事的)に戦うために、別の殺戮者、全体主義体制の象徴であるスターリンらと手を組んだ」と、いうここのところ。そのへんを「反ファシズム」とひとくくりにするとまずいわな。
なもんだから連合国を「自由主義陣営」あらため「自由主義スターリン主義同盟」とでも呼んだらどうか、と。そっちが合理的じゃね??と。
今回、プーチン習近平、つまりロシア(旧ソ連)と中国がクローズアップされた式典は、そういう意味を象徴していると考えると有意義だった。




「ヤルタの不正義」

息子のほうのジョージ・ブッシュはちょうど10年前、思想的に重要な見解として「ヤルタの不正義」を公に認めた。
なんと、いま検索したら「赤旗」が出てきた(笑)

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-02-28/02_01.html


ブッシュ氏は今回の訪欧で、戦後国際秩序の問題に言及しました。

 「欧州は、冷戦時のいわゆるヤルタの安定が不正義と恐怖の源泉であり続けたことを体験した」(ブリュッセルでの演説)

 ブッシュ氏がいうのは、米英ソ首脳が第二次世界大戦の戦後処理をとりきめたヤルタ会談(一九四五年二月)にもとづく枠組みのことです。ヤルタ協定は、ソ連の対日参戦の条件として、千島列島がソ連に「引き渡される」と規定したように、「領土不拡大」の原則に反する不当な勢力圏分割を導きました。不当な要求を出したスターリンはもちろん、それを認めたアメリカにも責任があります。


ラトビアの首都でも、これに言及した演説をしている。

http://ameblo.jp/yoshma/entry-11504864077.html

As we mark a victory of six days ago—six decades ago, we are mindful of a paradox,’ stated Bush. ‘For much of Germany, defeat led to freedom. For much of Eastern and Central Europe, victory brought the iron rule of another empire. VE Day marked the end of fascism, but it did not end oppression. (略) The captivity of millions in Central and Eastern Europe will be remembered as one of the greatest wrongs of history.

私の拙訳

60年前の勝利を記念するにあたり、我々はパラドックス(矛盾)に十分気がついている。
ドイツの多くにとっては、敗北が自由をもたらした。
しかし、東欧と中欧の多くにとっては勝利は別の帝国(ソ連)の鋼鉄の支配をもたらした。
VE Dayヨーロッパ戦勝記念日)はファシズムの終焉を意味したが、それは抑圧の終わりではなかった。
(略)
中欧・東欧にいる数百万人の束縛は歴史上最悪の出来事の一つとして人々に記憶されるだろう。

http://dash.harvard.edu/handle/1/5141681

ラトビアから見れば「第二次大戦でナチスや日本という悪は敗北した。でも勝った側に『もうひとつの巨悪』があった」という歴史観はごく当たり前だし、客観的にも正しいものだろう。

「反ファシズム陣営」という言葉を聞くと、そんなあれこれをちょっと思ったのでした。

エドガー・スノーをうまくだませたのが勝因です』(毛沢東周恩来談)

以前、ちょっと書いてた

エドガー・スノー夫人「夫は毛沢東に騙された・・・」と告白? - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20060429/p5
 
エドガー・スノーの大誤訳(※後半部分です)- http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140211/p3

ルーズベルトに与ふる書(硫黄島に残された遺書)

id:fullkichi1964 2015/05/13 13:14
自由主義スターリン主義同盟」……まあこれについては硫黄島で玉砕した一少将が、遺書としてアメリカにつきつけた一文「ルーズベルトに与ふる書」で指摘してることでもありましてね……
http://nezu621.blog7.fc2.com/blog-entry-1416.html

自国の弁護に傾いてるのは当時としてはやむを得ないところ。しかし、あの戦争のある一面を確かに突いてはおり、一読の価値はある。「ヒトラーを倒したとして、そのあとスターリン率いるソヴィエトとどうやって協調するつもりなのですか?」……戦後、反共に傾くアメリカにおいて、新聞各紙に取り上げられたというのも、実に皮肉なのだけれども。

死に臨んで自国への反省も描ければさらに良かったのだろうが、それは高望みというべきかもしれないし、また日本国の抵抗継続期間と、報道のされかたによっては遺族の国内での立場にも影響しただろうから、やむをえないところか。