池内恵氏が、この時期に緊急寄稿してくれる場があったことは実にありがたい。
極めて示唆に富む文章だ。
■エジプト7月3日のクーデタ──乗っ取られた革命
執筆者:池内恵
http://www.fsight.jp/18054
自分が
重要だと思ったところを。
スィースィーの声明が流されると、タハリール広場の民衆は熱狂した。しかし彼らがここで失ったものに気づくまでに、それほど時間はかからないだろう。カイロ大学や大統領宮殿近くのモスクに集まったムルスィー大統領支持派は雪辱を深く心に期しただろう。エジプト社会の分裂は深まった。エジプトは民主化のボタンを大きく掛け違えた。
…安定がもたらされるというよりは、かなり長い将来に渡ってエジプトで権力が恒常的に不安定さを伴うことを決定づけたと言えるだろう。「人民」の直接行動による政権打倒の正統性が、民主主義的手続きよりも代議制政治よりも優越するという原則をここで定めてしまったからである。
とくに後段は、普遍的法則でもあると思う。
つまり「デモ」というのはどんなに平和的に行われようとも、法秩序を”超える”部分がある。特に成功して、権力をひっくり返したときは・・・「反する」とは言わない。「超える」のだ。
しかし、「超えるのがアリ」となると、じゃあ「超えよう」という人たちが次々とチャレンジするのを止められないではないか。リコールという手続きがあればまた違うだろうけどね・・・議会の弾劾は別として、大統領をリコールする制度があるところはそうない。
フィリピンで2回発生した「ピープルズ・パワー」も多少似たところはある。これも善悪はそれだけでは決めがたい。
そのことを分かりやすい文章で指摘する池内氏のタイムリーな寄稿だった。
彼の著書は、すべてが推奨に値する。最近の新刊ないかな。

- 作者: 池内恵
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/01/18
- メディア: 新書
- 購入: 6人 クリック: 42回
- この商品を含むブログ (59件) を見る

- 作者: 池内恵
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2008/11
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 17回
- この商品を含むブログ (16件) を見る

- 作者: 池内恵
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/04
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 19回
- この商品を含むブログ (21件) を見る

- 作者: 池内恵
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/07/24
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 24回
- この商品を含むブログ (10件) を見る