2013年6月7日「余禄」より
http://mainichi.jp/opinion/news/m20130607k0000m070110000c.html
「ラク」はブドウから造るトルコの蒸留酒である。水を加えると白濁し、アルコール度数は約50%だ。現代トルコの国父ケマル・アタチュルクが肝硬変(かんこうへん)で死んだのは、その飲み過ぎによるものという▲彼が率いたトルコ革命はオスマン帝国を倒してイスラム教を国教から外し、トルコを政教分離にもとづく近代国家……以来、イスラムの教えを公の場に持ち込まない世俗主義(せぞくしゅぎ)は国是とされてきた▲そのトルコ国会では先月、酒の販売を規制する法案が可決された。イスラムの戒律を守って……
(略)
……政権の「強権」への非難が若者らの間で一挙に燃え上がり、激しい街頭行動に発展した▲参加者らは政権のメディア規制やイスラム色の押しつけなどに不満…強い政権基盤をもち、政界に有力な対抗勢力のないエルドアン首相……▲「どの若者の心にも一頭の獅子(しし)が横になっている」とは若者をあなどるべからずというトルコのことわざである。エルドアン政権には自由を求める獅子たちを軽んずることのなきよう願いたい。
トルコの政教分離は「強権を持ってしても(多数派の意思を無視しても)政教を分離する」という思想的ジレンマを持っているから、もう少し二重三重に奥が深いというか矛盾があると思うけど、それはそれとして
「どの若者の心にも一頭の獅子(しし)が横になっている」
は名ことわざと思うので記録した。
トルコについてはもっと書きたいことがあるが、時間が足りぬ。
内藤正典氏のつぶやき
■内藤正典氏(イスラーム地域研究、同志社大大学院教授)が読み解くトルコ・イスタンブール騒乱
http://togetter.com/li/513036
というtogetterを作った。その後もこの問題に関する時事解説つぶやきは続いているのだけど。
長いので、こんな部分を抜粋してみるかな?
私は、世俗主義に陰りが見え始めたあたりから、つまり1980年代からトルコをみているが、世俗主義勢力のエリート臭と、ヨーロッパへの観念的憧れには辟易させられた。イスラーム主義の側も政権を取って10年でかなり堕落した。
masanorinaito 2013-06-01 00:38:28双方が反省して、新しい方向に変わらない限り、西欧近代国家の擬制に過ぎないイスラーム政権は早晩、市民の支持を失う。しかし、その後には一層ラディカルなサラフィーが、形から入るイスラームを振りかざすので、確執が衝突にかわりうる。
masanorinaito 2013-06-01 00:41:12エジプトなど、国民国家妥協型のムスリム同胞団政権ができて1年もたたないうちに、サラフィーと世俗主義の両方が政権の足を引っ張って、何ひとつ前に進まない。
masanorinaito 2013-06-01 00:42:58イスラーム主義が悪い、世俗主義が悪いと言い張っても無意味。西欧世界のすべて(バチカンは例外)は、世俗主義を基盤としている。圧倒的な力を持っている。しかし、ムスリムに世俗主義は理解できない。トルコの世俗主義者は、いや、理解できる、と主張する。
masanorinaito 2013-06-01 01:03:54では、どうやって、人間社会のある領域を神の手が及ばないことにするのかと問うと、ムスリム世俗主義者は答えられない。従来のトルコは、世俗主義の共同幻想を持ちうる人々によって支えられてきたが、それが軍や警察機構という暴力装置の援護によって支えられていたことを忘れたか。
masanorinaito 2013-06-01 01:07:02軍の政治介入を期待してきた世俗主義者には、民主主義を語る資格はない。
masanorinaito 2013-06-01 01:08:05
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