はい、
ぱち
ぱち
ぱち。(テンプレ)
当道場の「年度」で選ぶ漫画選です。
なんで年度かというと、本格的な商業ベースの漫画賞やランキングが年末選定のことが多く、さらにはブロガーの選定も年末に集中するのでそれに埋もれるのを避ける、ということと、格闘技ファンは年末には大晦日の大会に向けて書くことが多く、多忙でスペースも取れなかった(過去形)からです。
そのさらに前は年末発表でしたが、2010年度から、そういう形式になっています。
そういうわけで2012「年度」の漫画10傑を選ばせていただきます。
【そのほか、うちの特徴】
・選んだ10作品の中で、1〜10位の順位をつけるすることは現在はやめています。順不同。
・過去にランキング入りした作品は、入れるかどうかの選考時に意図的にハンデをつけています。複数年で選ばれた作品は、かなり凄いと考えてください(下に、過去の賞へのリンクがあります)。
・その中でもとくに「オールラウンダー廻」「風雲児たち」は、殿堂入りです。
・厳密にこの年度に発表された作品かは、あまりこだわっていません。
・うちは出来る限り、この「10傑」はこの1年で長文の紹介記事を先に書き、その過去記事にリンクを張る・・・という形を理想としています。一本の記事で10紹介すると、どうしても薄味になるので。ただ言うはやすし、行うは・・・で理想どおりにならないことも多い。そういうものがない作品はこの発表をしてから、長文の紹介を書くようなこともしたいです。
それでは発表!!
■「ヒーローズ・カムバック」(※企画アンソロジー)
単行本はまだ出ていませんが、4月30日発売が決定。紹介記事はナタリーから
http://natalie.mu/comic/news/78608
細野不二彦の提案により、新たな東日本大震災復興支援プロジェクト「ヒーローズ・カムバック」が立ち上がった。その一環として執筆された「ギャラリーフェイク」特別編が、本日10月22日発売の週刊ビッグコミックスピリッツ47号(小学館)から2号連続で掲載される。
「ヒーローズ・カムバック」では細野と7名のマンガ家が読み切りを描き下ろし、週刊ビッグコミックスピリッツ、週刊少年サンデー、ゲッサン(ともに小学館)で発表。その作品を単行本化し、必要経費を除いた収益・印税のすべてを寄付に当てる。
ああ、この関連リンクは多いぞ・・・
■細野不二彦「ギャラリーフェイク」復活。舞台は東日本大震災の被災地、宮城
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20121003/p4
■本日発売のスピリッツで「ヒーローズ・カムバック」スタート。そして…「究極超人あ〜る」復活も正式決定!!
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20121022/p3
■来週いよいよ「究極超人あ〜る」復活・・・「自然体」な予告がすばらしい。細野不二彦「ギャラリーフェイク」復活篇もいい出来。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20121031/p3
■いよいよ本日、復活「究極超人あ〜る」スピリッツに登場!で総まとめ的回想
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20121105/p4
■究極超人あ〜る、復活のその後。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20121106/p4
■藤田和日郎「うしおととら」復活に際し、現在は独立した有名漫画家までアシに復帰(笑)
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20121121/p2
90年代サンデーのアイコン、「GS美神 極楽大作戦」(椎名高志)が本日の少年サンデーに再登場
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130227/p6
ここではたまたま紹介してないが「銀の匙特別編」なども、もちろん傑作だった。どの作品も、「想い出には、だれも勝てねえよ(by武藤敬司)」という言葉通りに「懐かしー!ということをためらいなく商品の魅力としつつも、まっとうな漫画的評価として「面白い」「優れた」作品が多かったと思います。東日本大震災支援という動機、意図も拍手に値するが、ただこの「10傑」選定に当たっては「震災支援は素晴らしいことだから」という評価は一切、まったく、入っていません!それは断言できる。漫画として、企画として、純粋に評価しました。
あ、あと、企画の中心となったのが細野不二彦氏なので、「ヤミの乱破」もよっぽどこの10傑に入れたかったけど、2つ入れるのも何なのではずしました。同作品の業績も、この「ヒーローズ」の評価に加味されていると思われよ。
- 作者:細野 不二彦
- 発売日: 2012/11/22
- メディア: コミック
■「機械仕掛けの愛」
ロボットのワタシも、泣いていいですか。
- 作者:業田 良家
- 発売日: 2012/07/30
- メディア: コミック
本を愛する刑事、最強の兵士、子育てのベテラン、失敗ばかりのダメ店員……ココロを持ったロボットたちの愛情と葛藤、そして“人間”を描きだす、切なくて温かいオムニバス!!
持ち主に飽きられたペットロボの女の子は、愛された記憶を頼りに“お母さん”を捜すが…?
人間の遺言で自由を手に入れた、介護ロボの苦悩とは?
思い出を託された執事が、約束を果たすために選んだ道は?
ロボット神父は、搾取に苦しむ農民たちを導けるのか?
機械仕掛けのココロの系譜、9編を収録。【編集担当からのおすすめ情報】
ヒトではないキカイが、「生きたい」と叫ぶ。
錆びついた心に響くロボットシリーズ、開幕。
この前書いた紹介記事は、多くのはてブをいただいた。
現在雑誌で読める業田良家「機械仕掛けの愛 」ははっきり言って・・・「手塚、藤子級」の出来だ
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130310/p2
”手塚治虫や藤子・F・不二雄の短編に匹敵する”というタイトルに釣り効果があったことは認めるが(笑)、見てもらえば満足して帰っていただくので、何の問題もない。
いや、問題は・・・入手の困難さだ。
■どうも業田良家「機械仕掛けの愛」、大書店でも今は見つからないっぽいが・・・
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130325/p2
これの早急な対処を望む。
あと、最初の紹介文にも載せているけど
http://big-3.jp/bigcomic/rensai/kikai/index.html
で第1巻の、第一話が「試し読み」できます。
■「ウルトラマンSTORY 0(ゼロ)」
これは今までほぼ紹介してなかったな。
ウルトラマン誕生!!!
- 作者:真船 一雄
- 発売日: 2005/09/21
- メディア: コミック
誰も描かなかったウルトラがここにある!!!
M78星雲に存在するひとつの太陽系。急激に衰えた太陽にかわるべく作られた人工太陽は、人々の希望だった。打ち上げは成功、永遠の光を手に入れた人々は、自らの星を光の国と呼ぶ。しかし何者かの陰謀により、希望となるはずの光は、すべての生命体に、驚くべき変異とかつてない災いをもたらした…!!銀河系最大の危機を救うべく立ち上がった若きウルトラ戦士たち、その伝説が、今ベールを脱ぐ!!
ゾフィーの旅立ち、セブンとミクラスの邂逅を描いた第1巻、遂に登場!!
たくさんある、テレビ番組にオリジナル設定を加えたコミカライズ・・・・・それも、ウルトラというそれが一番発達しているシリーズのワン・オブ・ゼムとしてあまり大きな話題になっていない気がします。
それは作者(真船一雄氏)を・・・「あの人、ブラックジャックと北斗の拳をごった煮にした、一歩間違えりゃパロディのイロモノ医療漫画の人だろ?」と低く見る傾向があるからじゃないでしょうか。・・・ていうかそれ、俺の感想(笑)。すごく間違ってる感想でもないところが厄介だし。
だが、その議論はひとまず忘れて、純粋に「ウルトラマンSTORY 0」を通読してごらんなさい・・・
実は、とてもとても志高く、「本編に負けない、もうひとつのウルトラシリーズ」を・・・それも実写では予算や視聴層の関係で描けない高度で雄大なスケールのウルトラを描いているのです!!
何かを思い出しませんか?
そう、村枝賢一「仮面ライダーSpirits」ですよ!
村枝の仮面ライダースピリッツは、連載当初から注目度が高く、特に冒頭の「世界各地のライダーが、地球の危機に再度武器を取り戻ってくるところが・・・各ライダーの個性も生かして、息もつかせぬ興奮と感動(涙)で絶賛を浴びた。
それにはまったく文句ないが・・・
「機械仕掛けの愛は手塚、藤子に匹敵」の宣伝に味をしめたわけじゃないが、このウルトラマン0も、村枝ライダーに乗っかる。
「仮面ライダーの漫画版の中で村枝『仮面ライダーSpirits』が特別なように、ウルトラマンの漫画版で真船『ウルトラマンSTORY 0』はスペシャルな存在!ライダーにスピリッツあれば、ウルトラにゼロあり!!!」
と、対比列伝のようにしてファン(漫画でも特撮でも)に、認識してほしいのです。
しかし、考えてみれば不思議で、別に接点があるわけでもないのに、「ライダー」と「ウルトラ」が共に同時代に、番組から生まれて番組を越えようという、不世出の傑作漫画を生み出していることは何か因縁を感じる。ラインハルトとヤン・ウェンリーのように(笑)。
ただ、円谷プロがこのあと「ウルトラセブンの息子」というヒキョーな手段で売り出しているキャラクターがカタカナの「ウルトラマンゼロ」。この呼称の混乱も、傑作漫画のほうの「0」が広く読まれることのさまたげな気がするが・・・
■「さよなら絶望先生」
桜咲く4月。希望に胸を膨らませた登校途中の少女が、桜並木で出会ったのは、新クラスの担任の先生だった‥‥。そこまでは良い話。その先生の名は糸色望。学校から飛び下りたり、すぐ不登校になったり、超迷惑なネガティブ教師だった! 通称「絶望先生」が引っかき回すクラスでは、予想不能な事件が毎回毎回起きるのです!
- 作者:久米田 康治
- 発売日: 2012/08/17
- メディア: コミック
影武者の書き残した衝撃的は「あと10回」! そう‥ネガティブ教師と絶望少女達の物語、30集にて堂々完結!! 3のへ組もアディショナル学期の3.1学期を過ごし、ついに卒業です。マガジン本誌に掲載された最終話のカラーもそのまま掲載! 描き下ろしエピソード「30X話」も収録した、豪華仕様でお贈りします!!
この、最終回までの展開は、日本漫画史上に残る”問題作”といえるでしょう。前作「かってに改蔵」の最終回も、すごい形でのちゃぶ台返しウオー(ノ-o-)ノ〃┻━┻ があったけど、それをさらに上回る・・・・・・・。
ただ、とある国民的人気漫画に関してインターネット上ですごく拡がっているフォークロアまで視野に入れると「ああ、”あの系列”の話だね。」という評価もまたありえるが・・・いや、それを日本有数の発行部数を誇る雑誌で・・・いくら独特なポジションに立ってたからといっても(笑)実際にストーリーに組み込んで、今まで人気を培ってきたストーリーとキャラクターをみんな賭け金として大博打を打つ・・・ようなことは、やっぱり普通の作家にはできない。
というか、まねしちゃいけない(笑)。
非常に衝撃的なので 「さよなら絶望先生 最終回」で検索すると感想や解説がずらずら。もちろんネタバレも含むので、読むかどうかは自身で判断を。
■「自殺島」
カイが集落から去ってから数日。セイ達の眼前に現れたのは、かつて未遂者(=彼ら)を運んできた船影だった。“第二陣"の出現は、一体何をもたらすのか──!? サバイバル極限ドラマ、驚愕の第8巻!! 2012年9月刊。
- 作者:森 恒二
- 発売日: 2012/09/28
- メディア: コミック
ヤングアニマル系の漫画単行本の、アマゾンでの解説の手抜きっぷりは本当にすさまじい。編集者は、簡潔をもって最良としている縛りでもあるのだろうか?ある意味、編集者の一番の”戦場”はここだぜ・・・?
ま、その話はおくとして、「自殺島」は「十五少年漂流記」「蝿の王」以来の問題・・・ロビンソン・クルーソーなら長年ひとりなので、基本的に問題はなかったのだが・・・無人島で生き抜くための集団生活、が展開していくと必然的に生まれる「政治」「軍事」の問題が端的に描かれていきます。
対立集団のトップは暴力と恐怖によって集団を支配し、しかも歪んだ形での”カリスマ、人望”もあるという・・・そんな中で主人公の集団は、守るためには相手を殺すのか?(戦闘だけではなく処刑も含む)そういう緊張状態でのリーダーはいかにあるべきか?などを、まったなしの課題として突きつけられていきます。
そこは非常に興味深い。
連載開始当時に、そういえば自分はこのへんのことを書いていたな。
■森恒二「自殺島」の系譜を適当にたどってみる。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20081201#p8
また、こんな孤島集団でも「性を商品として売買する女性」が生まれ、それがもたらす社会的影響・・・、などという問題が出てきたりする。
さらには、まったく不思議な「虚無のモチベーション」を持つ人間・・・残酷でも冷酷でもあるのだが、さっきいった対立集団のトップ的な”野獣のような凶暴さ”とは別の怖さ・・・の、不思議な悪役が出てきます。
この悪役、突き詰めて描写できれば、新しいキャラクターとしてひとつの典型になるかもしれない、そんなポテンシャルまで感じました。
これで・・・5つ紹介できたか。
読んでわかってくれると思いますが、結構くたびれる(笑)。
あとの5つは、夕方に発表させてもらいます。よろしく。
==========夕方の部============
■「めしばな刑事タチバナ」
めしばな刑事タチバナ 9 [ラーメン・サバイバー] (トクマコミックス)
- 作者:坂戸 佐兵衛
- 発売日: 2013/04/02
- メディア: コミック
最近まとめ読みした、新参読者です。
グルメ漫画・・・でありながら、どこでも、だれでも食せるチェーン料理店、大メーカーのジャンクフード、インスタント食品・・・について論じるという作品で。
例えば、自分が連載前の編集者会議でこの企画がかかったときに、「面白いじゃないですか」と支持したくなる一方で・・・「ある一面では面白いけど、無謀ですよ」とも言いたくなる。
みんな食べてるこういう食物の話題は「うすしお要らないよねー、東京都条例で禁止してもいいよねー(個人の見解です)」とか「きのこの山がたけのこの里よりうまいとか言ってる奴は夕張に雪かきに行け(個人の見解です)」「サッポロ一番は塩だけでいいだろ(個人の見解です)」と、いくらでも語れるだろうけど結局は「あるある」ネタの面白さにしかならんのじゃないか、と・・・ところが、結局この作品が支持を受けたのは、そのお馴染み食品にまつわるトリビア、うんちく、歴史の点で膨大な博引傍証をやれているからなんだよな。それを盛り付ける器が刑事もの、である必然性はまったく無かったと思うが、逆にそうだからこそ、いろんな歴史やフォークロア、そして激烈なディベートをしたあとの
「だから何だ!!!」
感が強調されて面白いのかもしれない。
ついでにいうと刊行ペースが非常に速いですよね。いろんな作者さんに見習ってほしいもの。
4月10日からドラマ放送
http://www.tv-tokyo.co.jp/official/meshibana/
■「ドリフターズ(&まおゆう)」
- 作者:平野 耕太
- 発売日: 2013/03/18
- メディア: コミック
・・・さっき「ヤングアニマルの漫画単行本は、アマゾンの内容紹介が短すぎる。手を抜いてるんじゃないだろうか」と書いたがすいません、秋田書店のこちら、内容紹介ゼロです!!もうポリシーとか感じさせるな。
この作品も、連載開始の時に期待を込めてレビューした作品のひとつだ。
■平野耕太新作「ドリフターズ」。時代を超えて英雄集結!の系譜
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20100708/p4
2010年7月にこれをレビューしたとき、まさか2013年3月で、同作品がまだ3巻しか出ていないとは予想しなかったけど(笑)。
これをここに入れる際、「そもそも着地点がどうなるか分からない」「このまま、うまくまとまるんか?」的な反対論が自分の脳内会議でも出されました。・・・ただ連載漫画って「最後に失敗しようとどうしようと、途中経過をワクワクさせてくれりゃいいじゃないか!」って評価基準もあるよね。そういう点で、今わくわくしている、という正直な、素直な自分の感情に従って、評価した。
そして「&まおゆう」とは、それなりにブクマを頂いたが、「少数派の奇説」だったのか「凡庸、平凡な意見」だったのかいまだに判然としない
■間もなくアニメが始まるという「まおゆう」と平野耕太「ドリフターズ」って隣接ジャンルやねん。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130104/p2
の責任を取るような形で押し込んだ次第です。2作品に関係は無いだろ、と仰る方が降りましたらすいません。
まおゆう魔王勇者 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る! 」 (6) (カドカワコミックス・エース)
- 作者:石田 あきら
- 発売日: 2013/02/23
- メディア: コミック
■「くーねるまるた」
ポルトガルから来た食いしんぼー女の子!!
- 作者:高尾 じんぐ
- 発売日: 2013/01/30
- メディア: コミック
マルタさんはポルトガルから来た貧乏だけど食いしんぼーな女の子。築70年のおんぼろアパートで、慎ましいながらもエンゲル係数高めな一人暮らしを満喫中。
紅茶チャーシュー、鶏油炒飯、パン耳タルト、蟹風味のディップ・・・等々 お金はなくても丁寧に。マルタさんの美味しい日々!!【編集担当からのおすすめ情報】
夏みかんの皮からジャム、金魚鉢で桃のカクテル、風邪をひいた時にはポルトガル流の卵スープごはん・・・と、マルタさんのレシピはどこかすこし変わっているけれど、どれもとても美味しそう!!
ご近所さんや、同じアパートの住人たちに囲まれてのほほんと暮らしているマルタさんを見ていると癒されます。マルタさんの特製レシピもついて大満足の一冊です!!
これも、今までのブログ紹介記事が多い。
ある意味、まるたはわしが育てた(はてな&ウィキペディア限定で)。
■謎のザリガニ・イーター…南蛮の地から来た「くーねるまるた」
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20121106/p5
■だれが一番旨いか、決めやがれ!!「日常料理系漫画GP」ここに開催!
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20121107/p3
■食漫画の新人王決定戦・・・「くーねるまるた」vs「まかない君」単行本対決!!
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130202/p5
■「干物アジを炊飯器で炊き込む」+バターを溶かすとうまいらしい(くーねるまるた)
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130206/p5
ここにも書いたが、今回の「10傑」でもライバル「まかない君」とどっちを入れるか迷った迷った。だが、最後に決め手になったのは、「まるた」が食事、貧乏料理だけでなく、「お金のいらない東京名所の案内」漫画も兼ねるようになったことです(上野の児童文学博物館など)。この引き出しの多さで、僅差でまかない君をかわした。…まかない君は来年の10傑候補なので、なお精進されたい。
ちなみに、「食漫画新人王戦」では「まるたvsまかない君」だが、「スピリッツショート漫画タイトル戦」でもこの作品には「明日にはあがります。」というよきライバルがいる。それは幸せなことである。
〈はたちの日よきライバルを君に得て自ら当てし鞭いたかりき〉−堀口大学
■「ジパング 深蒼海流」
単行本未発売
モーニング公式サイトから
http://morningmanga.com/lineup/209
『ジパング 深蒼海流』とは
同じ血筋から分かれた源・平、ふたつの勢力は、なぜあれほどまでに性格を分かち、そして争いあったのか。
彼らの闘いは激しく、血みどろのものであったのに、我々はなぜそれを美しいと感じるのか。
我々はなぜ、この世の全ては常に移り変わるものであり、勝者もいつかは必ず滅び去る、という世界観に惹かれるのか。
800年以上ものあいだ、我々のなかを深く激しく流れ続けてきた蒼き海流を感じる時、我々は我々が何者なのか、そしてどこへ向かうのかを知るだろう。
『沈黙の艦隊』『ジパング』のかわぐちかいじが、平安時代を舞台に“日本人とは何か”を問う大型連載。
NHK大河ドラマ「平清盛」への便乗企画にしてはタイミングをはずしたなー、と思ったけど、そういうことじゃないみたいね(笑)。
で、かわぐちかいじってすでに・・・藤子不二雄とか本宮ひろ志、水島新司と同じように・・・同じ主題の「変奏曲」を奏で続ければいい立場にいると思うんだ。というか自分は自分の代表作のひとつと同じ「ジパング」をこの作品につけたことで「かわぐちは『火の鳥』のように、ジパングでつながっていくひとつの世界を描くつもりなのか?」と疑っているぐらいだ(笑)。
それは深読みしすぎにしても、かわぐちのメイン主題は、以前も書いたように「男達、だれの(大抵は「男二人、どっちの」に収斂されるが)器がデッカイんだ?」を競う・・・まるでスポーツのように、当事者の中では厳密なルールや採点基準があるような、そんな競争、それを描くと。
それを描く舞台を、どっかから持ってくるか・・・が腕の見せ所で、そこで「源氏と平家」「頼朝と義経」という舞台が最良だというね。義経を「あらぶる魂」、頼朝を「透明な魂」として描くというのが今の感じだけど、これは二転三転するのかな。
個人的には、平清盛が頼朝、義経を助命した経緯・・・
歴史を後知恵の特権で評するなら、日本史屈指の大大大戦略ミスである、ことは間違いない。
常盤御前の色香に迷った、結局お人よしの甘ちゃんだった、いろんな解釈がある中で・・・「頼朝を少年ながら自分に匹敵するほどの器の持ち主と見た、そして『成長して、わが平家に立ち向かうなら来い!!堂々と迎え撃ってやる』という意識で助命した」、という描き方はとっても良かった。
最新の号では「わが平家は『銭』・・・貨幣制度を日本に広め、確定させる。経済の力で新しい国をつくる」という野望も語っている。ここも絡めて描ければ・・・さらにすごくなるぜ。
■「思春期シンドローム」
単行本未発売
これは・・・ちょっと無謀というかルール違反というか・・・だって2013年2月、3月とまだ連載2回だ。ルーキーをいきなり開幕一軍、とか、デビュー戦が国立競技場のセミファイナル、どころのレベルじゃねーぞ。
ここで書いたことを、今回はそのまま再録する。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130323/p3
【漫画メモ】アフタヌーンでは新連載で「思春期シンドローム」なる作品が開始。これが面白いのは、20何ページだかのページを3P程度に割り振り、超ショート・ストーリーで描くという手法だ。まずそこが珍奇で…そしてテーマは、「桐島、部活やめるってよ」や「鈴木先生」でさらにいま注目された、学校内の人間関係…特に優越感や劣等感などの細やかな感情。それを2、3Pで描けるの?というと、意外や描けるんだよ。むしろさらりとしたスケッチこそ本質を描きやすい。化ける気がする
posted at 17:48:18
さあ、頼むぜ、大抜擢した俺に恥をかかせないでくれよ・・・(何様だ)
ふう、これにて10傑選定、ひとまず完了!!!
次点的な、もの
文中で触れたものもあるけど・・・
明日にはあがります。
ナポレオン 覇道進撃
なにかもちがってますか。
絶対可憐チルドレン
聲の形
原発幻魔大戦
ヤミの乱破
キン肉マン
いいなりゴハン
参考:過去の賞です
※上にも書きましたが、過去に一度選んだ作品は出来る限り再度は選ばないようにしています「なぜあの作品が無いの?」という疑問がある場合は、それが理由かも知れません。
■「見えない道場本舗・2011年度漫画10傑」(※ここから順位なしの10選に)
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120402/p1
■2010年度漫画ベスト
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110327/p1
■2009年漫画ベスト
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20091210/p2
■2008年漫画ベスト
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20081231#p4
(2007年は「06年とほぼ同じなので休み」となっていた)
■2006年漫画ベスト
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20061230#p2
なんかの漫画ランキングの選考権を、ぼくにおくれ。
もう7年か、まめに1年の漫画ランキングをつくってきました・・・という履歴をもとに、どこかブックレットとかなんとか賞とかの投票権、1票をください。
と、どこにアピールすればいいのかわからないので、不特定多数にアピールしておく。