以前も書いた話だが、思い出したのはこの報道を見て。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20130226-OYT8T00504.htm
2012年度から全国の中学1、2年で始まった武道必修化を巡り、柔道を選択した北海道内の公立中学校計438校のうち、少なくとも10校の男女12人が授業中に骨折していたことが25日、読売新聞の調べで分かった。
しかし読んでも
「438校(全中学校の3分の2)でやって10校12人の骨折」が多いか少ないかわからん。記事を読むと「右足薬指の骨折」も含んでいるそうだが、少なくとも他種目(野球やバスケ、サッカーなど)と比べて…学校の数や授業時間の割り当て比率も加味、調整して比較検討してもらわんと、と思った。
「横四方固め」の練習をしていた1年生の女子が技から逃れようとし、右足を畳にぶつけて薬指を折ったり、空知地方の中学でも、前回り受け身の練習中に鎖骨を打って骨折したりするケースがあった
まあ各市教委に、新聞独自のアンケートの形で力技でまとめたものだから調査の項目は簡単になってしまうだろう。(まだ年度が完全に終わっていないことにも注意)
となると、やはり専門の学者に期待することになる。そこで柔道事故問題の火付け役、内田良名古屋大准教授のサイトにいったら
http://www.dadala.net/
そこにあったデータ…
http://www.dadala.net/statistics/judo.html
柔道事故データブック2012
柔道事故の実態と特徴がこの1冊ですべてわかる!
学校管理下における柔道事故に関するさまざまなデータ(学校リスク研究所オリジナル)を掲載しています。死亡事故の分析,死亡率・負傷率の分析,部活動と保健体育科の比較分析,熱中症の分析にくわえて,巻末資料として,死亡事故事例一覧(和文,英文),障害事故事例一覧があります。ダウンロード:柔道事故データブック2012
があり、ダウンロード可能になっていた。もっとも「データブック2012」は2010年度、つまり必修化の前までの記録のようだが。
で、ここにはいくつか今回の議論の火付け役となった過去20年のグラフもあるが、読み進めていると、熱中症に関し驚きの記述がある。
(念のため。これは「部活動」の話で、「体育授業」の話じゃないですよ。)
5. 1 主要部活動の死亡率
1991-2010 年度の20 年間の,主要部活動における熱中症による死亡事例について,その死亡数と死亡率を算出しました (注。件数が少数であるため,中学校と高校の合計について,過去20 年分にまで範囲を広げています。)
図表からは,100 万人あたりの死亡率について,柔道が3.542 人と突出して高いことがわかります。柔道の次は,剣道,野球と続きます。柔道は,剣道の約2.0倍です。
いーですか。
部活動における熱中症の死亡率ですよ。
それで「柔道が突出して高い」と来た。炎天下で陸上も野球もサッカーもやってるだろうに、インドアスポーツの柔道、そして剣道がワンツーフィニッシュですよ。
てか、熱中症の死亡者を仮に抑えることができたら、どうも全体の柔道事故数も大きく変わるような…
武道場のつくりが、野外以上に熱のこもる構造だから?
両武道とも、比較的厚手で袖の長い着衣に身を包んでいるから?
いろいろと個別の理由もあるだろうが、かなりの原因が「指導者の頭が古い」「悪しき伝統が残っている」にあるんじゃなかろうか、と推測する。
ある時期まで・・・本当にいつまでだったろうか?「スポーツ練習中に水を飲むな」「渇きに耐えるのが修行」な時期があった。或る時期にぐるりと180度変わった。それについてけない指導者もいたのかもしれない。
ちなみに最近、プロレスラーのインタビュー集があったのだが、ポジションこそ前座だったものの、スパー、道場ではめちゃくちゃ強いと一目置かれ、その地位を実に有効活用したドン荒川はちゃっかりものとしても有名。その「水のむな神話」健在のころから、「道場の練習中はトイレに行くふりして、トイレで水を飲んでリフレッシュした」という(笑)。
それで結局道場で強かったのだから何のことは無い、まじめに飲まなかったやつがバカを見ただけだったのである。
吉田豪の喋る!!道場破り プロレスラーガチンコインタビュー集
- 作者: 吉田豪
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もうひとつの要注意スポーツ「ラグビー」。こっちの改善策はされてんの?
柔道は良くも悪くも…というか悪くもだが、不祥事続きで注目され、また武道必修化はそもそも「中学授業」の話だが・・・
そもそもの、熱中症をの含めた総重大事故でも柔道に匹敵する事故率を誇っていた「ラグビー」、熱中症でもなぜか・・・
なお,高校に限定していうと,ラグビーの死亡率がもっとも高い(100万人あたりで,ラグビー:8.219 人,柔道:7.017 人)のですが・・・
こっちも体質が古いのか????
まもなく2012年度全体の結果が出るはず
3月以降か、調査をまとめるとさらにあとか。その数字がいろいろと物語るだろう。