INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「サイバー・オタクを国家に取り込むことが安全保障に関わる」/現実の「リアル内海課長」が今回の遠隔操作犯?

ちょっとみたツイートで気になった話を引用
https://twitter.com/fj197099

fj197099 ‏@fj197099
多少真面目な風にものを書くとこの犯人、決して頭が悪いとは思われない。よく計算して警察・検察に勝負を挑んだのだろうし、リアルな空間でなければその勝負に勝っていた。問題はそういう才能を持ちながら社会に溶け込めずルサンチマンを感じるようなサイバー犯罪予備軍が結構多いのではということだ。
fj197099 ‏@fj197099
意外に重要なのはこれは国防に係る話だという事である。慶応大学の土屋教授が言うように、国防やインテリジェンスの世界にこういうサイバー・オタク(ギーク)を取り込むことは重要だ。政府の世界は役人(スーツ)の論理が幅を利かせやすいが、両者の文化を調和しなければサイバー戦には勝てないのだ
fj197099 ‏@fj197099
しばらく前に秋葉原でハッキング技術を競う初の国主催の全国大会が開かれた(http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130204-OYT1T00208.htm …)。これが実は重要で、こういう才能を発掘しないといずれ国家も危機に瀕することになる。遠隔操作の犯人もこういう自己実現の方向を見いだせればよかったのにと思う。

う・・・む。国家がこういうスキルを持ったとき、その力が市民的自由の破壊や妨害に行かないか(例えば反体制運動家のPCを遠隔操作し覗く、冤罪を作るなど)、という懸念は懸念であるのでしょうが、さりとて国家がサイバー軍事力を持たないでいいか悪いかといえば、それも前者だ。
そして無人戦闘機や無人爆撃機が導入されていくと、・・・これもいいも悪いでもなく、そこで求められるスキルは否応なく「ゲーム」の才能に類似していく。自分はいい兵隊になれないな(笑)。
ハートマン軍曹も歴戦のゲーマーで「お前らがゼビウスのぐるぐる回る黒い石版をぶち壊せるようになるまで、泣いたり笑ったり出来なくしてやるぞウジ虫ども!」みたいにしごくのかもしれない。(自分はあの石版、壊せなかったな・・・)
そういえば自分が読んだ数少ない、作家のほうの佐藤大輔の作品「平壌クーデター作戦」には「半袖で南極越冬隊に加わっても汗が引かないほど太っているか、ゴビ砂漠から発見されたミイラよりも痩せている」隊員のどちらかかしかいない、「内閣衛星情報センター」が描写されていた。日本国念願の「日の丸情報衛星」が撮影した写真から軍事情報を分析するには、いわゆる軍事オタク的情熱と知識がないと不可能だというわけだ。彼らは当代一流、日本最高の「スパイキャッチャー」であり「21世紀の007」なわけだ。
この作品の中ではそんな人が1枚の写真を一瞥し

A「鴨緑紅の中国側にずいぶんトラックが並んでいます。あーこれは」
B「あのさ、ロシアの古いジル157をまんまコピーしたやつだよ。解放だとか紅星だとか凄い名前をつけてたんじゃないかな。ほら。フロントが妙に長いから・・・」
B「室長、これ、自衛隊に知らせたほうがいいとおもいます」
室長「うちはデータ処理をするだけだぞ。分析は分析部の」
B「はんっ、あそこの連中、なにも知りませんよ。鉄の箱にキャタピラがついて大砲が載ってたらみんな戦車だとおもいこむんだから。朝日新聞なみの軍事常識しかない」(文庫165-166P)

平壌クーデター作戦 (徳間文庫)

平壌クーデター作戦 (徳間文庫)

(ちなみにBさんの批判する「鉄の箱、キャタピラ、大砲」のどこが間違いだというのだろう・・・?装甲車があるということ??)

しかし、こういう描写もある。

……大半がお盆の時期と年末の当直だけは絶対に受けようとしない…断り方があまりにもきっぱりしたものであったため情報保全担当班長が疑いを抱き、かれらがその時期なにをしているかを公安警察に内定させた。
結果は驚くべきものだった。・・・(略)この件に関する公安警察からの報告書の末尾に知らされた簡単な一文がある。
「毎年八月一三〜一五日、一二月二八〜三〇日に同所を訪れる貴センター職員は同時期に開催される・・・の参加者および入場者である。なお、・・・現地が異様に混み合っているため満足のゆく尾行はおこなえなかった」(文庫163P)

第四次中東戦争は日程上どうしても警戒が薄れるヨム・キプルの祭り(イスラム側はラマダン)のときに始まったよな・・・

今回の犯人と内海課長

大前提として現在、逮捕拘留されている人は容疑を否認しているということはわかった上で。仮にこの人が実際に犯行をしていたら、という仮定の上で。
今回の捜査はそのままリアルな過程が情報となれば「手の内」を明かす部分が多いと思うから、今流通している情報は相当にぼかされたり、ダミー情報が多いと思う。
それでも、もしそれを信じるなら・・・今回の犯人はある段階でおとなしくしていればもっともっと安全で、迷宮入りしていた可能性が高いようだ。

しかし、高度な技術とプランで警察を当初は翻弄しながらも、直接的な経済的利益とかではなく、自己顕示欲や「面白い」という意識だけで、要らない危ない橋を渡り、一時はつかみかけた完全犯罪、完全勝利の機械を逃したとするなら・・・

ゆうきまさみデビュー30年の年に、あらためて「内海課長」を考える。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20101202#p2

愉快犯自体は過去にもたくさんいたし、迷宮いり寸前までの完璧な犯罪をしておきながら、自己顕示欲でいらんとこまでやって捕まった人も多いだろうが、警察やメディアの翻弄の仕方が派手だったので・・・。
実際のダーク・ヒーローはこんなにかっこよくも悪の魅力も無かったよ、というオチは、まあそりゃそうだろう・・・・仮に今の逮捕拘留者が冤罪で、まんまと真犯人Xが逃げおおせているとしても、やはり遠隔操作の一般の被害者は多々いるのだしね。
また、現実の悪となると、こうもすらりとキャラクター付けがされるわけでもない。

『悪役は「あくまで役」だから「悪役」なんだ』という名言を残したのはだれだったか。