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ミヤマクワガタvsノコギリクワガタ、圧倒的有利なのはノコギリクワガタ!?カブトムシとクワガタの最新科学 (メディアファクトリー新書)
- 作者: 本郷儀人
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2012/06/29
- メディア: 新書
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交尾後、メスを投げ飛ばすカブトムシと、覆いかぶさってメスを守るクワガタムシ。
両者の違いはどこから来るのか? など、子どもの頃は飼っていたけど知らなかった
カブトムシとクワガタムシの最新研究を数多く紹介する。
著者は、雑木林に篭り続けて10年の野外研究の第一人者。子どもの頃は知る由もなかった
カブト・クワガタの意外な一面を知ることで、動物行動学の最新知見が楽しみながらわかる一冊。
この本は、最近読んだ本の中でも極めて衝撃的だった。
それは著者の人となり(というか人間離れした研究…というより「山篭り修行」)についてもだし、彼の過去の、次々と定説を覆す研究結果もだし、そして、現在のカブトムシ・クワガタに関する最新情報もである。
本来なら、もっと腰をすえて紹介したいが・・・まずこの、臨時ニュースをお伝えせねば。
この本では「ミヤマvsノコギリ」「京都大戦争」と銘打たれている。
この音楽に乗せて。
京都市内の雑木林ではミヤマクワガタがもっとも頻繁に観察できるクワガタムシだったのですが、近年はフィールドワークをするごとに、めっきり個体数が減ってきたように感じていました。逆に、関西では少なかったはずのノコギリクワガタをよく見かけます。個体数が近づいたためか、関西では野外においてミヤマ・ノコギリのオスが争っている姿を頻繁に見かけるようになり、彼らのケンカの成り行きに興味を引かれました。
(略)樹液の餌場で潜在的にライバル関係にあるクワガタムシたちは、実はこの2種類にほぼ限られています。雑木林で暮らす7種類のクワガタムシのうち、ノコギリクワガタ以外はミヤマクワガタにとってあまり競争の相手にならないのです。
ミヤマクワガタとノコギリクワガタはほぼ日本全国に分布しています。ミヤマは前兆がおおよそ43―74ミリ。国内のクワガタムシのなかでは最大級の大きさを誇っています。一方、ノコギリクワガタの前兆は33―74ミリ。こちらも大型ながら、ミヤマに比べれば若干劣ります。(略)
動物行動学では、生物同士の闘争で勝敗を決する最も大きな要因は「体の大きさ」だと考えられています。・・・より大型のミヤマクワガタのほうが圧倒的に有利なはず・・・しかし雑木林で実際に目の当たりにするのは、ミヤマクワガタの減少とノコギリクワガタの急増です・・・ということは、体の大きさでは劣るノコギリクワガタは、他のなんらかの理由でミヤマクワガタよりもケンカ(闘争)に強いのではないでしょうか
さあ、実験の始まりです・・・(後略)
この「さあ、実験の始まりです」というのが、活字なのに声がはずんでいるように見える(聞こえる)のはなんでだろう(笑)。
こんな実験、関西州が出来て橋下徹氏が州知事になったら真っ先に文楽なみに予算削られるレベルだ。
しかし、この「昆虫バカ一代」本郷儀人は、まさにその実験によって、ノコギリクワガタがミヤマクワガタに勝てる”ある理由”を発見した!!!!
「ミヤマクワガタはなぜノコギリクワガタを殺さなかったのか」が書けるレベル。
実験のごく一部をお目にかける。
これらの調査を踏まえ、本郷はどちらにも肩入れせず、科学者としてみた客観状況からこういう仮説を構築している。
――かつて関西地方ではミヤマクワガタが優占的な種であり、ノコギリクワガタとは地域的な棲み分けが成立していた。しかし、なんらかの理由でノコギリクワガタがミヤマクワガタの生息域に入り込み、闘争における優位・・・クワガタの数は、ノコギリが優位に立ち、全国的にミヤマクワガタが見つけにくくなっている・・・
彼も「これが真実かは今後の比較研究が必要だ」「今後も追いかけていく」という。
われわれとしても、公安当局におかれても、この二大武闘派の抗争については一般市民の安全と平和の立場からも注意していくことが必要だろう。
http://www.pd-assist.com/feature/jingi_serifu.html
「雑木林に持っちょるクヌギは何を売っちょるの、樹液じゃないの。
いうなりゃ、あれらはクヌギの汁で飯食うとるんで。
のう、おやじさん、カブトムシじゃろうと
クワガタじゃろうとよ、わしらうまい樹液喰ってよ、
マブいメスクワガタと交尾するために生まれてきとるんじゃないの」
しかしこの本はすげー!!!
あとで詳しく、他の情報や作者について紹介する。
今回は速報のみ。
先行して、山形浩生氏の書評がある(というか自分もこのブログで知ったのだが)
http://d.hatena.ne.jp/wlj-Friday/20120628/1340856110