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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

国会事故調、東電撤退問題…「きれいな清水社長」が全面撤退論を語ったら、どう反論する?

「国会事故調」は主要人物の国会招致なども終え、社説なども出揃っている。
社説比較くん」でも各紙がまとまっているね。
http://shasetsu.ps.land.to/index.cgi/event/1052/
http://shasetsu.ps.land.to/index.cgi/event/1066/
国会事故調の議論は、
民間事故調」のまとめとの異動も興味深い。

福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書

福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書

「国会原発事故調査委員会」立法府からの挑戦状 (東京プレスクラブ新書 1)

「国会原発事故調査委員会」立法府からの挑戦状 (東京プレスクラブ新書 1)

で、やはり注目を集めたのは「東電全面撤退」についてです。民間事故調は「あった」、国会事故調は「なかった」に大きく傾いており、この重要問題、たった1年前のことが・・・1000年前の話じゃない、これだけ記録媒体もあるのに分からないというのは、やはり異常事態だ。
 
だがこのエントリの本題は、その判定ではない。
証拠とは関係なく、「東電が全面撤退をあの時語っていた」という仮定、想定をしたうえで、この後の話は進みます。
そしてもうひとつの仮定・・・現実の清水正孝東電社長(当時)ではなく「きれいな清水社長」に登場してもらいます!!
このひみつ道具を使いました。


きれいなジャイアン
てんとう虫コミックス36巻収録「きこりの泉」に登場。泉の中に物を投げ落とし、女神ロボットの質問に正直に答えると落とした物の上位品や素晴らしい物を授けてくれるというイソップ寓話「金の斧」をモチーフにしたひみつ道具だが、欲張ったジャイアンが・・・バランスを崩して自分が泉の中へ転落してしまい、女神ロボットがドラえもんのび太に授けてくれたのが「きれいなジャイアン」である。きれいなジャイアンはオリジナルのジャイアンよりも太い眉と凛々しい目が特徴で性格は品行方正。一人称は「ぼく」でのび太ドラえもんスネ夫を「くん」付けで呼ぶという特徴がある

まったくの余談ですが、この機械によって当ブログは過去にも一度「きれいな石原慎太郎」が登場しています(笑)
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110407/p2
ではここから本題。

「きれいな清水社長」はあの日、こう全面撤退を語った。

■きれいな清水社長
「・・・よし、現在の福島の状況は判った。作業員は、全面撤退させよう」
■部下
「そんなことをしたら、事故が収束できません!!それこそ、何百万、何千万の死者や避難者につながりますよ!」
■きれいな清水社長
「命は・・・数の問題かね? 原発事故の拡大は確かに、現在作業している数百人より多い、その数万倍の命を脅かすだろう。だが『700人の犠牲は、数万人の犠牲より安くつく』とか、そんな議論をしてはいけないと思う。いま、そこにいる人たちの命を、私が責任をとって撤退させれば救えるんだ。将来の数百万人の危険も、それはかけがえないほど重い。私や東電幹部が、首をくくっても責任をとれないほどにね。でも現地の作業員の、今直面する命の危機より、数が多いから、将来の危機が大きいからといって、将来の危機を優先させていいのだろうか?」
■部下
「現地の人間も東電社員や、その関係者です。みな危険は承知済みだったでしょうし、社の責任を果たしていると思えば・・・」
■きれいな清水社長
「危険は承知済み?まるで傭兵じゃないか。それに東電社員、関係者は何万人といる。その人々が『総懺悔』で無限責任をとる必要はないだろう。せいぜい役員経験者までだね。私たちは、専門知識がないから現場で作業できないだけで、本来は危険に身をさらすべきだと思うが・・いずれにせよ、現在の作業者は一部管理職などを除き『お前は東電の人間だろ、だからそこで死ぬ責任がある!』と言われるべき人は誰もいないよ」
■部下
原発事故が大きくなれば、逃げた作業員だって結局は死にます」
■きれいな清水社長
「極論だが、たとえ撤退してから1カ月後にみな死んでも…彼ら作業者が、最後に家族と顔を合わせるだけでも価値があると思うよ。その価値を、私たちが『お前はそこで死ね!』と言って奪うことはできない。」
■部下
「・・・」
■きれいな清水社長
「話をまとめようか。現場の作業員の人数と、事故が拡大したときの被害者の想定数を比べて、後者が重いから前者に犠牲になれ、という議論はできない。/そして私は現場を指揮命令できる立場だ。前者の命が危険になったら、まずそちらを救わねばならない/だからまず、現場を全面撤退させねばならない・・・これが結論だ。よし、官邸に電話をつないでくれ」
 
■ここに「あなた」が入ります。賛成するもよし、反対するもよし。意見をのべてください
「                         」

とまあ、こんな小芝居(コント?)をかきおろしたが、主張の骨子は既に

■「あなたはどこにいます?」のジェシカ主義(銀英伝)は、菅直人がとどめを刺した。しかしそれでも…
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120304/p2

で書いている。ただその時は「民間事故調」などしか出ていない状態だったが、今回国会の調査が進んだこと、それから昨日書いたように、togetter界隈などで最近また、銀英伝をだしにした政経的な(?)議論が流行り始めたので、もう一回、今度はドラマ仕立てで書いてみようと思ったのだ。

最後に上のシミュレーション小説では、「あなた」のコメント欄を設けたが、自分が入れるとなると、「それでも貴方のようなお立場になれば、権力によってより犠牲の少ないほうを選び、少ないほうの犠牲者を強制的にでも、死地に送ることが『正義』なんです。遠方からの命令でも・・」とでも言うしかないか。

そういえばきれいな清水社長は「自分が死んで責任をとる」ことにも言及しているが、「おまえらの白髪首、10や20並ぼうが責任はとれん!」と強く否定したほうがいいかもしれんな。


んで、いきなりこんな国家の重要問題と、いちSF小説を結びつけるのはそれこそ不謹慎のそしりはまぬがれまいが・・・これも前のエントリの繰り返しではあるが。

http://blog.livedoor.jp/parade_of_gantasm/archives/17660798.html

「なるほど、あなたは良心的でいられる範囲では良心的な政治家らしい。だが結局のところ、あなたがた権力者はいつでも切り捨てる側に立つ!手足を切り取るのは確かに痛いでしょう、ですが、切り捨てられた手足からみれば、結局のところどんな涙も自己陶酔に過ぎませんよ、自分は国のために私情を殺して筋を通した、自分はなんと可哀相で、しかも立派な男なんだ、という訳ですな!泣いて馬燭を切るか。ふん!自分が犠牲にならずに済むなら、いくらでもうれし涙が出ようってものでしょうな!」
ワルター・フォン・シェーンコップ)

やはりこの言説は、重要な警句ではあるが、究極的には無効だろう、ということです。

これも前エントリの繰り返しだが、さっきの「きれいな清水社長」は、ある意味
http://www.tanautsu.net/the-best01_03_02_aa.html
の議論に置き換えられるからね。
「国家の存亡は、個人の自由や権利に比べれば大して価値があるものじゃない」と指揮官が認めれば、その現場で実際に死が数センチ前まで迫っている「1個人」は「それなら、私帰っていいですか?」という言葉を口に出し得る。



これも「おもしろいコミックソング」ではあるけど、これを基本にはできない、と、既に前述のエントリで書いています。