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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

平凡と非凡の交錯。「ゴルゴ13」と「ザワさん」。

われながら、この二つを合わせて論じる論評なんか無いだろうなあ、と思う。両方ともいい読者ではないのだが、最近のショート・エピソードに思うところあったので。
 
ゴルゴ13のほうは、今年の5月25日号に掲載されたもので、ゴルゴは今回、狙撃の下見のためにヨーロッパの古城ツアーの一員として参加したのだが、そこにはCIAを定年した夫と夫婦も加わっていた。
CIAといっても「管財課」で、自ら振り返っても「ごくごく平凡…というか実につまらない」仕事だったという。しかし情報課の友人が、つれづれにゴルゴ13の写真を見せたことで、ゴルゴの顔を偶然知っていたというのだ。
「なぜゴルゴが?休暇か?だれかの暗殺か?・・・いや、顔を知った私を殺しに??」とビビりまくる元CIA管財課員。奥さんはちっとも気にしないで、逆に「うちの主人は元CIAで…」と自慢したりとか(笑)。
そしてある夜、一人になったこの男のもとにゴルゴが訪れ、「これ以上俺のことを詮索するな」と告げる・・・

だれの作品だったかなあ・・・クリスティの短編?だったような気がするが、
「自分の人生は実に平凡です。なにか・・・一回だけ・・・冒険をしてみたいんです!」という突飛な願いをする人が、「某機関の、重要情報の運び屋(の、ような気がする仕事)」を任せられる、という話があったような気がする。ほんのちょっとの危険、ほんのちょっとの謎、ほんのちょっとの機転・・・などを展開してその男はぶじ任務を終え、また日常に戻っていく。
同様に、
定年後の夫婦ツアーで、国際的な暗殺者と乗り合わせる(ことに気づく)という、平凡な男に訪れた一瞬の危機・・・結末の余韻は、なんとも温かみがあってほのぼのとしたものになっている。
同時に「自分も、ある一瞬で大事件、大事故、歴史上の人物、大犯罪者・・・などと、どこかで交錯していたのかもしれないな」という、運命の不思議さを感じさせる、余韻のあるストーリーだった。
さらに名演なのが、まったく善良で無神経でむとんちゃくきわまりない、世界を超えた「おばさんぶり」を発揮しているこの元CIAの妻。500話を超えたこのシリーズ、ゴルゴを追い詰めた人や機関はそれなりにいるが、今まで「ポテトチップスいかが?」と彼に勧めた人物がいるだろうか(笑)。このあと彼女は、出てきたランチにポテトチップが入っていることに気づき、「ならさっき食べなければよかった」と後悔している(笑)。
ポテトチップお好きですか。わたしも好きです。太るのでなるたけ食べないようにしていますが。

【後からの補足】実はこのエピソード、一説にきくところでは「単行本に収録されていない」とも??(未確認です) そうだとしたら、イメージを崩すとかそういうこともあるのでしょうか…その半面、この感想レポートが貴重なものになるかもしれません

高校球児ザワさん」。野球部のエースは「オタク友達」がいる。

はじめ、高校野球部所属の女子部員(試合などには出られず、練習するだけ)を描く「ザワさん」の連載が始まったとき、こんな疑問を持った。
「いくら数ページの短編とはいえ、肝心の野球の話がほとんど無いような気がするがいいんだろうか?」
ところが某識者からこう指摘された。
「あれは野球を描くものではない」
私「野球のまわりの、人間模様とか?」
「違う!あれはスポーツに打ち込んで、恋愛や髪型や服に興味の無い女の子のほうがむしろ色っぽい、というニーズの読者向けの漫画なんだ!」
私「そんなニッチすぎる需要で連載続くか!!」

高校球児 ザワさん 1 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)

高校球児 ザワさん 1 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)

ところが、 ・・・・・  つづいた。もう数年連載しているよな。まあビッグコミックスピリッツ自体がニッチ化している、ともいえるのだが。
ただ、その色気の話とは別に登場人物も増えてきて、「野球のまわりの人間模様」も描かれてきている。
その中で、最近の展開に・・・
・主人公ザワさんの兄は、同高校野球部の絶対的なエース。
・だがマイペースな変わりもので、どこかひょうひょうとつかみどころが無い。
・実は彼、虫や電車、仮面ライダーも好き。あるとき、その趣味に詳しい「オタク」グループと友人になる・・・

ここまでなら「釣りバカ日誌」の変形のような気もするが、そこから枝分かれしてこんなエピソードもつづられる。
・オタクグループは、高校野球に興味がなく、自分の学校のエースも知らない。学校に動員されて応援にいっても(遠方から見ているせいもあるが)、マウンドの彼に気づかないレベル(笑)。
・しかし、うち一人は「野球オタク」でもあった。彼は一回戦を終えたエースに「フォークボールが…」と野球の話を振る。
・だが、それを聞いたエースの表情に複雑なものを感じとった彼。「ああ、エースは俺たちと、皆が絶対にそれを通して自分を見ている『野球』というフィルター抜きで付き合いたかったんだな・・・」と気づいた彼は「二度とエースに、野球の話題を言うまい」と決意する。



これも一読、なぜか印象に残る話だ。
たしかにどんな有名人も(野球名門校のエースとなれば、17、18歳ですでに地元の有名人だ)カミシモを脱いだ、一人の人間としての交友関係を渇望することもあるだろうし、実際に駆け引きやデータも要求されるピッチャーには、「オタク的」な個性を持つ人もいるだろうから、実際にスポーツマンのイメージからかけ離れたオタク的な趣味を持つ人もいるのかもしれない(格闘家にはなぜか多い(笑)が、プロ野球選手のほうは知らない。持ってても公にするかはまた球団イメージもあるし)。
一方で、漫画雑誌の読者層を意識した、ありえないロマンス、ファンタジーのたぐいかもしれない。よく言われる「スクールカースト」の問題も当然絡んでこようし、上に書いた「高校生版の『釣りバカ日誌』」なのかもしれない。アメリカ映画でいえば、アメフット部のヘッドクオーターが実はナードな趣味も大好き、みたいな感じ?
やはり難しそうだな。
ああ、でも大槻ケンヂの「グミ・チョコレート・パイン」も”映画や音楽が好きだ”という一点で、本来は交わらないような人たちが交じり合う青春の風景を描いていたんだっけ・・。


まあ、このエピソードはまだこれからも続いていくような感じもあります。
正直、自分の感想はかなり不十分だと思います。どこかの誰かにあとは引き継ぐので、ひとつよろしく。