まず、この部分が最初に書いた文章です
上で呉智英「言葉の…」シリーズ最新刊を紹介したついでに。
なぜか2011年7月22日現在、計40ものブクマが付いている「はてなキーワード」がある。(※註:後述の理由で、今はこの文章ではありません)「地獄への道は善意で舗装されている」
意味
「良かれと思って行ったことが悲劇的な結果を招いてしまうこと。または、悲惨な出来事が皮肉にも善意の行いが発端となっていることを言う。」と日本では誤用されている。実際には、「天国をめざして信心する人は多いが、そのために善行を続ける人は少なく、結局は地獄へと進む事が多い。地獄への道には、そうした人々が心の中から落としてしまった善意(直訳は「善き意図」)が降り積もっているのだ」・・・という言葉である。
つまり「善意を持っていても、実行がともなわなければ、いずれその人は地獄へ落ちる」という意味になる。
※参考リンク:http://ejje.weblio.jp/content/the+road+to+hell+is+paved+with+good+intentions
自分は本来の意味、まったく知らず(誤用の意味のほうは知っていた)。
マルクス著『資本論』にあるとは聞いていたが、彼が生み出したレトリックと思っていた。マルクスは、日本の俗解的に使ったのかな?
この「資本論」記述の確認が今後の課題。
そういえば自分が知ったのには面白い経緯があり、今でもはっきり覚えているが1989年、天安門事件やポーランドの民主化を受けて「朝まで生テレビ」で、西部邁がこれを「共産主義批判」のために日本流の用法で使用。左派陣営の小田実や安東仁兵衛(覚えている人いるかな?)が「その用法は誤用」ではなく、「あんたの言いそうなことだ」「もう少しひねっていえよ、東大出てるんだろ(※と同じ東大の小田が敢えて言うという半ギャグ)」と結構感情的な反発が出たのであります。
本になってるよ。
- 出版社/メーカー: 全国朝日放送
- 発売日: 1989/11
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (1件) を見る
そういえば似た感じのに「狭き門」があるな。
「みんなが入りたくて殺到するのに、狭い門だからわずかしか入れない」と言うイメージがあるが、実際の意味は「狭い門なので、多くの人はそもそも門の存在を知らず、わずかな人しか(自発的に)そこをくぐらない」というイメージが原典には沿っているとか。
もっとも西洋のほうでも、前者のような用法が既に一般化し、原典との乖離はともかく意味は伝わるとも聞く。
で夜に更新。以下がその補足文章
ところがこれを書いた後、はてなキーワードの効用であるキーワードごとのつながりを飛んで読んでいると、果たして誤用と言い切れるか、分からなくなってきたのですね。
というわけで関連リンク。そこで紹介されていながら、残念ながら今では繋がらないリンクも多い。
■はてな関連での発端−「うつせみ日記」
http://d.hatena.ne.jp/hidematu/20060610/1149951893
http://d.hatena.ne.jp/hidematu/20060612/1150130431
http://d.hatena.ne.jp/hidematu/20061009/1160391965
※最初の、はてなキーワード作成者でもある。
■それを受けた感想・疑問−「国家鮟鱇」
http://d.hatena.ne.jp/tonmanaangler/20100907/1283891547
http://d.hatena.ne.jp/tonmanaangler/20100908/1283918648
http://d.hatena.ne.jp/tonmanaangler/20100908/1283922868
■そして「従来解釈は誤用」との主張−「CLick for Anti War 最新メモ」
http://d.hatena.ne.jp/claw/20110407#p2
基本的には「weblio」例文、そして元は研究社の新英和中辞典が典拠となっている。
http://ejje.weblio.jp/sentence/
http://ejje.weblio.jp/sentence/content/the+road+to+hell+is+paved+with+good+intentionsThe road to Hell is paved with good intentions.
《諺》 地獄への道は善意の石畳で舗装されている 《いくら善意があっても実行しなければやはりその人は地獄へ落ちる》 - 研究社 新英和中辞典
※2番目の、はてなキーワード更新・編集者でもある。
なお、このエントリのコメント欄に最初の方がコメントを載せている
id:hidematu 2011/04/08 00:33 こんばんは。
「地獄への道は善意で舗装されている」のはてなキーワードを書いたものです。
このことわざの解釈については、諸説あるようです。
The American Heritage dictionary of idioms には "Well-intended acts can have disastrous results" と書かれています。これは善意による行為が破局を招くこともあるという意味に見えます。(ソース:http://books.google.co.uk/books?id=9re1vfFh04sC&pg=PA542#v=onepage&q&f=false)上記は、英語版のWikipedia(http://en.wikipedia.org/wiki/The_road_to_hell_is_paved_with_good_intentions)から見つけました。Wikipediaでは上記を参照して同じような説明をしています。また、"Another interpretation"(他の解釈)として「Weblio英和対訳辞書」に書かれている説明も掲載しています。
個人的な意見としては、辞書に書かれているから正しいとは思いませんし、Wikipediaが正しいと思っていません。しかし、安易に「誤用」と決め付けるべきではないと思います。どちらが正しいかは言及せずに複数の解釈があると書くのが妥当ではないでしょうか。
うん、妥当だとぼくも思ったので、このエントリに補足しタイトルも改題、そしてはてなキーワード本体も本日(2011,07,22)、自分なりに大幅に改造・補足してみた。
これが変更後のキーワードです。
自画自賛するとこれまで以上に、知的にエキサイティングなキーワードになったんじゃないかしら。
語源(出典)と彗星探しは、アマチュアに限る!…ってね
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110524/p2
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20101122/p2
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20070701#p2
なんかで書いているんだけど、やっぱり「初出探し」「語源探し」はこうやってわいわいと探していると、それで新しい発見が促せる・・・というもんなんじゃないかしら、性質的に。
おもしろくなってきやがった。