まず、ことのおこりは
■ザビエルも困った「キリスト教」の矛盾を突く日本人
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=164843
2007年の記事なのに突然ブレイクし、はてブだけでも400以上ついた。
派生まとめサイト
■フランシスコ・ザビエル、布教先の日本人に論破されすぎて 「もう精根尽き果てた。自分の限界を試された。」 と告白
http://jin115.com/archives/51925684.html
いまだによくわからんのは・・・自分はこの話題が以前から好きで、よく語ったりこのブログでも記述している(後述)から分かるんだが、そもそも俺的には面白いけど、神学論争だからそんなに多くの人の興味を引く話題じゃないんとちゃう? と。超有名人「ザビエル」が絡んだからキャッチーなのか、日本人がすごい、というふうに描写をオーバーに描いているからなのか・・・
んで、そこを修正するというか「そもそもザビエルは『突っ込まれて降参した』とは言ってない」というtogetterまとめができた。
■『ザビエルも困った「キリスト教」の矛盾を突く日本人』によるミスリードと嘘
http://togetter.com/li/451988
そして真打ち登場、みたいなもんだ。Kousyoublog
■ザビエルはキリスト教の矛盾を論破されたのか説得したのか問題 |
http://kousyoublog.jp/?eid=2827
こちらはザビエル書簡を引用しているから、これで十分だろう。
■追記 こういうエントリも
ザビエルの件
http://d.hatena.ne.jp/tonmanaangler/20130208/1360288298
メディアリテラシーの形骸化
http://d.hatena.ne.jp/tonmanaangler/20130209/1360387109
(※いまはtogetterへの直接リンク記事を紹介したが、上ブログは他にも関連記事がある)
以下は、あたしなりのおまけ。この話題が盛り上がる前からこつこつとやってたもんで虫干しだ。
実際の、当時の日本知識人のキリスト教批判
(当時、といってもやや時代は下るが)
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20080311/p4
「天地の主にして国土万物を作り出し給うならば、何として、其のデウス、今まで無量の国を捨ておきて、出世し給わざるや」
「でうす天地の主ならば、我作り出したる国々を脇仏にとられ、天地開闢より以来、法を弘めさせ、衆生済度させ給うこと、大きなる油断なり」
(「日本思想論争史」より鈴木正三)
「『知らずんば三世了達の智と云へるは虚談なり。又知りながら(悪魔を)作りたらば、慳貪(けんどん)の第一なり」」
(同書・不干斎ハビヤン)
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同じツッコミを、ゲルマンの部族長もしていまっせ、という話。
当然、こっちのほうが時代的にも早い。
聖書と人間社会1ゲルマンへの布教
2009/9/27(日) 午前 7:46哲学歴史
・・・ボニファチウスという人物がゲルマン人のラーヂボートという酋長にキリスト教の話をし、大いに酋長は感心し、改宗するときに「おれは洗礼を受けると天国と言う非常に結構なところに行けるらしい。けれども、おれの親はどうなるのだろう。」
と質問すると、
「洗礼によって洗わなければ天国には行けません。地獄に行っているでしょう。」と答えると。酋長は怒り、
「おれが洗礼を受ければ結構な天国に行けるとお前が言うけれども、親が行けないんじゃ、俺はそんなところに行かなくてもいい。おれはおまえが言う地獄であろうとなんであろうと、先祖代々の親のところへ行ければいいんだ。」
といってボニファチウスを追放したと言います。
ローマにはそういう報告がたくさんあり、
「自分は洗礼を受けたら助かるけれども、親は地獄だと言ったら、親不幸の人間以外は洗礼を受けなくなる」とグレゴリウス法王はいい、煉獄という考え方を作った
http://blogs.yahoo.co.jp/tukusinkai/29962023.html
いや煉獄を「作った」って正直な(笑)。
そ、煉獄という概念はまさにザビエルに突っ込んだ日本人的な疑問に対してのご都合主義ですよね。そのご都合主義はともかく、キリスト教のあの教えを聞いたら、やっぱりかなりの人がそこに突っ込むだろう、という・・・そういう普遍的なものじゃないかな。
レベルで言うと「トキもシェルターに入れたじゃん!」ぐらいの、誰でも気づくツッコミ所。
てか、自分もこの神学的矛盾の存在、こういうエピソードを聞く前に自分で到達したよ(笑)。それほど素朴な疑問点だというべきでしょう。
最後に。「リンボー(辺獄)」って知ってますか?
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いちばん軽い罪人が入れられるのが、すり鉢のへりにあるリンボーです。
へりにあるから辺獄と訳されます。興味深いのは、このリンボーではこれといった責め苦がないこと。それもそのはずです。ここへ入れられるひとは何も悪いことをしてない。それどころか人類の模範となるような立派な仕事を残した文学者、哲学者だったりします。それなのになぜ地獄粋なのか。
それはキリスト教の地獄だからですね。(略)・・・ソクラテスやプラトン、ホメロス・・・・こうした偉人が皆、地獄行きというのはおかしい。そこでリンボーという地獄・・・そこではこうした偉人たちが、責め苦は受けず、ただ永遠にキリストの恩寵には与れない不運を嘆きながら暮らしています・・・
既に9年前、こんな親戚の経験談を書き残してたわ。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20041116/p1
私の親戚の中でちょうど16年前か、外国人と仕事上の関係でよく付き合っていた人がいまして、とくにある国の人とは、家族ぐるみで付き合いがあったそうです。
そして平成元年1月、昭和天皇がご崩御遊ばされた。
そして、翌2月、世界中の国家元首を集めて「大喪の礼」が執り行われ、テレビでも放送された。
このとき、この或る国の家族は、その中継を見ながらとめどなく涙を流したそうだ。
(親戚)「なぜ、住んでいる国とはいえ他国の象徴の死をそう嘆くのです」
(外国人家族)「かわいそうだからです」「ねえ、すごくかわいそうじゃないか」
(親戚)「?」
「天皇はキリストを信じなかったから、地獄へ行ってしまう!! それが可哀想で・・・」
アマテラスの子孫も形無しです。
君、笑ってはいけない。むろん怒ってもいけない。
煎じ詰めていけば、結局のところ宗教はそうなんだよ。
(略)
た昔前のワールドカップだったか、ロベルト・バッジョがXXXXXXXの■■になって、そのまま活躍したことがあったでしょ?
たしかイタリアの教会は全信者に布告を発し、
「どれだけ祖国に貢献しようとも、キリストに帰依しないバッジョは天国には入れないぞよ」と釘をさしたんですよ。
まあ、それも法難と思えばバッジョ本人はよかろう。